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【第一ステージ:古代ローマコロッセウム 最強の剣闘士との戦い】

【第一ステージ:古代ローマコロッセウム 最強の剣闘士との戦い】


気が付けば三人は知らない場所に立っていた。

チェリーが灯り用に空間に浮かしていたファイヤーボールが無ければ、いきなり何も見えない暗闇に立たされて、それだけで恐怖に捉われていたかも知れない。

そこは石造りで出来た構造物に囲まれた広場だった。


その時、悪魔が直接、頭に語り掛け来た。

「少し驚いたかね・・・ここは娯楽のために奴隷達を戦わせる闘技場だ。

どこの世界だったか、そうだ古代ローマの円形コロッセウムとか言ったかな・・・これから君達には、もし生き残れば幾つかの面白いところに連れて行ってあげるが、先ずはここで元犯罪者や囚人達だった奴隷の剣闘士(グラディエーター)と戦って貰うことにする。

最後まで生き残って皇帝に敬意を捧げれば、この世界はクリアだ。

ここは僕が作った異空間の世界だが、普通に槍で刺されれば痛いし、殺されれば、それは現実世界での死でもある。

逃げようとしたら僕が作った幻世界から二度と現実世界に戻れることはない。

よく覚えて置くがいい。

君達の力があれば剣闘士など相手にならないだろうが、彼らも、ここの最強の戦士だから、それなりに手強いからね・・・。

あと相手は魔物でも何でもない生身の人間だ。

うふふ・・・だから魔法を使う時に必要なマナ(Mana:超自然のパワー)は制限させてもらう事にする。

そこのエルフが使いそうな極大魔法やイケメンのお兄さんが使う不可思議な力は多分、使えないから、そのつもりで戦ってくれたまえ・・・。

じゃ、It's showtime.(イッツ・ショータイム: ショーの始まる時間だ)


今度は、いきなり歓声が耳に響き、観客がいる闘技場に場面が切り替わった。

ここには太陽があり、長く暗闇の世界でいたので眩しかった。

目が慣れると凛太朗達の周りには審判らしき男とローマ兵と思われる兵士が警備の為に立っていた。

凛太朗達を逃がさないためだ。

闘技場広場への入り口付近には数人の剣闘士達が一心不乱にこちらを見ている。

凛太朗達の周りにも数人の剣闘士が立っていた。多分、彼らは仲間として戦う様だ。

装備は頭に鶏風の飾りが付いた兜をかぶり、武器は大きな長方形の盾とグラディウスと呼ばれる直剣や槍を持っていた。

チェリーは武器を持っていなかったので、審判員から女闘士が使う大ぶりの盾と剣を与えられた。

まもなく数人の対戦相手の剣闘士が闘技場に入って来た。

すると観客の興奮度は最高潮になった。

闘技場にやってくる観客は戦闘で剣闘士が命を落とす事になっても、あくまで娯楽と捉えているのだ。

対戦相手は長槍と丸盾、魚を象った兜を被り、槍と長盾、それに二本の剣を持つ者など、剣闘士達が持つ武器は、それぞれ違った。

戦い方が違う剣闘士を故意に選んでいる様だ。

観客席の下の方にいた皇帝らしき身なりのよい人物から合図があり試合が始まった。

網と三つ又槍を持った戦士が武器の絡み取りを狙って網を投げ、離れた場所からは弓を持っている射手闘士が矢を放って来た。

狙いは盾で矢を防ぐ事ができない凛太朗とタイガーだ。

矢を危険だと思った凛太朗はゾンビやスケルトンに向けて連射した後、霊力を使い果たし幻想銃から刀に戻っていた村正で、向かって来る矢を叩き落としながら駿足で近づき射手を肩から袈裟懸けに一刀両断した。

凛太朗の戦いぶりと妖刀村正の切れ味に観客席からどよめきが上がった。


網と三つ又槍を持つ戦士の攻撃のコンビネーション(組み合わせ)は凛太朗を惑わせ的を絞らせなかった。

凛太朗は鬼との戦いで方天戟や刺又といったリーチの長い武器との戦いは経験していたが、違った得物(武器)を持って攻撃されたのが初めてだったからだ。

だが、何度か攻撃を防ぎ凛太朗は戦士の攻撃を見切った。

凛太朗に向けて投げてきた網を絡み取られない様に躱し突くだけの単調な三つ又攻撃を村正でいなしながらそのまま剣を滑らし喉に突きを入れて勝負を付けた。


タイガーは相変わらず大剣による力押しだったが、彼の剣は聖剣カラドボルグの模造品ながら鉄を斬り岩を砕く剛剣である。

剣闘士が手にしている直剣グラディウスや盾では武器の優劣ははっきり違った。

彼の大剣は盾を潰し、剣を叩き折った。

タイガーは野生に戻った猛獣の様に次々と剣闘士達を血祭りにあげた。

怪我をして戦えないと思った剣闘士は、慌てて盾を投げ戦闘を離脱した。

試合は相手を無力化するか降伏の意思表示がされるまで続く決まりがあった。

戦いを放棄しなければ確実な死が待っている。

最後の生死は皇帝と観客に委ねられる。

彼はそれに生きる望みを賭けたのだった。


対戦相手には剣闘士のプリームス・パールスという筆頭を表す序列まで上り詰めた最強の剣闘士いた。

凛太朗達の周りに立っていた剣闘士達は、彼を倒して名を上げようとして数人掛かりで戦いを挑んだが彼の剣技の前に、いとも簡単に深手を負わされ石畳に倒された。

その剣闘士が、次に攻撃を加えたのはチェリーだった。

チェリーは以前、魔法で、レイピア(刺突用)を召喚して戦った事があり、剣士としてもそれなりの力を持っていたが、与えられた大ぶりの盾と剣は、女闘士用とはいえ彼女には重く剣が短いため、リーチを活かした効果的な攻撃が出来無かった。

最強の剣闘士から攻撃を受け防戦一方になった。

チェリーは数か所、傷を受け攻撃を躱し切れなくなる寸前で凛太朗とタイガーが助けに入った。

最後に残ったのは最強の剣闘士と凛太朗達三人だけだった。

手傷を受けていたチェリーは後ろに下がらせ、凛太朗とターガーは二人で剣闘士に対峙した。

仲間の剣闘士達を簡単に倒した未知の強敵二人を相手に、剣闘士は今迄に感じた事が無い不安が過った。

「死ぬかも知れない・・・」と思ったが、それでも彼には戦うしか道はなく、序列筆頭の最強剣闘士としてのプライドがあった。

闘気を最大限に高める。

この剣闘士が纏う闘気は尋常ならざるものがあった。

凛太朗とタイガーを相手に一歩も引くことなく対等に戦い、隙あらば命を取る攻撃を仕掛けて来た。

長い間、武器の打撃音が闘技場に響いた。

勝負を決めたのは剣技では無く武器の優劣だった。

先に仕掛けたのは凛太朗だったが、剣闘士はそれに反応する。

凛太朗の持つ村正は、この時代の武器の打撃を受けても折れないばかりか長く軽かった。

剣闘士と凛太朗は互いに刀を振り下ろし血潮が舞った。

一瞬早く相手の体に届いたのは村正だった。


凛太朗は彼の剣闘士としての生き様を斟酌し聴衆の前で生き恥を晒さないように非情に徹し止めを刺した。

彼は横たわる剣闘士を眺めながら、もし、この男と一対一で戦っていたら負けていたかも知れないと思った。


戦闘が終わった後、凛太朗達は皇帝の前に片膝を付き尊敬の気持ちを表した。

コロッセウムの観客席を埋めた観衆から割れんばかりの歓声が上がった。

すると再び暗闇になり何処かに飛ばされる感覚があった。


次に飛ばされた場所は法螺や太鼓、阿鼻叫喚が渦巻く戦場の真っ只中だった。


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