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適当で良いよ、多分ね。
エメラルドの湖面に当て、奪って霧となり、上昇して行く。
奪われてなお、その身に光を受けて輝き続ける様は美しく、アクアマリンの湖面が涙した。
涙を晴らした頃、また新しい奪い手が現れた。この奪い手もまた、前の奪い手と同じように涙するまで当て続けるのだろう。
おじい、きょうは白いかみの子とやっと会えるっておとうさまが言ってたの。
わたしはずっとまえにげんきになったって言ったでしょ?でも、白いかみの子はまだうごけないって。
きょうはいいっておとうさまが言ってくれたから、白いかみの子もげんきになったみたい。
おとうさまはわたしがげんきになっても白いかみの子をみてないといけなかったから、わたしずっとがんばってたでしょ?
だから、きょうはちゃんとおとうさまに聞いてみようとおもうの。
わたしをでしにしてくださいって。
白いかみの子と会ってからにしようとおもってるから、おじいもみててほしいな。
わたしがおとうさまのでしになったら、おとうさまはもっとらくになるし、わたしももっといっぱいできることがあるとおもうの。
おじいはわたしがでしになるの、おうえんしてくれる?
あとね、ウィーチオ兄はきょうもかりにいくんだって言ってたから、おじいもウィーチオ兄のことをみててほしいの。
すこしまえにあぶなかったって言ってたから、わたししんぱいで、だからおねがい。
あとね、おじい。まだ箱はあけられてないの。
でも、まえよりはすすんでるから、もうちょっとだけまっててくれる?
ぜったいにあけて、おじいとのやくそくまもるから。
「主よ、このもののみがやすらかにあるようみまもりください。スィーオ」
またね、おじい。
わたしちゃんといってくるから、おじいもちゃんとみててよね。
あたらしいはなももってくるから。
わたしのてにあるはなが、もえてはいとなって、そらにちっていくように、このはながおじいのもとにいきますように。
「ふー」
もうもえてはなはのこってないけど、こうやってふいたらおじいのところにとどいてくれるよね。
「どうしました?イルリーナ、入らないのですか?」
「いえ、そういうわけでは . . . 」
なんて言えばいいの?
はじめて会うわけじゃないけど、つれてきちゃったときはずっとねてたから、しらないかもしれないし。
こんにちはって言えばいいのかな?
ダメダメ。それじゃたにんみたい!
つれてきたのはわたしなんだから、もっとなかよくしないと!
かぞくみたいなきをつかう、やさしいかんじのことばで言わないと。
んー、げんきになった?とか?
でも、しらないひとからなれなれしくされたらやっぱりこわいよね?
わたしはしってるけど、むこうがおぼえてるかわからないし、ていねいなかんじがいいかな?
からだはよくなった?とか。
やっぱりこわい、のかな?
わたしがつれてきたせいで、かぞくにあえないとか、かえれないとか、言われるかもしれないよね?
ほんとうはわたしがつれてきたことがいやだったり。
よけいだったって言われたら、どうしよう?
ごめんなさいって言ったらゆるしてくれるかな?
もしわたしが、しらない子につれてかれて、もうかぞくにはあえないけどわたしがいるよって言われたら、わたしはごめんなさいって言われても、ゆるせない。
きっと、それはむこうもおなじだよね。
わたしのせいだって、言いたくなるよね。
「イルリーナ、会うのは明日にしますか?或いは、もう少ししてからでも良いですよ」
おとうさまにきをつかわせてる。
わたしがもっとしっかりしてればいいだけのことなのに!
でも、きょうってきめたから、会うっておじいに言ったから、ここであまえちゃダメ。
わたし、しっかりして!
「おとうさま、さきにひとつだけおねがいを聞いてくれますか?」
「お願いですか。内容を聞いてから考えましょう」
「では、わたしをでしにしてください」
どうしよう、ほんとうに言っちゃった!
おじい、言っちゃったよ!わたし、おとうさまにでしにしてって言ったよ!
どうかな?おとうさま、なんて言うかな?
ダメって言うかな?いいって言うかな?
こわくてふらふらしてきた . . .
「. . . 弟子ですか。何故、イルリーナは弟子になりたいのですか?理由を説明して下さい」
「りゆうは、おとうさまが . . . 」
てつだいたいって言っても、でしじゃなくてもできるって言われちゃうよね?
もっとたくさんのことをできるようになりたい、もっとしりたいでも、でしじゃなくてもいいってなるし、なんて言えばいいの?
おとうさまのちからにたすけられたから?
なにか言わなきゃ。
りゆうがないっておもわれるのはダメ。
わかんないけどでしになりたいじゃぜったいにいいって言われない!
なにか、なにか言わなきゃ。
「わたしは . . . おとうさまにたすけられました。
だから、つぎはわたしがおとうさまのたすけになりたくて . . . ダメですか?」
「そうですね。イルリーナ、私は貴女を拾い受けた際に心に決めていた事があります」
ひとつ、わたしをぶじにそだてること。
ふたつ、わたしのじんせいをさだめないこと。
でしになったら、わたしのじんせいはおとうさまにさだめられる。だから、でしにはできない。
おとうさまがやくそくしたひととのさだめ。
でも、わたしがえらんだら、おとうさまのさだめたじんせいじゃないよね?
「イルリーナ、気持ちは嬉しいですよ。しかし、私は貴女が私の道を歩く事を阻止しなくてはいけないのです。分かってくれますか?」
「 . . . わかりました。わがままを言ってごめんなさい」
「謝る必要はありません。これは、私が貴女に与えられる物が偏ってしまう所為ですから」
おとうさまはそう言うけど、わたしがもっとしっかりしてればでしにしてくれたのかな?
おじい、ごめん。でしにはなれなかった。
でも、おじいのおかげですこし言えるきがするようになったよ。
「さて、イルリーナ。お願いは聞きました。次はどうしますか?」
「つぎ . . . 」
いっぱいいきをすってから、ゆっくりはく。
でしになれなかったことも、白いかみの子に会うのがこわいことも、ぜんぶいきといっしょにはく。
かわりに、いっぱいわたしならできるってすう。
ノッカーにてをのばす。
どくどくってはやくなって、てのさきだけみる。
すこしゆびがふれだけなのに、すごくつめたい。
かるくつかんで、もちあげる。
コンーーー
どうしよう?たたいちゃった!
息を潜め、影に隠れ、じっと待つ。
動けば一歩、待てば二歩。
立ち塞がる壁を乗り越え、ただ、じっと待つ。
あの向こうも気が付いている。だから待つ。
向こうが我慢して、そして諦めるまで。




