後
私は新田小夜。そして、聖女が佐伯幸子ちゃん。
私のジョブはお針子だ。
私が子供の頃。大規模な災害に被災した。
自衛隊の防護マスク、防護衣が近くにある生活を送った。
☆回想
「お兄さん。何をしているの?・・・」
「アハハハ、これ、阪神淡路大震災の時、道路から都市ガスが漏れている事があったから、検知器で調査をしているのだよ」
「フ~ン」
「これ、山川三曹、正直にいわんか!」
「は、曹長、今、この地域の放射線を検知しています!ここは安全だと思いますが確信がありません。内陸の村で放射能が舞い降りた例が報告されています」
「分かりました。有難うございます。安心しました」
・・・・・・・・・・・・・
除染所、防護マスク、防護衣を見る毎日だった。
その後、両親を失った私は、東京の親戚に引き取られ。高校に通わせてもらった。
そこでクラスが光に包まれて、異世界に転移したようだ。
クラスで転移した初日、皆はオープンと叫んだ。
すると、ジョブ、スキルがある。
私はお針子だった。
ミリオタの田口君は現代武器召喚だ。
レーションも出せる。これでクラスカーストは入れ替わった。私達は狩りをしたことがない。
田口君は皆に銃を配った。
皆はこれからの冒険にワクワクしていたが。私は不安で仕方が無かった。
『これいらないな。異世界に毒ガスはないでしょう』
と田口君は防護マスクを捨てた。
やがて、ヒゲモジャの男達がやって来たが田口君は迷わずに撃った。
ダダダダダダ!
『どうせ。盗賊だよ。これで冒険者ギルドから報奨金をもらえるかな』
危うい。早くから親友の幸子ちゃんと示し合わせて別れるように画策した。
やがて、車を召喚し。皆で進んだが。
巨大な土塁があった。
弓を撃ってくる。
ここまでは届かないが皆は笑った。
「うわ。弓?」
「アハハハ、馬鹿だよ。弓が銃に勝てるはずがない。しかし、土壁が邪魔だな」
田口君は、110ミリ個人携帯対戦車弾というもので土塁を撃ったが。
バーーーン!
土の壁は崩れたが、一カ所崩れだけだ。
中にもう一つ壁がある。二重のようだ。。
それに、地面から土の壁が生えてくる。
魔法だわ。
「あれ、おかしいな」
・・・ヘスコ防壁、あの土塁は現代軍が使うヘスコ防壁に近いものだった。
近年、有効とされた土の壁である。大型土嚢と言っても良い。
この世界の魔道師が鉄礫を防ぐ方法を考案したら。くしくもヘスコ防壁に近いものが出来上がった。この世界の者は重機ではなく土魔法で壁を作る。
車の特攻や一部対戦車ミサイルにも耐えられる。
安価で実用性の高い防壁である。
「どうする?突撃は厄介だな。戦車を出すか?」
その時、風の方向が逆になり。
煙が立ちこめた。
まさか。毒ガス。目をこらせ。
鳥が落ちてくる。
この世界魔法がある。気象を操れるのなら厄介だわ。
私は叫んだ。
「あれは毒ガスだよ!皆、マスクをつけて!」
「新田、何を言っているんだよ。相手は中世だよ」
私は、幸子ちゃんに教えて防護マスクをつけて。
ジープで逃げた。
私に割当たられた車だ。
中に、弾丸と食料が入っている。
そして、山にこもって戦った。おかしい。山側の警備が厳重だ。まるで草原の道を逃げろと言っているみたいだ。
そこで初めて人を殺すことを決意したが、冒険者たちは逃げ出した。
「何だ!こっちに向かって来るぞ!逃げろ!」
元々、ブラフのようだった。
私は研究をした。この銃、近接で戦ったらどうしても隙が出来る。
数百メートルから撃てば安全ではないか?
本を見て研究する。
息を吐き。止める。
幸子ちゃんも段々と変わってきた。元々本が好きな子だ。人間観察をするようになった。
犬獣人が来たときは、ナプキンを囮に使って、後ろから撃った。
しかし、じり貧だ。
現代武器を召喚出来るのは、田口君だ。
だから、私はいっそう狙撃に力を入れて、弾をいかに少なくするかに注力をした。
もう、一弾倉を切った。
頃合いだ。敵に一矢報いよう。
・・・・・・・・
「さあ、行こう幸子ちゃん」
「うん」
二人で手をつなぎ歩いた。
どうせ捕まるのなら。
二人で死ぬのが良いと結論になった。
草原に出た。
今の私の服装はジョブで出したお針子の服と幸子ちゃんは聖女の服だ。
「出たぞ!!」
すぐに騎士団に捕捉された。
しかし、皆は怪訝な顔をする。
「聖女・・・様」
幸子ちゃんは助かるだろう。
それに幸子ちゃんは人を殺していない。
「お二人とも、こちらへ」
「「・・・・・」」
あの土塁の陣地に連れて行かれた。
・・・・・・・
私は尋問された。
「王国騎士団副官マッケインである。
この話、裏は取った。死体は草木に隠されていた。
それにワナだ。どうしてあんなに巧妙に出来た?」
「はい、土を掘ったり。木にしかけるとどうしても、真新しい土が出たり不自然さがでます。幸子ちゃんの聖魔法で草を生やしたりしてもらいました」
「聖なる魔法を・・・何という使い方だ」
「しかし、解せない。どうして、君は森の中で戦えた?」
「はい、田口が召喚したものの中に赤い本がありました。それで学びながら実地で試しました」
「ふ~ん。でだ。冒険者殺しの件、タグチは、お前がやったと言っているのだ」
「田口は生きていたのですか?私に身に覚えがありませんがお悔やみを述べさせてもらいます」
何でも毒ガスを流した後、苦しむ生徒達にポーションをかけて助けられる者は助けたそうだ。
「半数は亡くなったが・・・・他の人達は罪状によりこの国の刑罰に処せられる」
「はい、ですが、私達も来たくて来たのではありません。そこをご配慮願います」
私は、田口と決闘をする事になった。
つまり、勝った方が無罪放免だ。
「おい、新田!お前がそんなに戦えるなんておかしい!俺の道具を皆持っていっただろう!そのせいだな」
「ええ、道具は感謝しています」
「フン!」
奴には首輪がつけられている。
多分、怪しいことをしたら、殺される魔法だろう。
私は何にもない。
銃はこの前のままだ。弾も一弾倉を切った。今、15発だ。
生き抜け。文言の一つも見逃すな。
異世界人を舐めるな。多分、私達と同じ知能レベルだ。
「では、決闘を始めます!装備はこの前のもの限定です。召喚は禁止です」
「よゆー!」
この前のもの・・・
私は防護マスクを持っている。
目をこらす。立会人たちも、何か持っている。そして、遠くに離れた。
これは、局地的に毒ガスを流す魔法があるのか?
「ドラがなったら開始です。もし、ドラがなる前に攻撃したら矢の雨が降ります。両方とも殺します」
私は逃げた。文言は『攻撃したら』だ。
「おい、何やっている!殺されるだろう!」
50メートルも離れると、田口は苦しみだした。
「ウガアアアアーーーー、マスク召喚!ヒィ、出来ない魔法を封じられている!」
風に舞う落ち葉から分かった。風の通り道が出来ている。
田口は倒れ。もう、起きてこなかった。
その後、女の人がやってきた。
フランカさんというらしい。
「ようこそ。貴女は無罪よ」
「幸子ちゃんは?」
「あの子は街の女神教会に行くわ。いつでも会えるわ」
「このガスは致死性のものではない。タグチは城に連れて行かれて、こちらの言うとおりに現代武器召喚をする事になるわ。まあ、奴隷ね」
「そうですか・・・」
何でも現代武器は厄介らしい。
パワーバランスを崩す。
こちらで復元して作れるものではない。
しかも、人に頼っている。一代限りだ。
・・・・・・
私はフランカさんの『落ちこぼれの連帯』に所属した。
服飾屋さんにはなれないみたいだ。
「へえ。君、すごいね。これが銃の中味か?」
「はい、どうも。すぐに汚れますね」
何とか、赤い本を見て、銃を分解し整備をしている。
私は銃の所持が認められている冒険者だ。
パーティーの物品を管理し。必要とあれば狙撃手として戦う。
「しかし、同じ日本人を殺したくありません」
「いいわ。貴女は参加するかしないかは自由よ。でもね・・・いつか参加する時がくるわ。きっと」
「はい・・・」
その時は、完全にこの世界の住人になっている時であろうか?
とりあえず。幸子ちゃんの女神教会にメロンっぽい瓜をお土産に持って行こう。
最後までお読み頂き有難うございました。