調和
在りし頃の情景が太陽の光に打ち砕かれていく。
邪な灰が雲に陰り刺々しい光が空を天球の端に追いやっていく。天上はヘドロと赤錆に侵されきってい た。
恥丘の如き山裾は押しつぶされ光が漏れ出し埋もれていく。母なる大地は澱んだ色に染まっていた。
この混沌に立ち尽くす者は夕日に導かれる。その円環の中の無を目指す。
ただ言えることは、「光と闇」に我を失い勝利の栄光を掴む者はいない。
☆
崇拝者はその肩を支え合った。
何かが空を包んで逃さぬ中でその先にある太陽をじっと見た。
風に吹かれたならその穂で拝み倒すしかない。
観測者は冷めた目で天地を見極める。
求めるように葉を伸ばすが日に当たることを常に嫌った。
だが照らされなければ枯れ果て、見られたものではない。
畜群はいつも地と共に生きた。
この惑星の地といえる全てを埋め尽くし沈黙していた。
とりとめのない流れに流されて時折波打たせるだけである。
黄金野原にあるのは光であり、残されたのは怒りであった。
人はこれに魅入られ美しいという――夜への恐れの為に。
ただ言えることは、「光と闇」に我を失い、全てが望みの色に染まるだけであった。