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使命
しばらく空に消えるのを眺めていた。
薄い雲が幾らか遮って、空には太陽がある。 灰の空で輝く様は綺麗とは言い切れず、日は天の誰かに押し窄められている。
虚無感であった。
空の半途に、自分と天の間に、越えられぬ透明の壁があるような気がする。
気分が悪いので日を直視するのは止した。 柵に寄って田舎の風景を眺めてみることにする。
霜降の頃で紅葉がよく映る。 だが、それと同程度に刈られた田の風景も沁みた。山の空気は地にまでは来ないのだ。
だから、日も下に落ちず、人々には見えない重みがあった。
感傷に浸るとどうにも悪い。
――ならば、一旦、なにもかも忘れてしまおうか
秋の風に吹かれて、さあっと山が鳴った。
そうして、目を背けた時だ。 ふと見ると女の顔があった。
いつから居たのかは判然としないが、俺と同様にその 閑散に見入っている。
黒髪がうなだれて顔を半分ほど遮っていた。 白衣を着ている。ナースかと思ったがどうやら着物の ようである。
気味が悪かった。死に装束のような出立である。
彼女がひんやりとした秋風に髪を梳いたのを見て、思わず俺は口を大きく吸った。
次には、驚くことも忘れて彼女の名を叫んでいた。




