第17話 金髪の少女
大会が終わって、1日経った。
賞金も貰えた。
俺が2位。シュゼは3位。
パーティ合計で天貨40枚、随分潤った。
で、今いるここはヌィンダの家だ。
ウドレスト領の隣。
ミーヴが住んでいた領地、サトゥーア領とも面している森の真ん中辺りにある小屋。
真ん中といっても、木こりも誰も来ないような奥地だ。
「だぁっ!」
シュゼがヌィンダに向かって木刀を振り下ろす。
ヌィンダは軽くそれを受け流す。
シュゼとヌィンダの模擬戦中なのだ。
昨日シュゼの実力をちゃんと見れなかったから。
ヌィンダは刃術も結構イケるらしく、長い棒を持って戦っている。
多分、槍のイメージなんだろう。
「なるほどな......やはりシュゼも強い。鍛えればどうとでも伸びる」
いつの間に決着が着いたのか、ヌィンダがシュゼを引きずってくる。
木刀も奪い取ってあった。
シュゼはその状態でも殴ろうとするも、簡単に避けられてしまっている。
「ミーヴ、治してやれ」
「は、はい。―――魂術『治癒現象』」
ミーヴが手をかざすと、シュゼの傷が治っていく。
「次はアルタだ。掛かってきな」
「はい」
▶▷▶▷▶▷
あの後は当然の如く負けた。
大会では手加減されていたことがよーく分かった。
ミーヴに魂術をかけてもらったけど、まだ節々が痛む。
時刻は夕暮れ少し前、窓から差し込む光はだんだん赤くなってくる。
「えっと......」
ミーヴの青い髪に、夕日が反射している。
「ヌィンダさんいないけど......あのキッチン使っていいかのな?」
ミーヴが呟く。
いないのだ、ヌィンダが。
修行が終わった後、ヌィンダは昨日の賞金の半分くらいを持って出掛けた。
カジノに行くらしい、趣味なんだとさ。
「いいんじゃないか?『好きに過ごしてろ』って言ってたし」
シュゼは楽観的に答える。それは俺も同意だ。
本人の許可は下りてる。キッチンぐらい別にいいだろう。
「俺もいいと思うぞ。ていうか......何か作るのか?」
「うん。料理はお母さんから習ってたから、大丈夫だよ」
ミーヴがキッチンに立っている。
なかなか様になってるな。
「2人とも、日が暮れちゃう前にそこの川で水浴びして来たら? その間に作っとくよ」
「分かった。行こうぜ、アルタ」
「おう」
俺たちはキッチンに立つミーヴを尻目に小屋を出た。
▶▷▶▷▶▷
小屋を出て庭を出れば、後は森が続くのみ。
日光がシュゼの顔を照らしてる。
つり目の青い瞳。
力強い、刃術使いの少年の姿が、心なしか可愛くも見えてしまう。
近くの川は小さいものだ。
川が低い崖になってる部分からちょうどいい感じの滝が出てる。
そこはヌィンダも行く場所らしく、道らしい物ができている。もちろん舗装なんてされてないが。
「おっし、着いたな。どっちが先に浴びる?」
「お前からでいいぞ、シュゼ」
「おう」
やりとりした後、シュゼが滝に向かって走っていく。
俺は来た道に向き直る。
森。道。赤い空。
似てるな、あの殺された日に。
シュゼが服を脱ぐ音がガサゴソ聞こえてくる。
次に、バシャバシャと川の中を歩く音が聞こえる。
俺は視線を川に移す。
綺麗な川だ。夕日が反射してキラキラしてる。
水は透き通っていて、小さい頃に村の川で遊んだのを思い出す。
「―――なぁアルタ、やっぱ時間かかるし一緒に浴びようぜ」
「確かに、もう日が落ち......そ......」
俺は絶句した。
視線の先には水浴び中のシュゼがいる。
当然、裸だ。
そして背中側からしか見えないその裸体は、線が細く柔らかかった。
「ん? どうした?」
シュゼが手を腰に当て、こっちを向いた。
水に濡れた裸体が完全にあらわとなる。
そこには、裸体を晒すことを恥じようとしない
少女がいた。




