まあ、成るように成れ
特に大きな問題も無く、テストが終わり、当然の如く、順位は1位をキープしたまま
夏休みーーーー!の前に、悠先輩に、雑用バイトの返事をしなくてはいけない訳で…
働こうと思って居たコンビニに話を聞きに行ったら、履歴書をちらりと見ただけで
不採用になってしまった。
まあ、理由は“お貴族様の学校に通ってる奴に仕事が出来るのか”という事なんだろう。
いや、そう言われては居ないけれど。
他も何種類か応募してみたけれど、面接すらして貰えなかった。
此処迄来ると呪われて居るんだろうかと思わざるを得ない。
気のせいだろうけれども。
きちんと細かな部分まで読んで、応募資格があるかどうかも確認し、両親からも学校からも許可は得ているのに、悉く落ちる。
此れを呪いと言わずに何というのか。
そもそも、私が通っている学校は、バイト禁止では無い。
卒業後、大学に進み、その後、各々、自分たちの家が経営している会社や店に就職する人達が殆どだが、社会勉強として、他の職種でバイトをすると言う人も、其れなりに居る為、バイトはしても大丈夫だ。
まあ、一応未成年が働くには、色々な許可が必須だから、学校側に知らせなくてはならない。
どんなバイトをしようが基本学校側は無関心だが、流石に法的に未成年が働いてはいけない場所の場合、物凄く怒られる。親の手伝いだろうが、怒られる。
怒られるという言い方はだと、軽い気もするが、そうとしか言えない。
何せ此の学校は貴族が通うための学校で、教師陣も貴族が殆どで、処罰によっては、家同士の揉め事に発展しかねない。
そう言う揉め事にならないように、ただ怒られるだけで終わる。
厳重注意、警告と言う感じで怒られる。
まあ、其処でも気を遣うのが、年齢制限があるバイトをした生徒より、怒る側の教師の階級が上では無ければならない。と言う決まりがある。
揉め事怖い。(要約)
そんなこんなで、結局バイトは決まらず、1学期最終日。
本当は自分の力だけでバイトを決め、バイトをしたかったけれど、無理そうなので
悠先輩からの提案を受ける事にした。
のだけれど。
基本、悠先輩は出没気没で私が自ら、悠先輩を探した事は無いから、何処に居るのか全く見当もつかない。
よくいる場所は、生徒会、図書室、悠先輩の教室と、麗斗先輩が居る場所(此れもよく解らない)
取り敢えず図書室から探そう。
…奥の棚から探そうと思ったら、黒いサラサラヘアの人が一心不乱に本の整理をしているのが見えた。
生徒会長暇なのか?
とか考えてはいけない。
あの棚は、謎の棚だ。
この前見た時は、植物図鑑の横に、発酵食品の秘密とか言う本が置いてあり、その横には微生物の本が 有った。
そのまた隣には、食物連鎖の本が置いてあり、その横には動物図鑑が有った。
時々色々変更されてたのは知って居たけれど、麗斗先輩がやって居たのか。
そう言えば前に此処で悠先輩にあった時この場所の入れ替えをしている人を知って居た素振りが有ったけれど、こういう事か。
ふむふむ、と考えて居たら、麗斗先輩が振り返った。
思いっきり目が合う。と、早歩きで私の前に来て
「君は!」
と図書室で出してはいけないレベルの声を出して話し掛けられたので
【図書室ではお静かに】
と書いてあるか張り紙を指さした。
麗斗先輩は其れに視線を向け、再び私に視線を戻す。
そして、一度机に向かい、メモ帳とペンを持って来て
【君は傘の子!】
そう書いた紙を渡してきた。
そう言えば傘戻ってきてないな。
【いつか返そうと思って居たのだが、なかなか会えなくて、どうしようかと思って居たが、こうして会えて良かった】
【この後時間はあるかい?傘を返したいのだが】
取り敢えず頷いておく。
返してくれるのなら、返してもらおうと思う。
序に、麗斗先輩なら悠先輩の居場所か連絡先知って居るだろうから、丁度良いかもしれない。
【後5分程待って居てくれると有り難い】
5分で良いんだと思った。
麗斗先輩の居た場所の足元には軽く20冊ほどの本がある。
其れを5分で…
と思って居たら、物凄い早業で本棚に入れていた。
…まあ、やっぱり、並び順は謎だけれど。
【お待たせ。行こうか】
そう書いた紙を見せ、歩き出す麗斗先輩の後ろを歩く。
取り敢えず脚が長い。モデルみたい。
図書室から出ると行く先々で、見惚れる生徒達が居て居た堪れない気がするけれど
周りの生徒には私の姿など見えて居ないかのようだった。
そう言えばゲーム内では何か光り輝く発行体…の様な描写が有った気がする。
一応メインのイケメンキャラなのに、別キャラ攻略に入るとギャグキャラ扱いをされていた。
よく、麗斗先輩ファンが怒らなかったなと思う程。
生徒会室に着くと、ずんずんと、室内に入っていく、麗斗先輩。
私は、外で待って居る。
生徒会室は特殊な場所だ。
基本的には、生徒会役員しか入る事を許されていない。
教員も、許可されなければ入ることが出来ない。
だから、外で待って居る。
ゲームだった時、麗斗先輩ルートでは、そんな設定無視で入って居たけれど。
室内から
「悠、お茶の準備をしてくれないか」
「お茶の種類は」
「ちょっと聞いて来る」
「ん?麗斗が飲むんじゃないの?」
「傘を借りて居た人が見つかったから、礼をしたくて…」
「何処に居るの?」
と言う会話が聞こえてくる。
麗斗先輩は生徒会室から出てくる。
「飲み物はが何が好き?」
「お気になさらず…」
「あの時は本当に助かったんだ」
…断り辛い。から仕方なく
「アップルティーが好きです」
と答えた。




