《2日目》ノゾキハダメゼッタイ
三人が気を失っている間にキッチンをかだづけて(何度か気を失いかけたが)まともな料理を作り。三人の目が覚めた後食事を済ませた。
「まさか二人が殺人料理人だとは思わなかった……」
「「ごめんなさい」」
「《異世界》の料理ってこんなに恐ろしいのか?」
「いや、《異世界の私》が料理下手なだけだと思う」
《異世界》の鈴奈の周りの人は可哀想だな。ご愁傷様。
恵美もそういえば調理実習は苦手だった気がするな。
「ゲテモノは美味いの法則は間違ってたのか……」
「あれはゲテモノじゃなくてただのダークマターだ。未現物質だ」
優輝もよくあんな汚物(失礼)を食べようと思えたな。僕は近づくのも少し躊躇したぐらいなのに。
「僕と優輝で台所かだづけておくから二人は風呂に入っといて」
「OK」
女の子二人はキャッキャとはしゃぎながら風呂に向かった。女の子は一緒に風呂入るの好きだよな。なんでだろ?
「後は頼む」
「おう」
優輝は一足先に台所を離れた。目的は偵察だ。なんのかって? 決まっているだろう常識的に考えて。
僕は食器を洗い終わった後自室に戻りドアをノックした。
コンコン
「合言葉は?」
「ノゾキハダメゼッタイ」
「よし、入れ」
許可が出たので部屋に入った。
そう。僕らはお風呂を覗きをするのだ。女の子とお泊まりをしたらお約束だろう。合言葉はカモフラージュだ。カモフラ率は−60%ぐらいだが問題あるまい。
「しかし相棒がその気になってくれるとはな」
「もうなにも怖くない」
「おい死亡フラグ立てんなこえーよ」
「そんな事はどうでもいい。状況は?」
「二人はすでに入浴中だ。ケータイを脱衣所に置いて来たから会話は筒抜けだ。ついでに下着は見てない」
これはあくまで僕等のポリシーだが下着は見ない様にしている。もしかすると見たくないものがあるかもしれないし、何よりそれ以上のものがその先にあるのだ。下着なんかで満足してはならない。
「よし、僕から第三次《下は大火事、上は洪水作戦》の内容を説明する」
「もう三回目か……」
「そこ! 私語を慎め! 作戦中もそんな事ではターゲットにばれてしまうぞ!」
「了解!」
「よし。作戦内容だが僕は脱衣所に待機。優輝は玄関を出て家の外の風呂の窓に待機だ」
「了解」
「まずは僕がターゲットの注意をそらす。あらかじめ風呂に置いておいた歯ブラシを忘れ物と称して探してもらうのだ。その隙に優輝は窓から中を覗く」
流石に人の彼女の裸体を見るのは気が引けるので僕はサポートに徹することにした。
「タイミングはどうする? 俺のケータイは中の会話を聞くために脱衣所にあるし、お前のは俺のケータイと通話状態だぞ」
僕はニヤッと不敵な笑みを浮かべると勉強机からあるものを取り出した。
「こいつを使え」
「こ、これは……トランシーバー‼︎」
「二つで一万円した」
「さすが覗きのプロ。格が違う」
「ふっ、まだ一度も成功してないけどな」
深刻なツッコミ不足だ。しかしこんなに馬鹿高いトランシーバー買ってしまったとは。我ながら呆れる。もう少し安いものもあ……ゲフンゲフン。
「作戦開始時刻は二十時三十分だ」
「了解!」
部屋から出ようとした時、僕のケータイから女子二人の会話が聞こえてきた。
『うわ! 鈴奈ちゃん胸おっきい! 触らしてー』
『わっ! くすぐったいよ〜! お返し!』
『あんッ! やめて〜』
「……」
「……そのケータイ俺にかしてくんない?」
「絶対に手放さない」
そんなわけで 僕らの戦は始まった。
「脱衣所前に到着どうぞ」
『こっちも準備完了どうぞ』
「よし、今から恵美達に声をかける」
風呂の中では女子二人がキャッキャツウフフと楽しそうに話していた。妄想が止まらないが作戦が優先だ。
「ごめん! 風呂場に歯ブラシ忘れたんだけど、そこにない?」
「ああ、それならお風呂に入ってすぐに気がついたから脱衣所に置いておいたわよ」
「あっおお。ありがとう」
不足の自体だ。まさかすでにトラップは取り除かれていたとは。
しかし、こんな事もあろうかとサブプランを用意しておいた。
「歯磨き粉もあると思うんだけど?」
「歯磨き粉? 見当たらないよ。ちょっと待ってて」
見当たらなくて当然だ。置いてないんだから。これで隙を作ることができたので後は優輝に連絡する。
「今だ!」
『了解!』
後は作戦成功を祈ってこの場を去るのみだ。ミッションコンプリィィィト!
抜き足、差し足、忍び足で移動していると誰かに肩を掴まれた。
「何処行くのかな?」
「ファ────!?」
そこには何故か服を着て顔を真っ赤に沸騰さしている恵美がいた。
「えっと。どうしたのお風呂は?」
「こんなものがあったら誰でも警戒するわよ」
恵美はポケットからケータイを取り出した。どうやら盗聴がばれていたらしい。
「知ってた? 通話中って事はそっちの声もこっちに届いてるんだよ」
「……やっちまった」
「適当に鈴奈ちゃんと胸の話しただけで簡単に釣られて来たし」
「あれわざとだったのね……」
自室に連行されると優輝と鈴奈と合流した。そこで漢二人で正座する。お説教の時間だ。
「これで何度目よ?」
「「三回目ッス」」
「前もその前も言ったよね?もうしませんって」
「はい。だけど二度ある事は三度あるって言うし……」
「DA☆MA☆RE」
「すみません……」
既に僕らが知っている恵美はもうどこにもいない。あれはただの鬼だ。一方鈴奈は顔を赤くしてモジモジしてた。覗かれるのが初体験だったのだろう。今は申し訳ない事をしたと思っている。優輝はと言うと天に達した様な謎の表情だった。見れたんだろうか、見れなかったんだろうか。真実はわからない。
とにかく僕が言いたいのはこれだけだ。
反省はしている、だが後悔はしていない。




