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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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第56話 選択肢は多い方がいい

「……あなた、何者です?」


 失礼なやつだな。


「鍛冶師だ」


「まあ、一条さんがおかしいのはいつものことなので。目的も達成しましたし、そろそろ締めますよー!」

「……そうだね」


 近藤がカメラに向き直る。


「今日は桜坂魔装製作所の皆さんと、11階層から15階層まで探索してきました」

「ばいばい」

「早いっ! 葵ちゃん、もっと感想とかあるでしょ!」

「青が欲しい」

「それしかないんですか……」


『最後まで青w』

『ブレないな』

『ミノタウロスより青』

『葵ちゃんの目的変わってるw』


「茜さんはどうでした?」

「楽しかったですよ。蒼雷の皆さんと一緒だったので、安心して探索できましたし」

「ですよね!」

「葵ちゃんの武器も問題なさそうでしたし」

「かっこいい」

「はい。それもですね」


『かっこいいは大事』

『そこは譲らないw』


「蒼雷の皆はどうだった?」


 近藤がそのまま引き取る。


「俺たちも楽しかったです。普段とは違うメンバーと動く機会はあまりないので、新鮮でした」

「私も楽しかったよ」


 鷹宮が笑う。


「今度は本当にシャッフルとかもしてみたいね」

「いいですね!」


 桃は好きそうだな。


「チーム分けとかも面白そうです!」

「それは楽しそうだな」


『次回企画始まったw』

『シャッフル見たい』

『もう次やる気じゃん』

『今度は一条も戦え』


「一条さんも次は最初から参加してくださいね」

「必要ならな」


 まぁ、配信で俺が必要になるような階層には行かないだろ。


『必要判定から入るなw』

『次も監督する気か』

『収納袋係』

『最後に全部持ってったけどw』


「その辺りはまた相談ということで」


 近藤が笑って話を戻す。


「それでは、今日はこの辺で終わりたいと思います。桜坂魔装製作所の皆さん、ありがとうございました」

「こちらこそありがとうございました!」

「ありがとうございました」

「ん」

「また機会があればよろしくお願いします」

「ぜひ!」


『おつー!』

『またコラボしてくれ』

『次はシャッフルだな』

『葵ちゃん青い武器頑張れw』

『一条の剣また見たい』

『蒼雷もおつ!』


「それでは、ありがとうございました!」

「ばいばい」


 配信が切れた。


「終わったー!」


 桃が大きく伸びをする。


「じゃあ帰るか」

「一条さん、少しいいですか?」

「なんだ?」


 近藤がまだこっちを見ている。


「さっきの戦いを見て気になったんですけど、一条さんってどこまで潜ったことあるんですか?」

「30階層までだな」

「30?」


 蒼雷の五人が揃ってこっちを見る。


「一人でですか?」

「ああ」

「……なるほど」


 何がなるほどなんだ。


「実は俺たち、今20階層で止まってるんです」

「そうなのか」

「4回挑戦してるんですけど、まだ倒せてなくて」

「20階層なら猿だったな」

「そうです。途中から子分を呼ぶやつです」

「そんなの出るのか?」

「え?」

 

 数が出るなら魔石集めには最適かもしれないな。


「……まぁいいです。それで、一条さん」

「なんだ」

「さっき俺たちの戦い、見てましたよね?」

「ああ」

「何か気になったところってありました?」


 本気で戦ってるところを見たわけじゃないが……


「役割が明確すぎるかな」

「役割?」


 まず小鳥遊を見る。


「さっきのボスだが、回復が必要になりそうだったか?」

「え?」

「力の差はあっただろ」

「……はい。かなり余裕はありました」

「なら攻撃してもよかったんじゃないか?」

「でも、何かあった時のために魔力は残しておきたいので」

「ああ。それは必要だな」

「え?」

「回復が必要になりそうなら温存すればいい。さっきはそこまでじゃなかっただろ」

「……そうですね」

「余裕があるなら回復だけに絞る必要はないと思うぞ」


 次は鷹宮。


「鷹宮もだ」

「私?」

「攻撃する余裕なかったのか?」

「……あったね」

「なら攻撃すればいい」

「盾役だからって、ずっと守る必要はないってこと?」

「必要な時に守ればいいだろ」

「なるほどね」


 速水を見る。


「速水は隙を作るのが役割だったな」

「はい」

「隙ができたら踏み込まないのか?」

「俺がですか?」

「自分で作った隙だろ」

「まあ……攻撃はできますけど」

「なら殴ればいい」

「近藤さんに任せるんじゃなくて?」

「二人で殴った方が早いだろ」

「……そうですけど」


 最後に紅愛を見る。


「紅愛は魔法を決めにいきすぎてるな」

「決めに?」

「ああ。大きい魔法に拘りすぎだ」

「ですが、火力を出すのがわたくしの役目ですわ」

「それは分かる」

「では?」

「でも相手からしたら、たまに来る大きい魔法だけ警戒すればいいだろ」

「……」

「それより、威力を落としてでも細かく魔法を飛ばされた方が嫌じゃないか?」

 紅愛が少し考える。


「状況次第ですわね」

「ああ。なら、状況に応じて変えてもいい」


 毎回大きいのを撃つ必要はない。


「役割を決めるのはいいと思うぞ」


 近藤を見る。


「ただ、それしかやらないのはもったいない」

「……なるほど」

「まあ、今のままでもある程度までは進めると思うけどな」

「15階層までは問題ないんです」

「ならいいじゃないか」

「俺たちはもっと先まで進みたいんです」

「なら何か変えてもいいんじゃないか?」

「そうですね……」


 近藤たちが黙る。


「役割をなくせって言ってるわけじゃないぞ」

「え?」

「決めてた方が動きやすいこともあるだろ」


 ただ。


「選択肢は多い方がいい」


 それだけの話だと思うんだが。


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