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性能しか見ていない鍛冶師、左遷先でなぜかバズる~性能特化で赤字子会社を立て直す~  作者: Masaki


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第48話 コラボ

ブランド開発室で資料を見ていると、扉が勢いよく開いた。


「大変です!」


 桃だった。


「どうしたの? 桃ちゃん」


 茜が顔を上げる。


「コラボ依頼が来ました!」

「コラボ?」

「はい! モモちゃんねるに、コラボしませんかって依頼があったんです!」

「誰?」


 葵が聞いた。

 桃が嬉しそうに笑う。


「ふふふ……驚かないでくださいよ? なんと、あの蒼雷からです!」

「誰?」

「有名なの?」


 葵に続いて、茜まで首を傾げた。

 誰も知らないなら驚きようがないな。


 俺はそのまま資料に目を戻した。


「一条さんも聞いてくださいよ」

「モモちゃんねるの話だろ。俺は関係ない」

「ありますよ」

「なんでだ」

「これ、私個人への依頼じゃないんです」


 桃が端末を持ってくる。


「パーティーでコラボしませんかって書いてあります」

「パーティー?」

「はい。私たち4人でダンジョンに潜ってると思われてるみたいです」


 4人。

 桃、茜、葵……俺か。


「ちゃんと見てないな」

「そこは私も思いました」


 桃が少しだけ不満そうに言った。


「私たち、パーティーじゃないですよね」

「会社の人」


 葵が言う。


「そうですね」


 茜も頷いた。


「探索者登録はしてますけど、4人でパーティーを組んで活動してるわけじゃないですし」

「そもそもそんなにダンジョンに行ってないだろ」

「そうなんですよね。そこは完全に勘違いされてます」

「よくそれで依頼したな」

「視聴者から名前が出たみたいですよ」


 桃がメールを開く。


「蒼雷の配信で、次にコラボしてほしい相手を聞いたらしくて。その時に私たちの名前が結構出たみたいです」

「それで?」

「15階層まで一緒に探索しませんかって」

「15階層……」


 茜が少し考える。


「私たち、10階層までしか行ってないですからね」

「向こうもそれは知ってるみたいです。危ない時はフォローしますって書いてあります」

「親切」


 葵が言った。


「そうなんですよ!」


 桃は嬉しそうだ。

 知らない相手にそこまで喜べるのもすごいな。


「それで、一条さんも参加してくださいね」

「出ない」

「早い!」

「仕事じゃないからな」

「モモちゃんねるのコラボですけど……」

「仕事以外は予定がある」

「そこをなんとか!」

「断る」

「即答!」


 桃が俺の机の前まで来る。


「一条さんがいないと、4人じゃなくなっちゃうじゃないですか」

「最初から4人組じゃないだろ」

「それはそうですけど!」


 分かってるならいいだろ。

 桃はしばらく考えたあと、端末を見下ろした。


「じゃあ、会社のチャンネルに依頼してくださいって返します」

「なんでそうなる」

「会社の依頼なら仕事ですよね?」

「……」


 そうなるな。


「桃ちゃん、ちゃんと説明した方がいいんじゃない?」


 茜が言う。


「もちろんです。私たちは探索者パーティーじゃなくて、会社のメンバーですって。そのうえで、4人でのコラボを希望するなら、桜坂の公式チャンネルにお願いしますって返します」

「それならいいと思う」

「ですよね!」


 桃がすぐに返信を打ち始めた。

 そこまでしてコラボする必要があるのか。


 人気の探索者パーティーなら、他にも相手はいくらでもいるだろう。


 その話はそこで終わった。

 と思っていた。


 数日後。


「一条さん、少しよろしいですか?」


 詩がブランド開発室に入ってきた。


「ああ」

「公式チャンネルにコラボ依頼が来ています」

「コラボ?」


 桃が反応した。

 詩がタブレットを確認する。


「蒼雷が所属しているクラウンのマネージャーさんからです。合同探索配信を希望されています」

「本当に来た!」


 桃が立ち上がった。


「桃ちゃんが会社に送ってくださいって返したんでしょ?」

「そうですけど、まさか本当に来るとは思わないじゃないですか!」


 何のために返したんだ。


「こちらが探索者パーティーではないことも説明したうえで、それでも4人での参加を希望されています」

「本当に4人で?」

「はい」

「依頼内容は?」

「桜坂の皆さんと一緒にダンジョンを探索したいそうです。先方は15階層以降を中心に活動しているパーティーとのことですけど、今回は15階層までの合同探索を想定しているそうです」

「15階層」

「こちらがこれまで10階層までしか探索していないことも把握しているようで、必要ならサポートする、と」


 桃が俺を見る。


「一条さん」

「なんだ」

「仕事になりましたね」


 嬉しそうに言うな。

 俺は詩を見る。


「断れないのか?」

「会社としては前向きに検討したいそうです」

「理由は?」

「蒼雷は15階層以降を中心に活動しています。これまで桜坂を知らなかった層にも商品を知ってもらえる機会になります」

「なるほど」

「それに、今後は中級者向けの商品も検討したいそうです。今回のコラボは、その参考にもなるかと」

「結局、宣伝か」

「大事です」


 そういうものか。


「楽しみ」


 葵が言った。


「蒼雷がどんな方たちか、少し調べておいた方がよさそうですね」


 茜も乗り気らしい。

 桃はすでに端末を操作している。


「じゃあ、日程の調整しますね!」


 仕事なら仕方ない。

 15階層までなら、特に問題もないだろう。


「いちじょー」

「なんだ」

「新しい武器ほしい」

「なんでだ」

「15階層行くから」

「今ので十分だろ」

「もっと強いの」

「なら自分で作れ」

「いいの?」

「ああ。試作なら問題ない。設計からやれば経験にもなる」

「分かった」


 葵が頷く。


「青がいい」

「自分で頑張れ」



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