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「旧作」闊歩する禁忌  作者: ふぇるさん
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第41話 死んじゃった?

もしもなんですが、『ここ分かりにくいな』ってところがあったら、教えて頂けると嬉しいです。


数えたところ、ベットは25個ある

その内6つは誰も使用していないようだ。


温もりのない石床を這い、前に進む

…これって匍匐前進ってやつだよね?


ずっと前に見た軍事関係の動画のほふく前進を思い出しながら、行動に移してみる。


……これ結構面白いな。




端っこから一筆書きになるように治療をしていく。



行ったり来たりしていると、誰を治療したのかわかんなくなっちゃうからね。




患者の介抱を行っているのは3人

現在、彼らは1人の病人を集中治療しているようだ。


どうやら彼は、搬送されて間もないようだ。

水泡が、鱗を皮膚の下から押し上げているのか、体の所々が腫れている。

恐らく、これが破裂することにより、出血するのだろう。


3人は、既に出血してしまった所の止血や、膨らんで来た水泡を、潰れないように丁寧に包帯を巻いていた。


3人は彼の治療に集中しているので、光に気づくことはないと思うが、詠唱の時に声を出してしまうと1発でバレるので、極力声を出さないように治療をする。




…これって無詠唱だよね?


実は無意識だったが、かなり前から無詠唱を使っていたのだ。


こうして意識して使ってみると、改めて無詠唱の便利さが理解出来る。


口で魔法を発動すると、2つの呪文を唱える時、いちいち1つずつ唱えなくてはならない。

同時に2つの呪文を、1つの呪文として唱えることもできるが、その場合は同時ではなく、ただ呪文を繋げたり、織り交ぜたりしただけなので根本的な短縮にはならない。


だが、無詠唱なら、並列思考を用いることにより、2つの呪文を同時に頭の中で唱えることができる。

すなわち1()()()()()()で同時展開できるのだ。

しかも、頭の中で思い浮かべるだけでいいので超瞬間的に発動することもできる。


まぁ、要するに無詠唱を使えば魔法がくっそ早くなるってことだな。


そんなことを考えながら治療をしていたら、1人を除いて全員治療が完了した。


やはり心配になってしまう。

さっきまで荒かった患者達の息は、今は嘘のように静まり返っていた。


…死んでないよね?(2回目)

口元に手を当てて確認する。


…うん。ちゃんと息してる。


現在、俺は集中治療を受けているトカゲ人間の隣のベットの下にいる。



集中治療が終わるまでは暇なので、アビュをいじってる。


エデン遅いなぁ…


荷物を置きに行っただけなので、既に終わっているだろう。

もしかすると、今俺のことを探しているのかもしれない…あぁ…待ってれば良かったなぁ…


そんなことを考えていたら、あまりの静寂さに不信感を持ったのだろう。1人が一時的に作業を止める。



「…おかしい…静かすぎないかな?」



「そういえば患者の呼吸の声がしないわ…」



「なんだって!?くそっ!!」



治療を施していた3人の視線が他の患者に移った隙を見て、集中治療を受けていた人のベットに移る。


ちなみに、ヴァイスとアビュは先程のベットの下に置いてきた。

見つかったら大変だからね。





「どうして…なんでだよ…」


…めっちゃ泣いてる…罪悪感がヤバすぎるぜ。


…まぁ、エデンが来たら説明してくれるだろう。

誤解が解けなくとも時間が経てば、みんな目が覚めるから、何とかなると願いたい。


治療したのはいいんだけど、包帯のせいで他の人から見たら、なんの変化も無いように見えてしまう。


勘違いしちゃうのもしょうがないのかもね。






患者の体の下に右腕を滑り込ませる






ーー不注意だった


患者を治療していた3人の中で、体格のいい1人がこちらを見ていたのだ。




「敵だ!!」



彼の表情は、悲しみから怒りに変化した。


それは、仲間を殺されたという北上への怒り、仲間を守れなかったという遺憾さ、そして北上の触れている彼、ロイズを…せめてロイズだけでも助けなくては、という責任感が込められていた。



「ツヴィンガー!!」



彼の体格は物語っていた。

いくつもの戦いをくぐり抜けてきたことを


北上が、ロイズという男性に触れているという状況の中で、どのようにすれば、ロイズを救えるのか

絶望的な状況下の中、彼は最適解を導き出した。


周囲の被害がなく、そして確実に北上を止められる方法を




彼の手のひらから、魔法で出来たどす黒い剣が放たれる。



突如放たれた魔法に、反応できる訳もなく、北上の頭にクリーンヒットした。



その剣は、怨念や怒り、悲しみなどの負の感情の塊で出来ているような禍々しさがあった。









それはあっさりと、頭を貫き…






彼を地に伏せさせた。












「くそっ…あんなのに…生態系最底辺のやつに皆が殺されたなんて…くそ!!」


「やめなさい。そいつを蹴っても何にもならないわ。」


「分かってるよ…くそっ!」


「…感情的になるのは後だ…今はロイズの確認を…」


「…ええ」「…うん」










3人は、恐る恐る最後の1人の安否を確認した。


彼の様子を見て、1人の女がこう答える。




「ダメ…もう呼吸をしていない…」




彼女が顔を横に振ったのは、彼らを絶望させる材料に十分だっただろう




…ただ、1人を除いて。






「…いや、待て」



体格のいい男は、ロイズの口に指を近づける。



「デニス…?」



やっと彼は、違和感に気がついたのだろう。


指を近づけると、息が指に触れたのが分かった。


感染症にかかった人達のような荒々しい呼吸ではなかった。


そして、今にも途絶えてしまいそうな、弱った呼吸でもなかった。



それはまるで、健康な人間が寝ている時に発するような、安らかな呼吸であった。



「…ナイフを…ナイフを出してくれ…」


「ど…どうしのデニス…まさか…」


「違う!ロイズは生きている!」


「本当!?」



2人も彼の口元に手を当てて、確認をする。


…2人も察したようだ。



ロイズ…彼の異様な状態を


デニスと呼ばれた体格のいい男が、包帯に刃を入れ始めたた。


そこにあったのは、体を覆い尽くさんばかりの腫れや水泡、そして傷痕…ではなく健康体そのものだった。



「まさか…」



急いで隣の人の包帯をほどく。


…包帯を解かれた彼の体も、傷一つない健康体の状態であった


「これって…」



3人は、既に絶命したであろう真っ黒な甲殻を纏った小竜を見つめた。





3人が困惑している所に1人の男が、伺うように入ってきた



そう。エデンである。



「ごめん、子供ぐらいの大きさの竜見なかった?…こう…真っ黒で、2足歩行の…」



3人は、冷や汗を流す。


もし、この予想が当たってしまっていたら…と考えたのだろう。



体格のいい男…デニスが口を開く。


「…そいつは何しにきたんだ?」



その答え、エデンの発した言葉がその”疑惑”を”真実”に変えた。




「ああ、大丈夫大丈夫、彼は害の無い竜だよ。信じられないかもだけど、もしかすると彼はこの感染症を治せるかもしれない力を持っているんだ。」



その真実を知った時、


3人は逃げ場のない罪悪感に包まれた。




彼らは知ってしまったのだ。

私たちが殺したのは、一族の恩人だということを…





終わらないよ?


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