因
評価10くれた方いてびっくり感謝です。その上で申し訳ないんですけど、これは骨格みたいなつもりで書いていて一旦最後までいったらちゃんと肉付けしながら改訂版書くつもりです。最初に書いておけばよかったですね。
気付いたら産声をあげていた魔法使いちゃん。うっすらと前世の記憶があって、天才で、ちょっと性癖が歪んでるだけの魔法使いちゃん。それが私。
幸い、両親は優しく、平民にしては余裕があり、将来の夢を持つこともできた。将来の夢、そう、誰かを曇らせたいという性癖を満たすことである。
そのためにはまず、曇らせる相手を探さなくてはならなかった。曇らせは我が性癖、つまり誰かを曇らせることは性行為そのものである。生憎、私は誰にでも股を開いて興奮するビッチではない。一途な魔法使いちゃんなのだ。一生をかけて愛する人を曇らせたい。ただ、それだけ。
成人が近づき、将来について焦り始めた頃、私は運命となんて詩的に語るほどの衝撃だった。
文字どおり、一目惚れ。
初級ダンジョンでイレギュラーのドラゴンに襲われていた男の子。護衛と思われる者たちはパット見全てが屍と化していた。
呆然とする彼を咄嗟に助けた私の背中を見る、血に濡れた畏怖と憧憬を浮かべた目に惹かれた。
彼は聖剣を抜くことができた今代の勇者ユウ、魔王を討つのだそうな。
何としてでもお近づきになろうと策を練ろうとしたが、仲間を求めていたらしくトントン拍子で私は彼のバディとなった。
会ったその瞬間から今―――魔王城に至るまで幾度も命を救われた。僕に魔法の使い方を教え、更には聖剣の仕組みを解析して曲がりなりにも聖剣を扱えるようになったのも彼女のおかげ、ずっとお世話をされていた。
そんな彼女が気にならない訳が無い。
弱くて情けない僕だけど、受け入れてもらえるだろうか。
いや、魔王を倒したらプロポーズしよう。きっと彼女なら苦笑しながらも頷いてくれるだろう。
特級建築士