魔王誕生!
「なるほどねぇ……それで俺の持つ最後のかけらが必要なわけだ」
切れ長の眼がこちらを捉える。
オレたちはアルトゥーレにこれまでの経緯を説明していた。
話を聞くヤツの顔が何となく楽しそうに見えるのは気のせいか?
「ああ、と、言うわけでくれ!」
「だが、断る!」
オレが真摯にアルトゥーレに頼み込むが、アルトゥーレはそれを即座に拒否する。
くそう、やっぱダメか。
「そこを何とかならぬか、アルトゥーレ殿」
今度はガイアスが頼み込む。
シルフィーナはアルトゥーレを警戒しているようだ。
アルトゥーレはそれを一瞥し、
「そうだなぁ、やっぱり戦って奪うしかないんじゃないか?」
さらっと、とんでもないないことを言うアルトゥーレ。
くぅ、やはり戦わなければならないのか……
オレは身構えるが、アルトゥーレは笑って、
「くくく、冗談だよ、別にくれてやるよ」
ぽいっとかけらをオレに渡す最強吸血鬼。
「いいのか?」
「ああいいぜ、俺はただそこにいるヤツに渡されただけだからな」
オレの背中の剣を見ながらそう言う。
こいつ……ドラグニオスのことははぐらかして話していたのに、自分で気づいたっていうのか!?
「とりあえず、サンキュなアルトゥーレ」
「気にするな、それよりすぐに行くのか?」
「いや、まずは準備を整えてからだな」
こうしてオレは新たな魔王になったのだ。……実感全然ないけど。
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アルトゥーレはドラグニオスが出て行ったのを見てから薄く笑みを浮かべた。
先ほどのドラグニアは自分がかつて対峙した彼女とは別人だとすぐに気づいていた。
だが、自分の感覚を信じるなら偽物と言うよりむしろ先ほどの彼女の方が自然な感じがした。
無論、それだけが渡した理由ではない。
レオンハルト・ドミニオン。
かつてここで戦ったときにもわずかに感じていたあの感覚。
間違いなく、ヤツは神種の領域に到達あるいはそれに近い存在だ。
これで、そうこれでようやく、あのとき果たせなかった自分の力が神の領域に到達したかを試すことが出来る。
彼は動き出す。
最終決戦のときは近い。




