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聖魔の惨殺姫  作者: マシュマロ悪魔族
第二章 神々の黄昏
33/55

番外編 大魔導師シンの冒険4

 扉を開けたレオンたちの前に広がっていたのは終わりなき暗闇であった。


「なんだろう、ここ……暗闇なのにアリシアの姿ははっきりしてるし……」

「ここにかけらがあるの?」


 アリシアの疑問に答えるようにクスクスと少女の笑い声が聞こえてくる。


「うん、ここにあなたたちが探すかけらが置いてあるわよ」


 声のした方に目を向けると、そこには一人の少女と一匹の見上げるほどの巨大な犬がいた。


「キミは……」

「はじめまして、私はヘル。

 そしてこの子の名はガルムよ、よろしくね」


 二人に向かってスカートをつまんで丁重な挨拶をする、真紅のドレスの人形のような美しさの少女、ヘル。

 つられて自分もあいさつするレオン。

 となりにいる犬は吠えず叫ばずただジッとこちらを見つめる。

 警戒しつつアリシアが少女に問う。


「ヘルっていったわね、あなたは何者?

 もしかしてさっきのやつの仲間なの?」


 少女は何がおかしいのか、笑いつつ話す。


「違うわ、彼――テュールは私の邪魔をしてるの。

 私は彼という障害を乗り越えてここにたどり着く人物、つまりあなたたちを待っていたのよ」

「僕たちを……?」


 少女は静かに指をさししめす。

 そこには幾重にも鎖で封じられた一振りの剣があった。


「さあ、この剣を解き放って。

 この剣の名は「レーヴァテイン」魔王を倒すことのできる唯一の剣よ」

「魔王を倒すことのできる剣……」


 レオンはゆっくりとその剣に近づいていく。

 そのとき、アリシアがレオンを止める。


「待ってレオン、その剣は危険よ。

 わたし、なんだか嫌な気がするの」


 そんなアリシアにレオンは「大丈夫だよ」といつもの調子で答える。

 そしてレオンは剣の柄に手を伸ばす。レオンが剣に触れると、これまで封じてきた鎖が自然に解け、解放される。

 その瞬間、剣からすさまじい炎が解き放たれ、その炎がレオンを包み込む。

 アリシアが思わず「レオン!!」と叫ぶなか、炎の中でレオンは声を耳にする。


『レオンハルト・ドミニオン、よくぞ我が封印を解いてくれた。

 お前に我が英知と力を授けよう』


 炎を通して流れ込む莫大なる魔力と英知。

 この瞬間が最強の勇者レオンハルト・ドミニオンの誕生である。

 継承を終え、炎が止む。

 レオンの無事な姿に涙ながらに喜ぶアリシア。


「もう、いつもいつも無茶ばかりして、見ているこっちの身にもなって欲しいわ!」

「ごめんごめん、でも、大丈夫だったろう」


 あっけらかんにそう答える少年に笑顔であきれる少女。


「おめでとうございますレオンハルト様。

 これをお受け取りください」

「これって……」

「まさか、鍵のかけら!?」


 ヘルが渡してきたもの、それはレオンたちが探していた世界門の鍵のかけらであった。

 

「よし、じゃあそろそろ行かないと、さすがのお師匠もあの男が相手だとさすがにやばいからね」

「あの化け物とまた戦うの?

 無理よ、勝てっこないわ」


 心配そうに見つめるアリシア。

 レオンはそんなアリシアの心配をよそに、


「できるさ、この剣、神剣『レーヴァテイン』ならね!」


 そして彼の手に、燃え盛る美しくそして圧倒的な存在感を放つ剣が出現する。

 いや、剣だけではない、レオン自身の纏うオーラもまた別次元と呼べるほど進化していた。


「さあ、いくよ。

 今度は僕がお師匠様を助けるんだ!」


 そうして二人は扉を開け、元の部屋に戻る。

 それを見てヘルは邪悪に嗤う。


「いってらっしゃい、レオン。

 願わくば――あなたの道が血と憎悪と絶望に満ちあふれたものであることを――」

オレは次で番外編を終わらせるぞー(フラグ

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