番外編 大魔導師シンの冒険3
レオンハルトとアリシアは困惑した面持ちで男を見やる。
「これがAランクモンスターなの?」
「どう見ても人にしか見えないけど……」
男は全身を漆黒の鎧で固めている以外、特に変わったところは無い。
二人にはとてもグランドドラゴン級とは思えなかった。
「ほう、お前は先ほどの魔導師……
時間も空けずにやってくるとは……そこの二人がよほどの実力の持ち主なのか?」
それまでシンに目を向けていた男が、レオンたちに目を向ける。
その瞬間、レオンたちは死を覚悟した。
目を向けられた。ただそれだけのことで二人は自分たちの死を連想するほどの恐怖を抱いたのだ。
「ほっほっほ、守護者とやらよ先ほどの様にはいかんぞ、この二人は勇者と聖女、今度こそかけらは貰い受ける!」
「ほう、勇者と聖女か……
いいだろう、ならばこちらも全力で相手をしてやろう」
守護者の姿が消え、その瞬間レオンの眼前に漆黒の剣が迫る。
剣がレオンを捉える直前でシンが二人の間に割り込み、手にした杖で剣を受け止める。
「ぬぅ……」
「ほう、俺の剣を受け止めるとはやはり侮れんな……だが!」
即座に放たれた二の太刀がシンの武器を切断する。
「くう、地属性で補強された杖をこうもたやすく切り捨てるか。
本当に化け物じゃな」
シンは距離をとってからあらためて「武具創造」にて二本目の杖を作成する。
レオンとアリシアはその別次元の戦いに圧倒される。
「あり得ない、あの男、呪文も魔方陣も使わずに転移したわよ」
マナのコントロールの方法は呪文の他に魔方陣が存在する。
発動の度にいちいち詠唱が必要な呪文に対し、魔方陣は一度書き込んでおけば詠唱要らずでの発動が可能である。もっとも、簡略化した魔法であるため呪文ほどの効果は期待できないが。
しかし、今回は呪文も魔方陣の気配も見られなかった。
それは、呪文や魔方陣から魔法の発動タイミングやその種類を判別できないということだ。
「でもお師匠様は発動タイミングを見破ったよね」
「そうね、さすがは大魔導師ってところかしら」
無論、シンが発動を見破ったのは、転移によって発生したわずかな空間の歪みから位置の確認をする超高等技術のおかげなのだが、二人がそれを理解するのはもう少し後のことである。
それよりも重要なのは守護者の注意がシンに向いたということだ。
すべては作戦通り。
二人は部屋の最奥にある扉に向かう。
「むっ」
「おっと、お前さんの相手はこのわしじゃ!」
守護者が二人に気づいてそちらに行こうとするが、シンの妨害を受けて二人を追うことが出来ない。
「行ってしまったか……」
「残念じゃったのう、これでかけらは頂きじゃ!」
シンが勝ち誇った顔で勝利宣する。
しかし、男は悔しがることなく、
「愚かな……あの先なにがあるかも知らずに……」
と、つぶやくのだった。
やっぱり終わりませんでした。
本編、いつ書けるんだろう。




