夢での対峙
「オジリア、あなたまたあの女の子供に負けたそうね」
「ごめんなさい、お母様……」
少年は母に向かって謝る。
しかし母はそんな息子に冷たい目を向ける。
「もういいわ」
「お母様!」
少年は母が許してくれたのだと思い、顔を上げる。
だが、そこにあったのはまるで虫けらを見るような眼であった。
そして一個のリュックサックを放り投げて、言った。
「あなたには心底、失望しました。
もうわたしの前に姿を現さないでちょうだい」
それはまるで他人に話しかけるかのようなかたい口調。
少年はあわてて「お母様!?」と返す。
その瞬間、彼は首元を握りしめられ、宙に浮かんでいた。
「クハッ、お……かあ…さ……」
「誰が、あなたなんかのお母様ですって!
できそこないの分際でぇ!」
部屋の壁に叩きつけられるオジリア。
そして本当に城から追い出されてしまった。
スラムの壁に背を預けながら考える。
そうだ、すべては自分の兄、ドラグニオスが悪いんだ。
やつさえいなければ、やつさえいなければ。
「やつさえいなければ!」
そう言って、オジリア・ランフォードは起き上がった。
どうやらまたあのときの夢を見ていたらしい。
だが、その悪夢とも今日で最後となるだろう。
ドラグニオス・ランフォード、憎きあの男はもうこの世にはいない。
今こそ、自分が魔王に相応しいと世界中に分からせるときがきたのだ!
「待っておれ、まがい者が、
真の魔王というものを教えてくれるわ!」
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光と影だけの世界。
オレの前には一人の女性。
光のせいか、顔が分からない。
その彼女がオレに話しかける。
《ニア、久しぶりですね、無事で何よりです》
この声……そうだ、オレがはじめてこの世界にきたときの……
「あなたが、オレをこの世界に呼んだのか?」
目の前の彼女は「そうです」と答えた。
「どうしてオレをこの世界に呼んだんだ?」
《呼んだというのは語弊があるわ。
あなたは、ドラグニアなのだから》
オレは、ドラグニア?
どういうことだ、オレはただの一般人のはずだ。
《いいえ、あなたは忘れているだけ。
思い出して、本当のあなたを……》
光が彼女を包む。
どうやらお別れの時間のようだ。
《最後に、忠告します。
ロキに気をつけて、彼は憎しみに囚われている。
その責任はすべてわたしです。
お願いします、彼を止めてください》
ロキに気をつけろ? どういうことだ?
しかしその疑問をぶつけるより先に世界が光に覆われて――
オレは目を覚ました。




