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聖魔の惨殺姫  作者: マシュマロ悪魔族
第二章 神々の黄昏
19/55

聖女アリシア

 前回のあらすじ、執務室に入ったら、骸骨に声をかけられた、以上、あらすじ終わり!

 ってちょっと待てーい!

 why? どういうこったい!


「おお、自己紹介がまだじゃったな、わしは……」

「ドラグニア様、気をつけてください、こいつはシン・ミクトラン。

七候補の一人、死神大王シン・ミクトランです!」


 おお、ガイアス君、このおじいちゃん髑髏の会話に割り込んで、メチャクチャ自己紹介ブロックしてるよ! ほれ見ろ、おじいちゃん、お前の後ろで落ち込んでるじゃん! お年寄りには優しくが基本だろうが!!

 いや、そんなことより、えっ? この髑髏が七候補!?

 めっちゃ敵やん!


「で、そのシン何ちゃらさんがわたしのニアちゃんに何の用かしら?」

「おい、今さらっと我が主のことを……」


 ガイアスを無視して質問を続けるシルフィーナ。

 おじいちゃんもショックから立ち直ったらしく、質問に返答する。


「おお、そうじゃった、実はお前さんに魔王選別戦争の戦いを挑もうと思っておったのじゃが……」

「なに! 戦争だと!!」


 ガイアスが戦争の単語に反応する。


「まあ、話は最後まで聞かんか!

まあ、そのつもりじゃったのだが……やめたわい。

やはりアリシアの娘とは戦う気になれんしな」


 ……話が見えないが、どうやらこの髑髏、オレに降伏するつもりらしい。

 それより、「アリシアの娘」ってのが気になるな。


「その『アリシア』って誰だ?

そいつとお前はどういった関係?」


 オレの質問を聞くと、シンは残念そうな顔で「そうか……母の名も覚えておらんか」と言った。

 母? ……母!?

 母ってえ? ドラグニア(オレ)の母親!?


「アリシア・ランフォード。かつて人々から「聖女」と呼ばれていた者。

それがお前の母親じゃよ」


 聖女? 聖女ってあのRPGとかで勇者パーティの回復役とかしているあの聖女!?

 でもあれ? オレの父親って確か前魔王だよな?

 どうして父が魔王で母が聖女になるんだ?

 ……っは、まさか、エロゲみたいなあーんなことやこーんなことが!?

 オレだけでなく、ガイアスやシルフィーナも同じ考えにいたったのか、ガイアスは顔を真っ赤に、シルフィーナは涎を垂らしながら考えていると、それを察したシンが「一応、言っておくがちゃんと恋愛結婚じゃぞ」と付け足してきた。

 ほっとしたような、残念なような。


「おっと、わしとアリシアの関係じゃったな、それはわしがかつてアリシアと同じ勇者パーティにいたからじゃよ」

「勇者?」


 オレは出てきた単語に反射的に返答する。

 勇者。

 魔王がいるのだから、勇者がいても不思議ではないと思ってはいたが、本当にいたか!

 

「そうじゃ、勇者レオンハルト。

歴代最強の勇者と呼ばれた男。わしらとアリシアとレオンは魔王討伐のために旅をしておった……」

「魔王討伐?

ますます分からんぞ、なぜにそのアリシアというドラグニア様の母君は魔王様とむすばれたのだ?」


 ガイアスがもっともな意見を言う。

 聖女ってゲームだとむしろ勇者の方とフラグ立てるもんな。

 どうして魔王討伐の旅に出て、魔王と結婚する流れになるんだろう。


「いや……どうも、お忍び(遊び)で人間界にやってきていた魔王とアリシアが、たまたま出会ったのがきっかけの様じゃ。」


 お忍びで人間界って……どんだけ破天荒な性格なんだよ。

 突然来られたら人間側はたまったもんじゃねぇな。


「まあ、そんなわけでわしとしては友人の娘に手を出したくないという訳じゃよ」

「ふーん、事情は分かったけど、いいの?

ニアちゃんに魔王の継承権を譲っても」


 シルフィーナがシンに問いかける。

 そうだよ、この人も何か魔王になってやりたいことがあったんじゃないのか?


「構わんよ、わしはただ、新しい魔王が誕生して人間界のゲートが開いてくれさえすれば。

むろん、魔王に相応しくない者がなるというならそれ相応の態度はとるが……ニアの嬢ちゃんは合格じゃ。

 惨殺姫として暴れまわっていた頃なら別のいけんじゃったかもしれんがのぉ」


 聞くところによると、死神族には、魂の循環を効率化する使命があり、そのためには今の人間界が閉ざされた状況は良くないのだそうだ。

 シンがオレに「鍵のかけら」を渡す。

 これで四つ目、残るはあと三つだ。


「ほほほ、ではニアよ、たっいしゃでのぉ」


 そういって、彼は帰っていった。


=============================================


「ほほ、アリシアの娘もきっと将来ベッピンさんになるわい」


 シンはドラグニアから分かれたあと、自分の拠点である「輪廻の大神殿」に戻ってきた。

 渡すものも渡し、良い気分で帰ってきたわけだが……どうにも静かすぎる。

 死神族固有魔法の一つ「魂感知」にも引っかからなのだ。

 いや、一つだけ引っかかったものが一つ、それは……


「やあ、はじめましてぇ……

いや、久しぶりかな、シン」


 陰から現れたのは、眼鏡をかけた美貌の少年、ロキだった。

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