魔法とは
第二章 神々の黄昏 スタートです!
「ええい、いい加減、ドラグニア様から離れんか!」
「あらガイアス、それを決めるのはニアちゃんであってあなたではないわ。
いつ、あなたはわたしに指図出来るほど偉くなったのかしら?」
「もう我慢ならん、表に出ろ!
今度こそ叩きのめしてやるわ!」
またかよ……
執務室に、これで何度目になるか分からないガイアスとシルフィーナのやり取りが繰り返される。
良く分からないが、もうかれこれ100回くらいはしてないか?
どんだけしてんだよ! ヨムンガルドとの戦いからまだ1週間しかたってねーよ!
ガイアスとシルフィーナこの二人、聞くところによると、魔王軍時代、部下と上司の関係だったみたいだ。ガイアスが部下でシルフィーナがその上司。
堅物の部下に気分屋の上司か、うん、それは衝突するな。
そういった訳で魔王軍時代からのいざこざがあるらしい。
オレは執務室を出ると、外の訓練場に向かう。
ヨムンガルド戦で思ったことだが、オレには攻撃手段が少なすぎる。
現時点で使えるのは「業火」と「竜剣」だけ。
しかも「竜剣」は一度使うとぶっ倒れる仕様である。
今後を考えると、これはいけないと思う。
シルフィーナによると、あのヨムンガルドとかいう大蛇は七候補の一人、美貌の魔術師ロキの仕業だという。
つまり今後もこのようなことが起きる可能性があるわけだ。
と、いうわけで魔法の練習をしているのだが、ここで一度この世界での魔法概念について説明しよう。
魔法を放つには大気中にある「マナ」と呼ばれる物質が必要となる。
「マナ」には四つの種類があり、それぞれ「炎のマナ」「水のマナ」「風のマナ」「地のマナ」とよばれている。炎のマナを集めれば炎属性の魔法が、水のマナを集めれば水の属性の魔法が生み出される。
そしてこれらを集めるときに消耗されるのが魔力だ。
ゆえに魔力が大きい方が強力な魔法を放てるということだ。
しかし、忘れてはいけない要素として、魔法適正がある。
魔法適正とは、要するに人によって集められるマナの種類が異なるということである。
例えば、オレことドラグニア・ランフォードは炎と風の適正を持つが、反面、水と地は集める事が出来ない。
要は適性属性と対極の属性は扱えないということだ。
さらに、マナは対極の属性でなければ複合することができるのだ。
しかし、複合魔法は強い効果が期待できる反面、マナのバランスが複雑になり、わずかな調整ミスでさえ、暴発の恐れがあるほどだ。
そのときに使うのが詠唱である。
詠唱の詞によってマナが自然と調整され、放つ事が出来るのだ。
ちなみに、複合魔法の極みがオレの「業火」を含む「オメガ」系であり、オメガ系はあまりにもコントロールが複雑怪奇なため、詠唱なくして発動は不可能と言われている。
オレが「業火」を放つたびに詠唱するのは中二病をこじらせているわけでは無いのだ、分かったかね、キミ!
まあ、マナの配列はコンピューターでいうところの0と1の配列を想像してくれればいいと思う。
複合魔法といえば、回復魔法も複合魔法に該当する。
回復系はちょっと特殊で、地か水の属性を複合できなければ扱うことができるのだ。
……うん、そうだよ、オレは使えねーんだよ、ちきしょう、回復チートの夢が。
練習を終えて執務室に戻ると見知らぬ人物をガイアスとシルフィーナが取り囲んでいた。
その人物が顔をあげてこっちを見つめてくる。
「ほほう、こやつがアリシアの……
かかか、なるほど、面影があるわい」
訂正、人物じゃなくて、髑髏でした!




