表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンマネ!  作者: SR9
第一章 インターハイ編
PR
97/148

#95 メンバー発表(2)


 ピリピリとした雰囲気の中、メンバー全員が天王寺先輩の次の言葉を待つ。

 それもそのはず,今から先輩に名前を呼ばれるか呼ばれないかはこの先のインターハイ予選に大きく関わってくるのだから。

 ユニフォームの詰まった段ボールを前に、渡す役であるこちらまで緊張してしまう。


「名前を呼ばれた人はハル君からユニフォームを受け取ってください」


 メンバーを紅白戦で決めるというのは周知の事なのか、天王寺先輩の声と共に紅白戦に参加したメンバーが自然と前に出てくる。

 この中から名前を呼ばれるのは15人。

 全員が固唾を呑んで見守る中、重々しく天王寺先輩が口を開いた。


「まず4番に私、キャプテンの天王寺光と、5番に副キャプテン、白山千夏」


 最初はもちろんこの2人。

 天王寺先輩に4番、白山先輩に5番のユニフォームをそれぞれ渡す。


「はい、どうぞ」

「ありがとう」

「うむ」


 ここまでは想定通り。

 問題は、ここからだ。


「次、6番。3年、高野雷知」

「はい!」


 6番のユニフォームを受け取るのは高野先輩。

 となれば、次は…


「7番は同じく3年、東堂結」

「はい!」


 続く7番はやはり東堂先輩だ。

 この2人をセットで運用するのが良いという考えは俺も天王寺先輩も同じだったようだ。


「8番。2年、神崎美空」

「はい!」


 次に名前を呼ばれた神崎先輩が嬉しそうに前に出る。

 先に呼ばれたのがそれほど悔しいのか、それを横目に見る火野先輩はとんでもない顔をしている。

 でもまぁ、この流れから行けば…


「9番も2年、火野彩芽」

「…はい!」


 天王寺先輩の言葉に一瞬遅れて火野先輩が答える。

 ほら見ろ、変な事を考えているから自分が呼ばれてもすぐ反応出来ないのだ。


 しかし、そんな火野先輩よりも俺の目に入ったのは、隣で残念そうに小さく肩を落とす3年の先輩達だった。

 先に2年生が呼ばれた以上、もう彼女達は呼ばれないのだろうか。

 そんな事を考えた俺の耳に、メンバーのどよめきが響く。


「10番。1年、平林文香」

「はい」


 何かと思って目を向けると、ちょうど文香が呼ばれた所だった。

 名前を呼ばれるとは思っていたが、まさかこんなに早いとは。

 それだけ天王寺先輩に期待されているということか。


「11番。2年、陰山美鈴」

「…はい」


 続く11番は陰山先輩。

 1年の文香が先輩より先に呼ばれたという事で、先ほど肩を落としていた3年生の先輩も再び顔を上げる。

 それを知ってか知らずか、天王寺先輩は続けて名前を呼ぶ。


「次は12番。…3年、西田葉奈」

「はい!」

「13番。3年、大久保理久」

「はい!」


 その後は続けざまに3年の先輩が呼ばれる。

 これで、残りは5人。


「次14番。2年、海野かんな」

「はい!」

「15番。同じく2年、北川麗奈」

「はい!」


 海野先輩と北川先輩のゴール下コンビが呼ばれ、これで残りは3人。

 前に出てはいるがまだ名前を呼ばれていないメンバーにも、不安と諦めの表情が目立つようになってきた。


「16番。3年、清水美波」

「はい!」


 これで残り2人。

 俺の目は自然とまだ名前の呼ばれていない1人に向く。

 このメンバーの中で、彼女が呼ばれる確率の方が低いのは分かっている。

 でも、何とか……


「…17番。2年、萩原由紀」

「は、はい!」


 萩原先輩が呼ばれ、これで残りは1人。

 最後の1人、天王寺先輩は誰を選ぶのか。


 出来れば彼女の名前を呼んで欲しい。

 あんなに頑張っていたし、天王寺先輩だって間近で彼女の成長を見ていたはずだ。

 実力はまだ発展途上かもしれないが、彼女はきっとチームの力になれるはずだ。

 だから……


「最後の18番。…………1年、竹内風花」

「―――え?」

「どうしたの? 18番は、風花ちゃん、あなたよ」

「は……はい!!」

「先輩――!」


 驚いて天王寺先輩を見ると、先輩は笑顔でそれに応えてくれた。

 そして名前を呼ばれなかったメンバーががっくりと肩を落とす中、まだ信じられないという表情を浮かべた風花がやってくる。


「ハル君、私……」

「おめでとう。18番のユニフォームは、お前の物だよ」

「…うん! ありがとう!!」



 これで、インターハイ予選のメンバーは決まった。

 後は予選までの数日間でどこまでチームのレベルを上げられるかにかかっている。


「名前を呼ばれた人はもちろんだけど、呼ばれなかった人も腐らずに。インターハイは、今ここにいる全員の気持ちが1つになって初めて行ける場所だから。チーム全員で、予選を突破しましょう」

『はい!』

「――じゃあ、最後にこの合宿を裏でサポートしてくれたマネージャーの2人から、挨拶をもらいます。遥、ハル君、お願いね」

「はい」

「…はい」


 意地の悪い笑顔で俺たちを呼ぶ先輩。

 このタイミングで何を話すのか。

 そんな事は初日から決まっていた。

 俺は一瞬井上先輩とアイコンタクトで確認を取り、迷わず口を開く。


「合宿お疲れ様でした。マネージャーとしてまだまだ至らない所も多かったと思いますが、何とか無事に終われたのは皆さんの協力のおかげです。最後までありがとうございました。

 ……最後に、僕たちからみなさんへの感謝の気持ちを込めて、ある発表をしたいと思います――」



 天王寺先輩を除く全員の驚きの声が響きわたる中、体育館前にバスが、少し遅れて水瀬先生の車も到着する。


 こうして、俺たちの長い合宿は幕を閉じたのであった――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ