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ダンマネ!  作者: SR9
第一章 インターハイ編
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#91 メンバー決め(1)


「午前の練習はここまで!」

『ありがとうございました!』


 天王寺先輩の号令で,最後の紅白戦が終わる。

 俺は準備していたおにぎりをいつもと同じように配り歩く。

 さすがの先輩方も堪えたのか,いつものような元気はない。


「はい。いつもありがとう,ハル君」


 その中にあって,天王寺先輩はまだまだ元気でおにぎりを運ぶのを手伝ってくれる。

 ほんの十数分前までは試合をしていたというのに,全く元気なものだ。


「あ,白山先輩」

「ん?」


 その天王寺先輩の後ろに白山先輩を見かけたので声をかける。


「最後の試合,どうでした?」


 天王寺先輩のチームに勝った後,俺はすぐに昼食の準備に食堂へと戻らなければならなかったので,最後にやった風花のチームとの試合は白山先輩に任せてしまったのだ。

 あんな試合の後だったし,もしかしたら厳しい試合だったのかも……


「あぁ,問題ない。お前抜きでもきっちり勝ったよ」

「あ,そうなんですか。やっぱりガードは白山先輩が?」

「あぁ,光にはまだまだ及ばないが,竹内相手なら何とかなる」

「…最後はあんなにテンパっていたくせに?」

「こ,こら光。余計な事は言うんじゃない」

「ふふっ,別に良いじゃないの。ハル君は今日のチームメイトなんだから」

「そういう問題じゃ…」


 そう言いながら2人は他の先輩の所におにぎりを持っていてくれる。

 それを見届けながら,俺は1年生の元へと足を向けた。



「よ,おつかれ」

「ふにゅ~…疲れたよぉ……」


 1年生の集団に行くと,まず大の字になってぐったりしている風花が目に入る。

 よほど疲れたのだろう,目を閉じたままほとんど動けないようだ。


「まだ食べられないようだから,おにぎりは後で持ってくるよ」

「分かった~……」


 そう言い残し,とりあえず残りのメンバーにおにぎりを配りに行く事にする。


「お昼で~す」

『は~い!』


 すると,他のメンバーは待ってましたと言わんばかりの勢いでこちらに食いついてきた。

 いつもと違い午前中の紅白戦だったので,まだまだ元気なのだろう。

 まぁ,午後から地獄の基礎練が始まる事を考えれば,ここである程度食べておかないとやっていけないとみんな分かっているのだろう。


「ハル君も大変だね。練習したりご飯つくったりで」


 最後におにぎりを取りに来たのは宮下さん。

 彼女も普段よりまだかなり体力に余裕がある様子だ。


「まぁね。でも,みんなと違って地獄の基礎練には参加してないし,これくらいはやらないと」

「…午後からはまたあれか……」

「こ,これでも食べて体力つけて…」

「あぁ,ありがとう…」


 俺の言葉で思い出したように暗くなる宮下さんに,俺は大きめのおにぎりを渡す事しかできなかった。


「…と,あっちもそろそろ大丈夫かな?」


 1年生グループ全員におにぎりが行き届いた所で,俺は再び風花の元へ足を向ける。

 まだ起き上がってはいないが,先程までに比べたら息も整っているし,随分回復しているようだ。


「そろそろ食べられるか?」

「ん~…」


 俺の声に反応して寝ころんだままずりずりとこちらに寄ってくる風花。

 そしてそのまま俺の足元に来た所で大きく口を開ける。


「………」

「んぁ!」


 怪訝な目を向けると,催促するように声を上げやがった。

 一瞬口元めがけておにぎりを落としてやろうかと思ったが,せっかくつくったごはんを無駄にしてしまうのは忍びない。

 やれやれと風花に聞こえるように大きくため息を一つつき,横に座って手頃な大きさの物を風花の口元に持って行ってやる。


「ありがと~」

「…どうたしまして」


 寝ころんだまま食べたら変な所に入るぞ,とか,俺は召使いじゃないぞ,とか,言いたい事はたくさんあったが,満面の笑みで俺の手からおにぎりを食べる風花を見ていると,何だかどうでも良くなってしまった。

 俺は飼った事がないので分からないが,犬なんかに餌をあげるのもこんな感覚なのかもしれない。

 そんな調子で延々と風花に餌やり…じゃない,おにぎりを食べさせてやり,1人分のノルマである3つを無事完食。

 ついでに横に置いてあったドリンクも飲ませてやり,ミッションコンプリートだ。


「ん~,ハル君に食べさせてもらうご飯は格別だ~」

「そりゃ良かった。じゃあ俺は向こうに戻ってるから,風花も元気になったら来いよ」

「は~い」


 ポンと軽く風花の頭を叩いて,俺はお盆を持って立ち上がる。


「ハルく~ん,そろそろ良い?」

「あ,はい。今行きます」


 すると,そんな丁度良いタイミングで天王寺先輩からの呼び出しがかかる。

 慌てて返事をして,俺は天王寺先輩の元へと向かった。


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