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ダンマネ!  作者: SR9
第一章 インターハイ編
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#80 合宿最後の夜


「さぁ,今日も色々聞かせてちょうだい」

「は~い……」


 3日目の夜も変わらず俺の部屋で夜の会議が始まる。

 内容も同じ,今日のメンバーについての意見交換だ。


 ただ,昨日とは違い天王寺先輩のチームに完膚なきまでにボッコボコにされた後なので,俺のテンションはとても低い。

 そして,そんな俺とは対照的に先輩2人はとても楽しそうだ。


「えっと,今日のチームはゴール下で無茶なパワープレイ出来る人が西田先輩しかいなかったので、昨日に比べるとコート全体を使った攻撃が出来たかなと。


 文香のスリーはどのチーム相手でもやっぱり頼りになります。こっちの指示が無くても上手い位置に行ってくれますし、上級生相手でも問題ないかと。


 西田先輩も堅実なスクリーンアウトからのリバウンド力は確かです。シュートはちょっと不安な所もありますが、それは他のメンバーでカバーすれば十分だと思います。


 清水先輩のドリブル突破からの勝負は安心して見てられますね。ゴール下での純粋なパワー勝負になると厳しいかもですが、そういう状況をわざわざつくらなきゃ良いだけなので特に問題無いかと。


 江口先輩はゴール近くで戦うっていうポジション的に見るちょっと性格に難があるかもしれないですが、実力は十分あると思います。今日も何度も先輩の0度シュートに救われた所もありますし。後はもう少し自分に自信を持ってくれるともっと活躍出来ると思います。


 萩原先輩は痒い所に手が届くというか、そこにいてくれたら嬉しいなぁって所にちょくちょくいてくれるのが嬉しかったですね。スクリーンやパス回しも上手いですし、2人目のガードみたいな活躍もできるかもしれません。厳しい部分と言えば、どうしても自分ではシュートまで行かない所ですかね…


 永井先輩も、萩原先輩ほどじゃありませんがスクリーンやパス回しが上手かったですね。それに加えて、萩原先輩との大きな違いはミドルシュートの回数ですね。文香ほどではないにしろ、チャンスの場面ではかなりの精度でシュートを決めてくれました」

「なるほどね~…」


 ふむふむとメモを取りながら俺の話を聞く天王寺先輩。

 そして一通りまとめ終わった所でメモから顔を上げる。


「いよいよ明日で合宿も終わり。最後にはメンバーの発表までしてしまいたいわ。

 ハル君も千夏も、昨日と今日の試合で感じた事、思った事をまとめて、なんとなくのメンバーを考えておいてね。明日の試合が終わってから、3人の考えを合わせながら最終決定するから」


 天王寺先輩の一言でその日の会議は解散になる…」



「…そうだ、ちょっと良いか?」



 …はずだったのだが、立ち上がる直前になって白山先輩がふと口を開いた。


「どうしたの、千夏?」

「さっきも気になったのだが、木嶋は平林と竹内は名前呼びなのに、なぜ光は名字呼びなんだ?」

『……え?』


 白山先輩の問いに、天王寺先輩と声をそろえて首を傾げる。


「いや、だってお前たちはいつも3人でいるじゃないか。それなのに、ずっと2人は名前呼び、1人は名字呼びなのかなと思って」

「いやいや、天王寺先輩は先輩ですし、風花と文香とは違うじゃないですか」

「……違うのか?」

「え、それは…」


 割と真剣な顔で聞いてくる白山先輩に戸惑いながら、俺は天王寺先輩に助けを求めるように話を振ろうと顔を向ける。


「………」

「………」


 だが、天王寺先輩は天王寺先輩で何ともバツの悪そうな表情を浮かべて白山先輩を見ていた。


「別に良いじゃないか、同じように呼んでやれば。光だってそう思うだろ?」

「ち、千夏……」


 白山先輩に話を振られ、困ったように視線が泳ぐ。

 明らかに様子がおかしい。

 自分の思った事はズバッとストレートに言う天王寺先輩のこんな姿はそう見られるものじゃない。


「…先輩?」

「――も、もう! 変な話はここで終わり! また明日、おやすみ!」

「あ、こら逃げるな光!」


 そして天王寺先輩は逃げるように部屋を飛び出していった。

 そんな天王寺先輩を追って白山先輩も部屋を出ていく。



 部屋に残された俺は、呆然と2人を見送る事しか出来なかった。






――――





「もう! いきなり変な事言わないでよ!」

「私が言わないとずっと言えないだろ?」

「それは…」

「全く、変な所で強情なのは変わらないな」

「別に強情なんかじゃ……」

「そんな事じゃ、あの2人のどちらかに木嶋を取られてしまうぞ」

「べ、別にそんな事私には関係ないじゃない!」

「…全く、本当に強情な奴だよ」


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