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ダンマネ!  作者: SR9
第一章 インターハイ編
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幕間(2) 埋まらない溝

「さて…と……」


 目の前の書類を片付けながら一息。

 ふと時計を見ると,いつの間にか午後の6時を回ってしまっていた。

 どうりで外の喧騒が消えている訳だ。


「もうそろそろあちらの練習も終わる頃ですかね…」


 机に積まれた書類の一番上に置いてあるファイルを手に取り,中身を確認する。

 そこに書かれているのは今朝から始まった女子バスケ部の合宿の日程表だ。


「大丈夫ですかね…」


 たった1人の男子マネージャー。

 キャプテンの必死の説得に折れて今回は特別に同行を許可したものの,やはり心配になってしまう。


「しかし,あの天王寺さんが…」


 正直な所,ここまで劇的に変化があるとは思っていなかった。

 あくまで彼に期待していたのは,ゆっくりと時間をかけて部を良くしてもらう事だったのだ。

 まさかそれを僅か1ヵ月足らずで成し遂げてしまうとは驚きだ。


 その上,話によればそれ以降も積極的に色々な仕事をしてくれているようだし,今にして思えば彼に頼んだ事は大正解だったという訳だ。


「後は……」


 いつものように,押し慣れた番号に電話をかける。

 何度目かのコールの後,留守番電話に切り替わるのもいつもの通りだ。


「霧ヶ原高校,学園長の霧島です。

 以前からお話していた男子マネージャーの彼が,すっかり天王寺さんを元気にしてくれましたよ。

 今日から合宿が始まります。あの頃のような良い顔で部員たちは旅立っていきました。

 後は,木下先生だけです。どうか早く戻ってきて,また彼女たちと一緒にバスケをしてあげてください。


 …連絡,お待ちしております」


 メッセージにそれだけ残し受話器を置く。

 毎週の日課になりつつあるこの電話だが,先生からの返事は未だに無い。


「木下先生…」


 …天王寺さんはちゃんと戻ってきてくれましたよ。

 先生も,早く戻ってきてください……



 そんな言葉にならない呟きは,春の夜空へと消えていった。


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