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異世界は勇者よりも種馬を求めていた  作者: たてみん
1.プロローグ

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1/2

1.勇者(たち)召喚

異色の新作投稿。

以前からお付き合い頂いてる皆様、いつもありがとうございます。

お初な方もようこそ。


あらすじにも書きましたが今回の作品は倫理観が日本のそれとは異なりますのでご注意ください。


 俺の名は大泉 幸助。61歳。

 30年以上連れ添った妻が4年前に他界し、それ以降山形のど田舎でのんびりと余生を過ごしている。

 子供は2人。どちらも既に成人して立派に独り立ちしている。

 恐らくはもう俺が何か世話を焼くことは無いだろう。

 むしろ今後は俺が世話を焼かれる側か?

 俺の人生でやり残したことと言えば、う~んなんだろうなぁ。

 ぱっと思いつかないくらいには充実していたと思う。

 あ、そうだ。


『お前は真面目過ぎる。男なら浮気の1つもするものだろうが』


 などと友人が酒の勢いで言っていたのを思い出した。

 妻一筋だった俺は女性経験は彼女だけ。

 そのことに後悔は無いが、その友人からしたら勿体ない事らしい。


『じゃあそうだな。生まれ変わったら沢山の女性と付き合うことを目標にしてみるか。

 その時にあいつが居なかったらの話だが』


 俺も酔ってそんな返事をしていた気がする。

 そんな不埒な事を思い出していたせいだろうか。

 気が付けば俺は見知らぬ場所に立っていた。


(俺はさっきまで何をしていた? だめだ、思い出せない)


 どこかぼぉっとする頭を振り払い、辺りを見渡せば俺の他に男性が30人ほど。

 見知った顔は1つもない。

 それ以外にフードを被った女性が10人と時代劇に出て来そうな槍を持った女性が多数、俺達を囲むように立っていた。

 いやいや待ってくれ。コスプレにしても異常だ。


「おい、どこだここは。いったいどうなっている!?」


 男性の一人が混乱した様子で騒ぎだした。

 それを見た女性の1人(腰が曲がってるし老婆かな)が答えてくれた。


「急な召喚失礼いたしました。勇者様方」

「は?」

「勇者って」

「まさか異世界召喚って奴か!」

「おおっ!」


 老婆の言葉に沸き立つ男達。

 対する俺は一人首を傾げていた。

 勇者?異世界召喚?

 いや言葉の意味は分かる。

 俺だって本は読むし若い頃はラノベだってよく読んでいた。

 この状況を考えれば夢以外ならそれが一番しっくりくるだろう。

 だからこそ意味が分からない。


(60過ぎの俺を召喚してどうするんだ。こういうのは若者が呼ばれるものじゃないのか?)


 他の奴らを見てみろ。

 全員10代後半から20代中頃の若者じゃないか。

 その中に老人の俺って明らかに場違いだ。


「状況は全く分からないですが、俺達を召喚したという事は何か目的があるのですよね。

 それを説明して頂けませんか?」

「もちろんです。

 ですがその前に落ち着いて話せる場所に移動しましょう。

 どうぞ付いてきてください」


 老婆に続いて召喚部屋(?)を後にした俺達は板張りの廊下を抜けて会議室のような部屋に案内された。

 向かい合うように座り今度こそ説明が始まろうとしていた。


「話せば長くなるのですが……」

「あーそういうのはいいや。

 どうせ魔王をぶっ殺せとかそう言う事だろ?」


 筋肉質で野性味のある男が老婆の言葉を遮って言った。

 それに対し老婆は静かに首を振る。


「そうではありません。この世界に魔王なるものは居りません。

 皆様にお願いしたい事は1つ。子作りです」

「「はぁっ!?」」

「実はこの地には古くから女性しか生まれない呪いが掛けられているのです。

 しかし承知の通り女性だけでは子供は産めません。

 そこで年に1度。異世界より男性を召喚し子作りをして頂いているのです」


 なんだその18禁ゲーム(エロゲ)みたいな話は。

 いや異世界召喚の時点でどうなんだって話だけど。

 ちなみに俺以外の男達は今の話を聞いて大興奮だ。


「はいはいっ。その子作りする相手の女性って俺達で選べるの?」

「えぇ。皆様の要望を聞き、極力それに合った者を宛てがいましょう」

「5人とか10人とかハーレム状態もありなのか?」

「ハーレ……えぇとそうですね。願わくば10人でも20人でも子供を作って頂きたく思います」

「「よっしゃあ!」」


 はしゃぐ男達を見て老婆もにこにことしているが、俺にはその目の奥は決して笑ってはいない様に思えた。

 上手い話には裏があるってことか?

 それに子作りをして欲しいって言うのならなおさら俺は場違いな気がする。

 俺は手を上げて老婆に問いかけた。


「子作りをして欲しいというのは分かりました。

 しかしそれで言うと俺はあまり役に立たないかもしれません」

「え、兄さんもしかして不能って奴かい?」


 答えたのは老婆ではなく隣の男性。

 兄さんってのは俺の事か?普通『兄さん』ってのは若い男性に向けて言う言葉だと思うが。

 頭髪は真っ白で見るからに年寄りの俺に使う言葉ではない。

 もしやと思って自分の手の甲を見てみれば、そこにあるはずのしわがれた老人の手は無かった。

 続いて自分の顔を触ってみるも皺がなく、張りのある肌の感触が返ってきた。


(まさか肉体が若返ってるのか)


 鏡を見てみないと正確なところは分からないが、多分青年と呼べるくらいの年齢になってるっぽい。

 なるほどこれなら体力的にも精力的にも子作りが可能か。


「すみません。先ほどの発言は忘れてください。少し混乱していたようです」

「そうですか……では皆様、ご協力頂けるということで問題ございませんか?」

「「はい」」


 この質問には俺含めて全員が頷いた。

 ……というか、間違って断ったらどうなるんだ?

 元の世界に戻される、なんて都合の良い話は無いんじゃないだろうか。

 最悪不要と判断されたら首を切られて犬の餌にされていたかもしれない。

 って、さっきの俺の発言もかなり危険だった可能性があるな。

 今後はもっと慎重に行動しなければ。


「それでは皆様それぞれに部屋をご用意しておりますので要望等はそちらでお聞かせください」


 その言葉を合図に扉が開き若い女性達が入ってきた。

 なるほど、老婆の説明はここまでで、あとはこっちの女性が世話役みたいな形で俺達を案内してくれるらしい。

 部屋を出ると俺達はすぐに別の通路に分かれることになった。

 まぁ元々赤の他人だし、むしろあの浮かれっぷりを見なくて済むので気が楽だ。


「どうぞこちらです」

「うん、ありがとう」


 今回案内された部屋はビジネスホテルみたいな造りだった。

 つまり普通サイズのベッドと文机があるのみ。

 俺はベッドに腰掛けて女性には文机の椅子に座ってもらった。


「俺の名前は幸助。君の事はなんと呼べば良いですか?」

「サチカとお呼びください。コースケ様」


 サチカと名乗ったその女性は、年の頃は30前後。

 顔立ちは日本人に近く、モデル体形とまでは言わないけどそれなりに整っている。

 日本の男性100人に聞けば80人以上は可愛い、もしくは美人と答えるだろう。

 物腰も柔らかく話し方も落ち着きを払っている。


「それでは早速コースケ様のお望みをお聞かせくださいますか」


 さてここからが勝負どころだ。

 間違った返答をすれば背中に隠し持ったナイフでグサリ、なんて展開もあり得る。


「ではまず最初に、出来るだけ俺の身の安全を保障してください」

「は?はあ、それはもちろんです」


 俺の答えに口を開けるサチカさん。どうやら驚かせてしまったらしい。

 まぁさっきの男達を見れば欲望丸出しの言葉が出てくると思ってたんだろう。

 でも俺にとってはこれをまず確認しないと先に進めない。


「次に衣食住についても十分なものを提供して欲しいです。

 なにせこの世界では俺は無一文なので」

「はい。その点は大丈夫です。元より無理にこの世界に来て頂いたのですから不自由なく暮らせるように手配させて頂きます」


 よし、これでやっと次に進める。 


「ではお相手の女性に求めること、ですよね。

 まずは『意思疎通が出来ること』これは絶対です。

 続いて『俺の指示を聞いてくれること』『自衛目的以外で俺を含め誰も傷つけないこと』『本人が子作りを望んでいること』『出産適齢期であること』『病気等ではないこと』くらいですね」

「え、あの。容姿や体形については?

 てっきり顔の好みや肌の色、身長体重、年齢、胸の大きさなどを言われるのかと思ってたのですが」

「あぁ。それらについては特に差別しなくて良いですよ」


 これは本心。恋愛しろとか、結婚して生涯添い遂げろって話なら別かもだけど、単純に子作りして、子供が出来たら「はい、さようなら」って関係なら外見に拘る必要は無いだろう。

 俺の言葉を聞いてサチカさんはじっと考え込み、ぽつりと聞いてきた。


「それなら私でも良いという事でしょうか」

「そうですね」


 あっさり頷いた俺に対し、サチカさんはにこっと笑って立ち上がると静かに俺の隣へと移動してきたのだった。



最初の数話は毎日投稿の予定です。

それを過ぎたら週2回くらいの投稿になるかとおもいます。

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