11・追跡
克美「えっ...は?」
女子「この人がやったんです!」
その女子は克美を指差したまま必死に訴えていた。
秀音「お、おい!何デタラメ言ってやがんだ!克美はさっきまで俺らと飯を...
でも今日は遅れて...」
克美「ち、違う!俺はやってない!信じてくれよ!」
克美の訴えは虚しく、その場に居る人々の殆どが"彼"に対して疑いの目を向けていた。
そして少し遠くの方からパトカーのサイレンが聞こえてくると、大勢の中誰かが言い出した。
「もうすぐ警察来るんだったら逃げれないように”ソイツ”、抑えてた方がいいんじゃね?」
「いやでも、流石にまだ凶器を隠し持ってるかもしれないし危ないだろ...」
「なら先に腕を抑えればいいじゃんか、それでもし捕まえられたら金手に入るかもしんないし。やるしかないでしょ」
「確かに...」
その一言で周りの人間の目の色は変わり始め、その目はまるで獲物を仕留めようと神経を尖らせる獣のようだった。
克美「えちょ、ちょっと待ってよ!まだ俺がやったって決まったわけじゃ...」
自分の訴えなど誰の耳にも入らない事を確信し、背を向け逃げようとしたのも
束の間。
直ぐに追いつかれてしまい、克美は大勢の人間によって地面に突っ伏せられた。
「よっしゃあ!これは俺の手柄ダァ!!」
「違ぇだろ!腕を抑えるよう言ったのは俺なんだから俺の手柄だ!!」
たった1人に対して大勢で抑えかかる様は正に無慈悲であった。
秀音「く、クソ...俺はどうすればいいんだ...」
秀音達はただその場で立ち尽くす事しか出来なかった。
少しすると遂にパトカーが校門から入ってきて、もうダメかと思ったその時。
タッツー「やむを得ん...君らは少し離れていてくれ。」
そういうとタッツーはいきなりポケットから”何か”を取り出すと、大衆に向かって歩き出した。
大衆の直ぐそばまで近づいてから
タッツー「おっと、手が滑ってしまった。」
ピッ ピッ ボフゥン!!
タッツーが大衆に向かって"何か"を下手に投げると、その”何か”は破裂し、広い範囲を煙で覆い隠した。
「ゲホ!ゲホ!なんだこれ...煙?」
「こいつ凶器の他にも隠し持ってやがったのか!」
塊と化していた人間達は瞬く間にその場から逃げ出していった
克美「ゲフ!(何が起こってるんだ...?)」
混乱しているといきなり腕を引っ張り上げられ、立ち上がった。
濃い煙の中で相手の顔を確認すると、タッツーだった。
克美「タッツー...!助けてくれたのか!あり...」
タッツー「礼はいい!今はとりあえず逃げるんだ!」
克美「...分かった。ありがとう...!」
そう告げて克美は煙の奥へと消えていった
数日後...
俺たちはあの後事情聴取やらマスコミやら色々あって大変だったが、今はなんとか落ち着いていた。そしていつも通りまた皆と昼飯を食べている。
克美を除いて...
秀音「なぁ、みんな...克美の件どう思ってる?」
例の件を話題に出すと、皆は顔を曇らせた
秀音「本当に克美がやったと思うか...?確かにタイミングは悪かったけど、絶対なんかの間違いだって...!」
金川「あのさ、その話やめようぜ。」
秀音「...!」
その瞬間、空気にスパイスが混じった事をその場に居る全員が感じ取った。
金川「大体さ、どう考えたってアリバイもクソも無いし...もう認めるしか無いでしょ。」
秀音「だからってまだ克美がやったっていう確証は持てないだろ!」
金川「なら他に誰がいんだよ?あんだけ辻褄が合って別の誰かがやったなんて考え難いけどな」
秀音「テメェ...いい加減に...!」
秀音は金川の胸ぐらを掴み、立ち上がらせて壁へと押し付けた
吉和「まあまあちょっと待てよ!どっちの言い分も確かに分かるけど、ここまでヒートアップする必要なんかないだろ!」
吉和は間に入って止めようとしていた
金川「そもそも俺らが今こんな議論繰り広げた所でなんか変わるのかよ?なんだ?ムショに行って”アイツ”の無罪を訴えんのか?」
秀音「それは...」
金川「いいか?今俺らが出来んのは”アイツ”が冤罪かどうかを勝手に判断する事じゃねぇ。未だ昏睡状態の塔矢の無事を祈る事だろうが!」
秀音「...!」
秀音はハッと何かに気付いたような表情を見せると、怒りを忘れたように落ち着き手を離した。
秀音「そうだな...そうだよな。つい熱くなっちまった...ごめん。」
金川「いや、いいんだ。ただ俺だって克美が犯人だって完全に思い込んでいるわけじゃないし、本当はこんなの認めたくない。だから今は2人の無事を祈ろう。」
秀音「そうだな...」
2人は落ち着きを取り戻し、そのまま食事を済ませた。
数時間後...
時間はあっという間に過ぎ、気づけばもうHRの時間だった。
少し経つとガラガラと教室のドアの音を立てて担任が入ってきた。
何故かいつもより少し急いでいる様子だ。
担任「皆さん静粛にお願いします。」
少しすると周りは沈黙した
担任「先ほど塔矢君の親御さんの方から連絡があって事情を聞いたのですが...助からなかったとの事でした...」
かなりのショックを自分の中で感じた。
今まで当たり前のように居た友人が、帰ってくる事なんてなくなってしまったのだから。
(クソ...なぜこんな事になったのだろう、克美がやるわけがない。絶対に他に犯人がいるはずだ)
(必ず見つけ出して、その時は...)
数分後...
空は灰色の雲によって隠され、やがて冷たい雨が降り出した
(はぁ...金川には申し訳ない事をしたな...)
自宅の前に着き傘を畳み、ポストを開けて何か郵便物が入ってないか確認した。
(ピザのチラシと新聞と...なんだコレ?)
様々なチラシの間の中に白い紙が挟まっていた。
確認してみるとただのA4用紙であり、そこにはメッセージが綴られている。
「よう、電話とかしようと思ったけど電波とか云々で警察に行き渡っちゃうらしいから、手紙で現状を報告させてもらったよ。とりあえず本題に移るね。
『もう俺とは関わらないでくれ』
お前らを巻き込むことは出来ない。俺の事はもういいから、お前はアイツらと仲良くやってくれ。お前らと一緒に居て楽しかったぜ、今までありがとう。
克美より」
...
何が楽しかっただよ...
手紙が少し濡れてしまったため、とりあえず中に入った
翌日...
例の手紙を皆に見せた、しかし塔矢の事もあって既に生気を失っている。
吉和「そんな...このまま終わっちまうのかよ...」
金川「...」
何故、いきなりこんな事になってしまったのだろう。
脳内で思考を巡らせようとするが、積み重なるショックが障害となっていた。
すると、手紙を見つめたままのライトが口を開いた。
ライト「ね、ねぇ...なんかおかしいと思わない?」
吉和「何を今更...ここ最近はずっとおかしな事ばかりじゃないか。」
ライト「それはそうなんだけど、こんな綺麗な状態のA4用紙を一体どこから持ってきたんだろう...
今の状態じゃあとても家には帰れないだろうし、仮に道端に落ちていた物を用いたとしてもここまで綺麗な状態で落ちている考えにくいし...」
吉和「まさか...!この事件も全部”アイツら”の計画で、この機会を狙って克美を攫いやがったんじゃねぇか!?」
秀音「...!」
ライト「そんな...まさか...」
金川「その”アイツら”ってのは確か...お前らを殺しにかかったっていう奴らだろ?だとしたら充分あり得るな...」
秀音「こんな時に...俺はまた何もしてやれないのか...」
皆が表情を暗くしている中、タッツーが口を開いた。
タッツー「いーや、終わるにはまだ早いぞ諸君。」
なにか自信を持っているようだった
秀音「まさか、何か手があるのか?」
タッツー「あぁ実はあの日、煙の中で彼を立ち上がらせた時に「超小型GPS」を肩に貼っつけておいたのさ。」
秀音「はぁ!?それなら何でもっと早く...」
タッツー「まあまあ、少し起動させるのに手こずってしまったってだけさ。んで、どうするんだい?」
秀音「どうするって...まさか...!」
タッツー「彼に会いに行くのか否か...しかし人数が多いと悪目立ちしてしまう、定員は私含め”2人”までだ。」
秀音「2人...」
行きたいのは山々だが、ここで俺が行ってもいいのだろうか?
わざわざリスクを冒してまで俺の家まで来て手紙を届けて、警告をしてくれたのに俺が行ってしまったら全て台無しになってしまうのではないだろうか。
そう考え込んでいると、ポンと肩に手が置かれた。
誰かと顔を見ると、金川だった。
金川「行ってこいよ」
秀音「金川...」
ライト「克美君を助けてあげて...!」
拓真「気を付けてねー」
吉和「アイツ意地っ張りなとこあるからなぁ〜、「俺とは関わるな」とか書かれてたけど本当はお前に助けてもらいたいんだと思うぜ。」
秀音「みんな...」
そうだ、克美に助けられてばっかで俺はまだ何も出来ていない。
だから、今回こそは必ず何とかして克美を助け出してみせる!
タッツー「さて、覚悟は出来たかな?秀音君」
秀音「おう!」
タッツー「うむ、それでは決行は今日。放課後だ」
どうも皆さん綺羅翠です。お久しゅう御座います。いかがお過ごしだったでしょうか?少し間が空いてしまいましたが、何とか話を進めることが出来て嬉しい限りです。では今回もキャラ紹介といきます。
「登坂仁治」
性別:男
身長:193cm
体重:110.6kg
体型:普通(筋肉質)
齢:20
彼の能力は手首から「2本の串」を出すというもの。先端は鋭く、相手を斬りつけるという事も可能である。長さは25cm程。材質は鉄に近く、頑丈である。
とまあこんな感じなんですけど。
はい、大体の方はお気づきだと思いますが私「MARVEL」ファンなんです。これからもちょいちょい要素が入ってしまうかもしれませんが、どうかこれからも温かい目で見守ってくださいませ。




