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45話目

百合百合したいんだけど、文章力無さすぎて百合百合しきれない。

 姿見を前に、あたしは両手にそれぞれ違う服を持って悩んでいた。

 姿見を見てみると、黒髪黒目の肩にかからないくらいのツインテールで顔立ちは幼く背は130センチをギリギリ越えるくらいなのも相まってか、誰が見ても小学校中学年くらいに見える子が悩ましげな顔──それでも少し嬉しそうにはにかんでいる──をして服を何度もその体に合わせている。

 まあ、あたしなんだけどね。

 逆に姿見の前に自分がいるのに、自分以外が写ったらそれこそホラーだよね。

 と、そんなどうでもいいことを考えながらも悩んでしまう。なにを悩んでいるのか? デートの服装だよ! あっ、いや違った! 遊びに行く服装! 断じてデートではない、うん。


「どっちがいいかなぁ。やっぱりこっち? いや、でもこっちもいいよね? えー、決まらないよー」


 2つまでには絞っているから、あとはどっちか選ぶだけなのに。1つは白の肩掛けワンピース、昨日彩が着てたやつの色違いだね。丈は膝上で、青のソックスと白の手提げバッグを合わせる予定。

 もう1つは白の半袖シャツに青のミニスカート。

 シャツは基本無地で左胸にアクセントの絵があるだけで、青のミニスカートはフリルもついている。こっちは白のソックスに青の手提げバッグを合わせる予定。白と青だけはどうしても譲れなかった。黒とか赤はなんとなく暑いし他の色もあたしには似合わないし、青なら涼しいイメージで白は今日のラッキーカラーだしなぁ。

 それに……どうせだったら彩にいい姿を見せたいし……ってなに考えてるの、あたし!? ええい、もうなんとなくで決定! あたしは肩掛けワンピースを着ると、日焼け止めを塗って髪を整える。

 そして手提げバッグの中にハンカチ、ティッシュ、おこづかいの入ったピンク色をしたお気に入りの財布、リップクリームに生徒手帳、それから携帯を入れて青のソックスを履いて時間を確認するといい時間になっていた。

 部屋を出て1度リビングに行ってお母さんに出掛けることを伝えると、なぜか優しげな目で見られたけど意味が分からない。

 問いただしたいところだけどそろそろ時間がヤバいので、スルーすると玄関に行き白のスニーカーを履いてそのまま扉を開けて出ていく。


「行ってきまーす!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 少し駆け足になりながら、あたしは最寄り駅の《都和駅》に着いた。

 あたしの家の最寄り駅である《都和駅》は少し変わっていて、駅前に携帯、それもガラケーの銅像をオブジェとして置いている。

《都和駅》の伝承とかそんなので携帯が関わっているらしく、それならばと携帯の銅像を作ったのだとか。

 特に有名でもなんでもないのだけど、ここら辺だとこの銅像が一番目立つのでよく待ち合わせとかに使われている。


 閑話休題。

 携帯で時間を確認すると約束の10分前だった。駆け足で来てよかった……。少し息を整えて周りを見ると、人がたくさんいるが彩は見当たらなかった。まだ着いていないらしい。

なので銅像のそばに立つと、彩を待つ間に携帯で調べ物をする。

 あとで読書感想文を書くときに使えそうだったので、ブックマークをしておこっ。とあたしがブックマークをしたところで、急に目の前が暗くなる。

 そして後ろから声が聞こえてきた。


「だーれだっ?」

「いや、彩でしょ?」

「えー、当たりだけどなんで私ってすぐ分かるのさー」

「彩の声を間違えるわけないじゃん。それより手、離して」

「むっ、私の声が独特であると申すか貴様ー!」


 そう言うと彩は私の顔から手を離して……かと思ったら急に脇に手を差し込んであたしを持ち上げる。

 って、え!? うわっ、ちょっと!?


「きゃー!? 違う違う!? 違うから持ち上げないで! というか脇に手を差し込まないで! 彩が大事なだけだから!」

「ほうほう、でもそれだけで分かるわけないでしょー? やっぱり私の声が独特だって言ってるんでしょー? ゲロっちゃいなよー、怒らないからさっ。ちょっと罰与えるだけだからっ」

「だから!あたしは彩のことが好きなだけなんだってー!」

「えっ!?」


 楽しそうな声を出す彩がゲロっちゃえと言ったのが聞こえたあたしは、反射的にずっと目を背けていた気持ちを吐き出してしまう。

 うん、彩のことが好き。いやまあ、あの夢を見たときが転機だったんだろうねー。あれがなければこの気持ちに気づくこともなかったろうに、ぐぬぬ……。

 って、あれ? 彩の力が抜けてて、今なら抜け出せそう?

 あたしはソッと抜け出すと、彩の方を振り返る。彩は鳩が豆鉄砲に撃たれたような、そんな表情をしていた。

 彩は黒のロングヘアーに合うような黄色のワンピースで、その黒い目を見開いてこちらを見ている。

 どうしたんだろう? そんなジッと見られると恥ずかしいというか、嬉しいというか。

 すると彩は心配するような声を出した。


「ど、どうしたの芽里。昨日の今日で《テラーモード》になっちゃったの?」

「んなわけないじゃん! そっちこそどうしたの?」

「えっ、だって芽里が私のことを好きって言うのって《テラーモード》になったときだけだし」

「あっ……」


 あたし普通にスルーしようとしてたけど、好きって言っちゃってるじゃん。

えっ、待って? あたし今とんでもないことしたんじゃない? いやそれよりも《テラーモード》のあたしって、彩に好きって言ってるの?

 待って、頭混乱してきた。えーっとこんなときは……そうだ! あたしは目を泳がせながら、声を発した。


「と、とりあえず電車乗ろう?」


 秘技、先送り! いや、どこ行くか分からないから彩に案内してもらわないと行けないんだけど。あたしは彩の手を握って、駅の中に入っていった。

 周りの人の目が異様に優しげに見えたのは、気のせいだと思うことにした。そんな野次馬の中からどこか感心するような声が聞こえてきた。


「これがチョロインかぁ……」


 その声には一言物申したい。

 別にあたしはチョロインじゃないもん!ちょっと意識し始めるとすぐ落ちるだけだもん!

チョロインじゃないもん!()

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