46話目
ガタンゴトン! ガタンゴトン!という音だけが鳴り響く。
あたしと彩は、ここら辺で一番大きいショッピングモールの最寄り駅に行く電車の席に隣り合わせで無言で座っていた。お昼という中途半端な時間だからか、人もまばらでほとんどいなかった。
さっきの駅前でのことを思い出しただけで顔が熱くなるのがよく分かり、顔を下に向けてしまう。と、とにかくなにか喋らないと、間が持たないよ。
いつもは彩から話しかけてくれるのに、今日はなぜか話しかけてこないし。嫌われたのかなぁ……それは嫌だなぁ。
でも仕方ないよね、同性だもんね。気持ち悪いって……思っちゃうよね。
いや、いやいやいや。
ネガティブな思考はよそう、うん。そろそろ、彩が喋ったりしてくれないかなぁ。
そう思って横目でチラッと彩を見ると、彩もこちらを横目で見ていて目が合った。
その瞬間になんだかバカらしくなって、2人同時に吹き出して笑ってしまう。数分笑うと、彩が声をかけてきてくれた。
「あー、笑った笑った。ね? 芽里」
「……なに?」
「さっきのって、そういうことだよね? そういうことだって思っていいんだよね?」
「う、うん」
「友だちとしてとか言わないよね?」
「あー、もう! あたしは!彩のことが! 恋愛的な意味で! 好きなの! 分かった!?」
「……」
なぜか真剣な目と顔で念を押すように確認をする彩にあたしは、もうどうにでもなれと言った風に開き直ってそう言った。すると彩ははじめは驚いた表情をして固まっていたけど、徐々にその顔を嬉しそうな表情にしていく。
なんか最終的に、パァァ……!って効果音が付きそうな感じになって、感極まったようにこちらに抱きついてきた。って、抱きついてきた!? どういう状況!?
「ちょっ。あ、彩!?」
「芽里ー! 大好きー!」
「キャッ! ちょっと人がいないからって押し倒さないでよ!」
「10年間の片想いが成就したら感極まっちゃって。テヘッ?」
彩は舌を少しだけ出して小首を傾げると、グーにした手で自身の頭をコツンっと叩く。
あ、あざとい……そして可愛い。って違う違う! それよりも今気になる単語があった気がする! 10年間の片想いってなにそれ!?
「え? 私10年前からずっと芽里のことが大好きだよ?」
「待って、当たり前のように心を読むのやめて」
「大丈夫、大丈夫。芽里の心しか読まないから」
「普通に大丈夫じゃないよね!? それに10年前ってあたしたち4歳じゃん!」
それって4歳の頃から彩に片想いされてたってこと!?まったく気がつかなかったんだけど!?
大体あたし普通に「同性を好きになるとか気持ち悪い」って言われると思ってたんだけど!? 本当に嫌われたと思ってたのに、全然違ったじゃん! はぁ、なんか疲れた。
ふぅ……とあたしが息を吐くと、とりあえずこのままの体勢でいるのは迷惑なのと恥ずかしいって言うのがあるので、彩に言って元の通り隣り合わせで座る。
まあ、まだなんとなく恥ずかしいので話題を変えることにした。
「それで? あたしたちはなにを買いに行くの?」
「水着」
「はい?」
彩が急に変なことを言い始めた。夏の暑さにやられたのかと思うも、この電車内は冷房が効いているのか暑くないしそんなわけないと思うんだけど。
あたしの表情でなにかを察したのか、彩は重ねるようにもう一度声を出した。
「だから水着だってばー!」
「……今年はどこかに泳ぎに行く予定はないよ?」
「私とデートで行く! 8月のはじめに行くんだから予定空けといてよね!」
なぜか彩と行くことが決定していた。いや、デートで行くなら当日に水着のお披露目をしたいんだけど。
まあ、予定なんて入れてないし大丈夫だけど。
「まあゲームしかやることないしいいよ」
「あ、そうそれ! 芽里、たまには運動しないとダメだよ? ダイエットの必要はないだろうけど、健康に悪いからね!」
「あぁ、それで今日のコレなんだね」
「そうだよ。さあ、私に付き合ってもらうよ!」
「えっと、お手柔らかにお願いします……?」
結局久々のショッピングではしゃいでしまって疲れたのか、家に帰ってお風呂に入ってご飯を食べたらゲームにログインすることなく寝てしまった。
まあ、彩と気持ちが通じあっただけでも良しとしよう。おやすみなさーい。
ショッピングをカットしたのは、書くのが難しかったからじゃないです。
だってお前ら考えてみろよ。
更衣室での水着とプールでの水着、お前らどっちがいいよ?




