19話目
とりあえず二人とはフレンド登録だけして別れた。リア友であるアヤを除けば初めてのフレンドなんだけど、あの二人の甘い世界はあたしには厳しすぎるよ。
学校にもああいうペアいたから、もしかしたら結構な割合でいるのかも。現実のバカップルは、あの二人だけだと思ってたんだけどなぁ。まあ、その二人のことは置いといて。
あたしは今草原にいます。
言わないで! 「結局戻ってきてるじゃん」とか「頭大丈夫か、こいつ」とか言わないで!
……ふぅ。えっと、なんだっけ? あぁ、なんで草原にいるかだったね。
まあ、理由は二つあるんだけど。
まず一つ。
単純な話であたしに森は早かった。少なくともあの熊の対策ができるまでは行かない方がいいと思う。はい、そこ! 「イキ〇ト」とか言わない! それ風評被害だから! それにあたし二刀流じゃないし!
えー、もう一つは単純にスイッチが入っちゃった。
これはあのバカップルの、特にカオリ―カオリさん呼びは禁止された―のせいだ。いや、最初はカオリの恐怖で満足できてたんだけど、ちょっと恐怖談義してるときに熱くなっちゃってスイッチが入ったんだよね。
それでそのときのカジキの引いた顔で達するギリギリで寸止めされちゃったから、スイッチが入ったままになってるし。あのまま行けば達することができたのになー。
特に途中からカオリの目の光が消えていくのはゾクゾクした。恐怖のベクトルが違うけど、あれはあれでいいと思う。ただ達するまでには行かない。そこは残念だったかなぁ。
まあそんなわけで要するに、森より楽だしスイッチ入っちゃったしでもう他のプレイヤーの顔色も気にするのめんどくさいから派手に暴れちゃおう、と言うわけだ。と言っても目立つように暴れたらすぐに死ぬと思う。
だってなんかプレイヤー増えてて、完全密集地帯になってるせいか、モンスターがポップと同時にやられてるくらいだし。目もギラギラしてて恐怖に染めたいはずのこちら側が、逆に恐怖に染まっているくらいだ。
なんか「セット装備は俺が貰うッ!!」とか「ケモ耳女の子の為ならッ!」とか聞こえるけど、意味が全く分からない。まあ、殺っちゃえばどうでもいいよね。
というわけで《気配遮断》を発動して《メリーさんの電話》を使う。ここまで密集してるならもう目の前の人でいいかな。あ、ナイフは抜刀した上で目の前の人の後ろに位置する人に投げます。位置の関係上斜め後ろになるけど。
あ、効率よく仕留める方法思いついた! じゃあ《メリーさんの電話》の標的変更で。
《もしもし? あたしメリー。今あなたの前にいるの》
「なに!? メリーだと!? くっ、食らえ!」
「グハッ!?」
「「なッ!? グッ!?」」
やったことは非常に簡単なもの。あたしの名前が掲示板で叩かれているからこその作戦だ。
まず《メリーさんの電話》を、あたしから遠い位置にいて口の軽そうな見た目をしている人に使う。デメリットとして定型文があるスキルなので、このスキルを使った時点でメリーがいること、つまりPKがいることがバレる。
口の軽そうな人にこのスキルを使ったら、あたしの名前を言ってくれると思った。見事に引っ掛かったね。目の前の人を攻撃するのは予想外だったけど、結果オーライってことで。
というかあたしの名前聞いて即斬るって怖いんだけど。あたしなんだと思われてるの? まあ、それはともかく。
問題! 急にPKの名前を叫び目の前のプレイヤーを斬るようなプレイヤーがいます。さて、他のプレイヤーたちは一体どうするでしょうか?
まあ、答えはさっきの声の通りだね。 驚いて振り向いちゃう。抜刀状態のあたしの前では振り向き=死。つまり他のプレイヤーは死ぬ。
『種族レベルアップ!』
『《気配遮断》のスキルレベルアップ!』
やっぱりプレイヤーは経験値が美味しいね。《メリーさんの電話》の標的になったプレイヤーとあたしの間にいた大量のプレイヤーは、一人残らず倒れた。
しかもそのプレイヤーが一人を斬ると同時に全員やられた為、他プレイヤー視点から見るとあの人が犯人にしか見えないわけで。
まあ、つまるところフルボッコだドン!って感じかな?マーカーも変わっていたので、安らかに眠っていてほしい。ん? あたし?
もちろん、そのプレイヤーがやられてる間にこっそりとキルを重ねて逃げてきましたけど? それでもう一回種族レベルがあがったのは、ご愛嬌だよね。
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名前:メリー
種族:デミゴーストLv8
スキル:《気配察知Lv4》《気配遮断Lv3》《霊化・実体化》《魔法弱点》《物理耐性》《後ろの正面だーれ?Lv4》《メリーさんの電話Lv5》《ワープLv3》
称号:《紙耐久》
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