11話目
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「おい! どういうことだよ!」
プレイヤーとウサギで溢れかえった人混み(?)の中から、若い男性の怒ったような声が聞こえてきた。なんだろう? パーティの人と揉めたのかな?
「なんでそこのガキがスキルを作れて、俺様が作れねーんだよ!」
どうやら、あたしと同じようにスキルを作れた人が居るらしい。他にも作れた人が居たんだ。なんか安心。
「おい! そこのガキだよ! さっきまで大声で喋ってたお前!」
「えっ? あたし?」
「そうだよ! なんでお前みたいなやつが作れるんだよ!」
「え、スキル枠を余らせたからじゃ……」
というか大声で喋ってたって言うなら、内容も聞いてると思うんだけど。それよりもあたしはガキじゃないんだけど!? 謝って! ガキって言ったことを謝って! このアバターになった理由の大半なんて、現実と差があったら危険だからなんだよ!?
「お前みたいなガキがそんな器用なことするわけないだろ!」
「まずあたしはガキじゃない!」
「そんなちっこい体でガキじゃないなんてよく言えたもんだな! アァ!?」
「えぇ、理不尽じゃない、それ?」
この人もキャラメイクしたはずなのに、なんで分からないのかな。あ、この男の人の容姿は、違和感しか感じないイケメン風の顔に170センチほどの身長で、やせ形っぽい感じ。腰に長剣を差していて、防具はボロボロな鎧一式みたい。
まあそんなどうでもいい容姿の説明はともかく。あたしは現実じゃ、このゲームの身長の3センチは背が高いのに。
「いや、3センチは誤差でしょ。メリーは現実でも小さいよ」
「だから、勝手に人の思考に返事しないでって。それに誤差じゃないから」
「グダグダうるせえ! このクソガキ!」
クソガキって、なんでちょっと悪くなったの!?あたし今なにもしてないのに! なにが気にさわったの!? 無視したみたいになったからかな!?
「で? なんでスキルを作れるんだよ! 最初は、みんなスキル枠がないから作ることができないんだろ!?」
「だからそのスキル枠を余らs「そうか、分かったぞ! お前チート使ってるな!」……え?」
なんで、あたしがチート使ってる設定になってるの? そんなもの使ってないんだけど? というか今のご時世、そういう対策はしっかりされてることなんて常識なのに。
ふざけているのかな?
「図星だろ! こんなガキがチート使ってるなんてなぁ! 今すぐGMコールをして、アカウント凍結させてやる!」
あ、これガチだ。この人ヤバい人だよ、絶対ヤバい人だって。
「いや、待って? ねぇ、待って! 人の話を聞いてくれない!?」
「チーターの言葉なんか聞くわけねーだろ! さっさとバンされろ!」
「ダメだ、この人。早くなんとかしないと……」
「私は、この人既に手遅れだと思うな」
「そんなこと言ってる暇あったら助けてくれない!?」
「いや、ふざけている余裕があるんだから大丈夫でしょ? それに疚しいことは、なにもしてないんでしょ? だったら堂々としてればいいんじゃない?」
「そうだけど! そうだけどさぁ!」
確かに疚しいことはなにもしてないけど、それでも嫌なんだってばー!男は空中で、忙しなく指を動かしている。なんだろう、ついに頭が狂ったのかな? いや、それは元からっぽいけど、
「よし、GMコール完了!」
「本当にやっちゃった!?」
「これが本物の迷惑プレイヤー」
「迷惑プレイヤーは、チーターなそこのガキだろうが! なんだ、お前はそのガキを擁護すんのか!」
「うわ、難しい言葉で頭悪いこと言ってる……」
「メリー、擁護ってそこまで難しい言葉じゃないわよ……」
擁護みたいな難しい言葉使ってる人って、頭いいイメージがあったけどこれからはそんなイメージ持たないようにしよう。というか擁護って難しい言葉じゃないの…?
「呼ばれて! 飛び出て! ジャジャジャジャーン!」
その声とともに、何処からともなく現れた中年のおじ様風男性。服もどこかの貴族のような黒いスーツなのでイケメンなはずなのに、登場の仕方が残念すぎて……率直に言うとダサい。
「やあ、GMコールを聞きつけここに来たGMの白だよ!」
名前と違って見た目黒なんだけど。そしてやっぱり容姿に比べて、中身が残念すぎないかなぁ。
「そこの君!」
「お、俺様?」
「そう、君さ! 君が呼んだんだろ? 状況を説明してくれ!」(キラッ)
「おう、じゃあ説明するぜ?」
かくかくしかじか、説明中。いあいあくとぅるふ、召喚中。
このときいきなりアヤに頭を叩かれた。
「痛っ!? なんでいきなり!?」
「なんか言ってはいけないことを考えてたから」
「な、なぜバレたし」
「やっぱり考えてたんだ……」
~~もうちょい説明するんじゃよ~~
「……というわけなんだ」
「ふむふむ。ありがとう」
大分偏見と嘘の入った状況説明だったな。あたしがスキルを作ったことを自慢していたとか、チートを大量使用しているとか。全部嘘なんですけど?
あたし、これからどうなるんだろう?
おかしいなぁ?
一話でここ終わらせるつもりだったんだけどなぁ?




