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貴方、言ったわよね?

「ちょっと、卑怯よ! こんな物に閉じ込めて! 正々堂々と戦いなさい!」


 マリアが何かを叫んでいる。

 シンシアはほっとしているようだ。

 それはそうだろう、あれだけの威力の攻撃を何度も、しかもマリアの場合、


「相手のステータスを操作するらしいから、その影響で壊れやすくなっていても困るし」


 と小さく呟いて、その場合シンシアに攻撃が当たる可能性が高い。

 そういった点も考慮すると、やはり私自身が飛んでいくような必殺技は出来る限り避けなければならない。

 なのでぜひぜひ、ユーグに教えてもらおうと思っているとそこでマリアが私の背後から、


「良いから私をここから出しなさい!」

「……マリア、貴方、自分がいった事を覚えていないのかしら」


 私はにやぁと笑いながらそう告げると、マリアは沈黙した。

 けれど更に私もいいたいことがあって、くるりと後ろを向く。

 自分が今どんな顔をしているのか分からないが、私としては笑顔のまま青筋を浮かべていただろうと思う。


 そしてそんな私を見て真っ蒼になった様なマリアが固まっている。

 なので私は出来る限り優しい声音で、


「貴方は私と初めて会った時に、私の事を悪役令嬢って言ったわよね」

「だ、だって私の……」

「なんちゃらサーチに引っ掛かったらしいけれど、悪役令嬢っていったのは事実よね? 覚えているでしょう?」

「そ、それはまあ……」

「そして悪役だったらこの展開は何にもおかしくないよね(はーと)」


 マリアはそれ以上何も言わなかったので放置し、私はユーグに聞こうとすると、


「ベルは悪役なのかな?」

「そう言われているみたいです。この前あのゴーレムを何となく起動させてしまったのが切っ掛けで」

「あんなもの、ただの玩具なのにね。そう思わないか? メア」


 そこでメアと言われた人が、ふんと感じ悪く鼻で笑って、


「あんな玩具程度に脅威を感じるなど、笑止」

「あの~、私、追いかけられて怖かったんですけれど」

「あれは、そのままでは一人人間を捕まえると頭の上に乗せて10分程度置いておけば自動的にその人間をおろして元の状態になるようにプログラムされている。ま、変な使い方をしないことと、メンテナンスは必要だが」

「踏みつぶされそうになりましたが」

「……ああ、君達の場合は、人間と認識しないのかもしれないね」


 それは私が異世界人だからですか、と思ったけれど私は聞けなかった。

 そんな私をユーグが撫ぜて、


「まあまあ、色々誤解があるようだけれど、ベルが頑張ってそのゴーレムをどうにかしたわけだし、遅くなったけれどご褒美として教えてあげよう」

「わーい」


 心の中でレオンと大違いだなと思う。

 そしてさりげなくちらりと様子を見ると、何となく悔しそうだ。

 レオンなりに、心を鬼にして教えてくれている部分もあるのかもしれない。


 確かに色々な場面で手助けはしてくれる。だから、


「レオンの事は一応信頼はしているんだよ?」

「……ぷいっ」


 レオンは私から顔をそむけた。

 言葉に出して伝えないと伝わらない事って多いので、伝えてみたのだけれど、レオンには伝わっただろうか。

 そう私が思いつつユーグに、


「それでその部分的な方法とは……」


 それをユーグはかみ砕くように教えてくれる。

 丁寧な説明を聞いて私は、


「なるほど、早速試してみます」

「うん、頑張ってね」


 そうにこやかに手を振られた私は、その結界に手を触れて魔法を発動させる。

 地面に描かれた魔法陣によって私の体に触れる様に魔法の膜が現れる。

 それは先ほど作りだした結界に触れると消滅する。

 

 少しでも逃げようとするシンシアに手を伸ばして、


「はい、これで私の勝ち!」


 肩の部分にどうにか指先が触れたのだった。

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