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ヒロインと私で、攻撃!

 現れたマリアは私に向かって、


「まさか休日まで出会えるなんて思わなかったわ。早速……」

「それどころじゃないんです! 今すぐ倒さないといけない敵がいるの! 今渡しがこの人達は治療したけれど……」

「……ふーん、“また”出たんだ」


 低い声でマリアが呟く。

 恐ろしく低く冷たい声で、自嘲じみた笑みを浮かべる彼女。

 その視線の先にはあの黒い化け物がいる。と、


「この前戦った時は全バージョンアップ装備全部を使って失敗したのよね。しかも持っていたアイテムも全部ダメで、仲間はその時はミカエルだけだったけれど……またあいつに、貸しを作ってしまったわ」

「でも、サポート役でしょう?」

「サポート役、ね。貴方……随分事情に詳しいようね?」

「え、えっと……あの……」


 探るように私を見るマリアにわたしがぷるぷるしていると、


「まあいいわ。今は協力してあげるわ。貴方達と一緒なら、今度こそあいつを倒せるかもしれないしね」

「マリアは以前に、あれと会った事があるの?」


 少なくとも私はゲーム内では見たことがない。

 そして今の時期は、ゲームの世界のストーリーが終わった後だ。

 では一体いつと思っていると、


「貴方に初めて会う少し前ごろね。おかげで私の変身装備が全部故障して、それでも倒せなかったからミカエルに助けられたのよ、悔しいわ。その時の雪辱を晴らす時!」

「よろしく! さてと、我思うが故に我あり(コギト・エルゴ・スム) 祖を起点として扉を開け! “虹の欠片たる炎”」


 私の下に円陣が現れる。

 私の得意……なはずの炎属性の魔法だ。

 対するマリアは、杖を振り上げ、


「“杖よ、奏でよ”、“雷の悪夢(サンダー・ナイトメア)”」


 雷がマリアの杖から幾筋も伸びて、化け物を攻撃する。

 私も早くしないとと思いながらチラリと見ると、ランディは

、私が見たことのない魔法を使っていた。


 それは私のような円陣の更に周りに二重の光の円陣が広がっている。その外側の円陣の文字には複数の色の石がおきどきチカチカと輝いて文字を浮かべている。

 そういえば高度ダンス魔法と言ってきがする。


 この石を操作して、魔法を使うのが高度ダンス魔法なのだろう。

 すごい魔法になりそうと思いながら私は、最後の文字を踏み、


我思うが故に我あり(コギト・エルゴ・スム)、“火炎の滝(フレア・フォール)”」


 円を描いた文字達が私の前に移動してそこから化け物に向かって炎が滝のように降り注ぐ。

 それを避けるようにウィルが下がったけれど、


「え?」

 

 ウィルが呟く。

 炎で視界を覆い尽くされるようなそれだったのに、避けたウィルに向かって黒いナイフにようなものが伸びて……そこでウィルの足についた石が緑の輝きを放つ。

 私が渡した防御のアクセサリーだ。


 ウィルに渡しておいてよかったと私は思う。

 突風が吹き、その黒いナイフのようなものが吹きとばされて壁に当たる。

 同時に私の放った炎も拡散されてしまうが、そうするとほぼ無傷に見える黒い闇が広がるばかり。

 その恐ろしさに体が震えるけれどそこで、


我思うが故に我あり(コギト・エルゴ・スム)、“星々の光の片鱗スター・ライト・グリンプス”」


 ランディのその言葉とともに文字が破裂して細かな光になり、小さな星々のごとく粒子となりそのまま一斉に目標に打ち付けられる。

 一つ一つがかなりの威力を持っているらしく、外れた攻撃が壁に大きな穴を作っている。

 それが長い時間連続攻撃して、ふっと消える。


 けれどそれと同時に、闇が細い何かを伸ばして……全く効いていないその生物に私達は動けずにいる。

 マリアも悔しそうに唇を噛む。

 私達の目の前には、その黒い何かが迫っていて……そしてそこでレオンが呟いた。


「やはり、駄目か。“歌え、始りの大樹よ”」


 同時に白く輝くカードが、数枚、数十枚、数百枚と広がって……真っ白な輝きの光をその黒い何かに打ち付ける。

 悲鳴が聞こえる。

 悪夢のような声だ。


 けれど光が強くなるごとにそれは薄くなり、消えていく。

 やがて唐突に光が消える。

 そこにはただ静かに闇のみが広がる。

 そこでレオンは口を開いた。


「……あいつには、光属性の魔法しか効かないようだ」


 と。

 そこでころんと何かが転がる。

 近づいてみるとそれは、青いあの石だったのだった。


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