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一番レベルが低いんだから

 ダンジョンへ向かう日の朝。

 ベッドから起き上がった私は大きく背伸びをする。


「んー、よく寝た! さてと、今日は……ダンジョン用の服っと」


 昨日ランディにも手伝ってもらって、ダンジョンに潜る為の服を選んでもらったのだ。

 肌はあまり露出をすると怪我しやすいから止めた方が良いとか、山歩きの装備の様な話を私は聞いていたのだけれど……結局、私はズボンではなく、青を基調とした格子柄のスカートとニーソを履く事になった。

 何でもこの服に使われている魔法が、装備としては防御力が高いらしい。

 

 との事で、着替えて、色々詰め込んだ小さめのリュックサックを背負い準備万端。

 鏡の前でとりあえず、にこっと笑ってダブルピース。

 うむ、か・ん・ぺ・き・だ!


 そう思って私は時計を見る。

 待ち合わせの時間まであと少しだ。


「さてと、後はウィルとレオンにこの靴飾りと腕輪の二つっと」


 確かウィルは、杖の魔法(物理)だったはずだ。

 なので接近して相手を倒すのを考えると、一番敵に近づき、攻撃を受けやすい。

 かといってあまり重い装備を持っていても、攻撃速度に影響がある。ならば、


「避けられない危険な攻撃を受けた時用のアイテムを渡しておいた方が良いよね。レオンにも一応、坊行の腕輪っと」


 レオンにはそんな物が必要なのだろうか。

 ふとそんな疑問が私の中に浮かぶ。

 けれど油断する事もあるかもしれないしと思って私はそれを手に取り、そろそろ時間だと思いながら部屋に鍵を出て外に出る。


 ゆっくりと階段で下まで降りると、そこには既にランディとウィル、レオンが来ていた。

 私が一番遅かったらしい。


「ベル、遅いぞ?」

「でも集合時間より10分は早いよ?」

「でも一番最後だからな」

「それは屁理屈って言うんです。あ、そうそう、ウィル、これ靴に付けてもらえるかな」


 飾り紐のような物で、先の方に魔力の秘められた灰色がかった“魔石”が付けられている。

 これは風系の魔力を秘めた石だ。

 

「ありがとうございます! ブーツに縛っておきますね……でもよろしいのですか? 何だか高そう……」

「こちらからお願いして一緒にダンジョンに潜ってもらうわけですし、それにウィルが怪我をしたら私が悲しいから」

「! はい!」


 ウィルが嬉しそうにそれを受け取った。

 その隣で、うんうんいい話だなーと、ランディが頷いている。

 ウィルがそうして靴に紐を付けている間に私はレオンに、


「ほら、レオンの分の魔道具」

「……俺の分?」


 レオンが訝しげな顔をしているので、本当にこいつ、余裕があるなと思いながら私は、


「もしもって事があるでしょう? だから防御の腕輪のアクセサリー。最低でも装備してよね……というか、全然防御用の装備とかに持つとかほとんどないじゃない」

「……カードさえあれば俺は十分だからな。でも……ベルが心配してくれたのは素直に嬉しいから貰っておく」


 そう言って、いつもは見せた事のない様な優しい頬笑みを私に向ける。

 そういう顔も出来るんじゃない、と一瞬思って見とれてしまったが、駄目だ、これはあのレオンだ。

 鬼畜なあの魔法練習と勉強詰め込み合宿の様なあれを思い出せと思ったら、頭が痛くなった。


 そもそもダンジョンになんか潜ったりすること自体大変だし、さて、逃げようと私が思った所でレオンが私の手を握った。

 

「ベル、逃げられると思うなよ。この中で一番レベルが低いんだから」

「いやぁあああああ」


 逃走しようとした私は手を握られたまま朝食をとり、ちょっとしたお菓子を購入してダンジョンへと連れて行かれてしまったのだった。


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