ダンジョン上層部
学園ダンジョン。
その名の通り、学園内にあるそういった魔物などが住み着く、ありの巣の様な場所である。
地上の環境とは違い魔力が満ちていたり、他にも危険な物がいたりする。
そのため、環境の違いにより生えている植物や、特殊な鉱石、魔物や生物が繁殖している。
それらの中には私達にとって有用なものも数多ある。
例えば、ウィルが妹さんのために取ってきた薬草などもその類だ。
さてさて、そんな中、入り口の学園ダンジョン管理人さんに、学生証と誓約書(自己責任ですよといった内容)を記入して、ダンジョンに入っていく。
私の前にも一組、生徒らしき人達が中にはいっていくのを見かけた。
多分上級生だろうなと思っている。
各々、剣や弓などの武器を持っている。
杖などとは別に、だ。
対して私達の装備はというと、杖とカード、私とランディに至っては、ちょっとしたナイフ程度しか持っていない。
「レオン、私達も弓とか斧とか剣とか持って来るべきだと思うけれど」
「そんなに深くまでもぐる予定じゃないからな。そこまでの装備は必要ない」
「こう、念には念をとか考えないの?」
「勉強と練習量が増えてもいいなら俺は構わないが」
「私、ダンス魔法を極めたいと思うわ」
あっさりと前言を翻した私。
そして私達はダンジョンの中に入っていく。
土壁のほられた穴のような場所は、左右に魔法の灯りがポツンポツンと取り付けられていて明るい。
その灯りは三角錐型の透明な容器に黄色く輝く石のようなものが入っていて、その容器の一番尖った場所に丸い輪っかがついていて、それを使い、土壁に打ち付けられたフックから吊り下げられている。
しかもこの灯りには防御用の魔法がかけられているらしい。
なので多少の攻撃は効かず、魔物が何かしても大丈夫な仕様だ。
ただ、この灯りは途中までしか付けられていないらしい。
レオンが言うにはそこまで潜ったら引き返すとのことだ。
ちなみにあの上級生は更に深くにもぐるらしい。
なんでも“ココロヤ草”という、鮮度が命の難病に効く草が生えているのがそのくらいダンジョンの先だそうだ。
その説明を聞いたウィルが、
「ここに“ココロヤ草”があるのですか!」
「……あー、そういえばウィルの妹はこの草が必要だったな。……じゃあそのうち、ベルのレベルを上げるついでに採取出来るようにするか」
レオンが私を見た。
ウィルも期待をするように私を見た。
これではこれからも私はここに来なければならないような雰囲気ではないか。
かといってこのまま断るなんて私も出来るわけなくて。
「……そうなんだ、私もできるかぎり頑張るね」
「はい!」
ウィルが嬉しそうなので余計に私は断れなくなってしまう。
だがそこでレオンが笑うように私を見たのに気付いた。
そう、つまり今の誘導で私はダンジョンに小まめに潜るのが確定してしまったのかもしれない。
やられたとわと私が思っているとランディも私の肩を叩いて、
「ベル、ありがとう」
「……別に、あたりまえのことだし」
ウィルの事情を知れば自ずとそういった気持ちになるだろう。
ランディはそんな私の方をポンポン数回叩いていた。
……表情から感情が読めないのでどんな風な気持ちで叩いているのかがよく分からない。
でも好意はあるようだからまあいいやと思って私は考えるのをやめた。
とりあえずはレベルも頑張ってあげておかないとなと私が思っていると、そこでランディがなにかを取り出す。
それは豚さんの蚊取り線香容器に紐をつけて吊るせるようにしたような形をしている。
「それ、何?」
「音の反響で、この前に敵がいるかを察知するんです。ただ、ここは狭いので反響音がノイズとして少し載ってしまうかもしれないのですが。そういったノイズのキャンセル機能も一応は組み込んでいるのですが、どの程度効果があるかは不明です。今日はじめて使用しますから」
「そうなんだ。市販品なんだよね」
「はい、煽り文句はとても素敵なのですが、実際に使ってみないことにはなんとも」
たしかにそうだよねと私は納得すると同時に、その豚さん蚊取りから平面上のマップのようなものが出る。
そこには光り輝く赤い点があって。
それを見たランディが、
「この前に魔物がいます」
そう告げたのだった。




