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【累計5000pv突破!】最強のドラゴンを従えたので、世界の命運とか気にせずのんびり生きる事した  作者: 黒猫 六郎太


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役立たずのドラゴンテイマーは最強を手に入れる

レガリア王国の騎士、ガウディの息子として生まれた俺、ラルクは、父と同じか、それ以上の騎士になるのではないかと、周囲から期待されていた。


 十五歳になった俺は、水晶の間へと通された。


 そこで職業の適性を調べるため、岩石ほどの大きさがある魔水晶に触れる。


 すると魔水晶から、無機質な声が響いた。


『ガウディの子、ラルク。適正職――ドラゴンテイマー』


 その結果を両親に伝えると、二人はとても落ち込んでいた。


 ドラゴンテイマーは、契約するドラゴンがいなければ役に立たない、穀潰しのような職業らしい。


 しかも、ドラゴン自体がこの数百年、姿を現していないという。


「気にするな、ラルク。騎士になれずとも道はある。兵士としてレガリア王国に仕えるんだ。そうすれば、きっと道は開けるだろう」


 父も母も、相変わらず俺を愛してくれようとしていた。


 だが、周囲の人間は違った。


 俺を見る目は、日に日に冷たくなっていった。


 陰口を叩かれるのは当たり前。


 目を合わせようともしない。


 騎士見習いの仲間からは、稽古と称して何度も痛めつけられた。


 それでも父に泣きつくわけにはいかず、俺は一人で耐え続けてきた。


 いつか道が開ける。


 父のその言葉だけを頼りに、がむしゃらに頑張ってきた。


 だが、その日はきっと、俺もおかしくなっていたのだろう。


 気が付けば、城を抜け出していた。


 行く宛てもなく、ただ一人で外をふらついていた。


 これがバレたら、兵士長に鞭打ちを食らうだろうな。


 そんなことを考えながら、俺は一人、乾いた笑い声を漏らした。


 しばらく歩いていると、長年誰も住んでいないような、朽ち果てた廃村を見つけた。


 少し休んでから城へ戻るか。


 そう思い、比較的損傷の少ない石造りの民家へ入ろうとした、その時だった。


「うるるるる!」


 何かの生き物の鳴き声が聞こえた。


 引き返してもよかった。


 だが、気になって仕方がなかった。


 俺は恐る恐る家の中を覗き込む。


 そこには、絵本の中でしか見たことのない存在がいた。


 頭には立派な一本角。


 全身を黒い鱗に覆われたドラゴンが、必死にこちらを威嚇している。


 よく見ると、背中には深い傷があり、翼や尾にも細かな傷を負っていた。


 そんな状態だったからだろうか。


 威嚇されても、怖いとは思わなかった。


 初めて見るドラゴンへの感動すら、今の俺にはなかった。


 ただ一つだけ。


 どうにかしてやりたい。


 そう思った。


「お前を傷つけたりしない。俺も、お前と同じだからな」


 そう言いながら、俺は上着を脱ぎ、腕に残った痣を見せた。


 こちらを睨みつけながら、ドラゴンは唸り声を上げている。


 だが、やがてこちらへ一歩近づくと、俺の痣を舐めた。


 一瞬、痛みを感じた。


「消えてる?」


 さっきまであった痣が、一つ消えていた。


「同情してくれたのか? ありがとうよ」


 俺は思わず笑った。


「お礼に傷を見せてくれ。お前みたいに傷を治すことはできないが、応急処置くらいはできるからな」


 言葉が通じたかのように、ドラゴンは俺に背を向け、傷を見せた。


 まずは傷口を清めるため、近くの川から水を汲んだ。


 それを煮沸して、ぬるま湯になるまで冷ましてから、ドラゴンの傷口にかける。


「うるるる!!!」


「悪い、痛かったな。もうすぐだから我慢してくれよ」


 そう言いながら、廃墟の中にあった比較的清潔そうなベッドのシーツを千切り、ガーゼ代わりにして傷口を覆う。


 外れないように、軽く縛ってやった。


 身動きが取りづらくなり、不自由そうではある。


 それでも満足したのか、ドラゴンは、


「うるる!」


 と嬉しそうに鳴いた。


「傷を治すには、栄養のある飯が必要なんだが……」


 持ってきていた布袋を探る。


 中から出てきたのは、ビスケットが数枚だけだった。


「悪いな。これしかない」


 ドラゴンはビスケットを一枚、また一枚と食べていく。


 そして、すべて食べ終えると――


「うるる!」


「まだ欲しいのか?」


「うるる!」


 まだか、まだかと催促するように鳴いている。


 それが妙におかしくて、俺は思わず笑い声を上げた。


「気に入ったか? 傷が治ったら、沢山持ってきてやるよ」


「治ったら、いいか。沢山」


「お前、喋れるのか!?」


 驚いている俺をよそに、ドラゴンは、「うるる!」と力強く鳴いた。


 すると、体中にあった細かな傷が、次々と塞がっていく。


 背中の傷も大部分が塞がった。


 だが、完全に治ったわけではないらしい。


「これが今は限界だ」


「食い意地だけで自分の傷を治すとは……恐れ入ったな」


 俺は苦笑する。


「傷も治ったし、もう大丈夫だな」


 そう言って帰ろうとした。


 すると、ドラゴンが俺の服の裾を噛んだ。


「ビスケットなら、次に来た時に持ってきてやるよ」


「違う」


「え?」


「お前、気に入った。私と契約しろ」


「契約?」


「何があっても、私と離れないと誓うだけ。それだけで、お前は全てを手に入れられる」


 嘘か本当か確かめる術はない。


 だが――


 今までの退屈な生活とは違う何かが始まりそうな気がした。


 俺は好奇心に負けた。


「ああ、いいぞ。契約でも何でもしてやる」


 そして笑った。


「今より、よっぽど楽しくなりそうだ」


 その瞬間、腕に違和感を覚えた。


 見てみると、腕には光り輝く紋様が浮かんでいる。


 ドラゴンの背にも、同じ紋様が浮かんでいた。


「契約成立だ」


 ドラゴンは誇らしげに胸を張る。


「お前たちがエンペラードラゴンと呼ぶ私の力は、お前のものだ!」


「エンペラードラゴン……」


 俺は昔読んだ絵本に、そんなドラゴンが登場していたことを思い出した。


 エンペラードラゴン。


 世界を統べるドラゴン。


 魔界の王でさえ手出しすることのできない存在。


 気に入った相手には、富や名声、力だけでなく、世界そのものを与える。


 絵本に書かれていた、途方もない存在だ。


 そんなドラゴンの力が、今は俺のものになった。


 体の奥から、何でもできそうな万能感が湧き上がってくる。


 けれど、そんな力を手に入れて最初に俺が考えたことは――


 今の生活から抜け出して、のんびり生きていきたい。


 ただ、それだけだった。

読んでくれてありがとうございます。

少しでも面白いと思ってくれたのならブクマや、アドバイスのコメントいただけたら幸いです。(作者のモチベーションが上がります)


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