ep.2-10 執事のお仕事
門番がこちらに質問してきて
エドワードさんが答えた
「(門番)
返事が来るまで
いくつか確認させてもらうが
よろしいかな?」
「(エドワード)
はい。
答えられる範囲であれば何なりと。」
「(門番)
遠征から帰還途中の
ワルター=マクナマラ辺境伯ではなく
なぜエドワード殿が
ここに先だって参られたのか?」
「(エドワード)
我が主の本国への帰還に先だって
艦隊の物資の補給の手続きと履行を行う為です。
そうすれば
出航までの時間を
短縮できますので
大型の港といえど
港湾の占有を軽減できると思います。」
「(門番)エドワード殿の出身は当国であるか?」
「(エドワード)その通りでございます。」
「(門番)
では
バトラー家の血族の方でしょうか?」
「(エドワード)
いえ。
私は元々戦争孤児で
バトラー家に引き取られ
家を出る際に家名を頂いた過去がございます。」
「(門番)
そうですか。
ちなみにそちらの3人の身分を伺っても?」
「(エドワード)彼らは私の部下です。」
「(門番)
念の為
それぞれ名前を伺っていいか?」
「(エリス)
私は
レオナルド=ノリス
使用人でフットマンです。」
「(レベッカ)
私は
その娘の
レイチェル=ノリス
同じく使用人でハウスメイドです。」
「(マティア)
私は
マティア=ウォード
サードシェフです。」
「(門番)
マティア殿。
手を見せてもらってもよろしいか?」
「(マティア)
もちろんです。
どうぞご確認ください。」
私は前に歩み出て
両手を開いて差し出した
「(門番)
なるほど。
遠征メンバーに組み込まれるだけはあるな。
料理以外も鍛錬している
色々と仕事をしている人間の手をしているな。
もし時間があればだが
料理を作ってもらえるか?」
「(マティア)
もちろんです。
暇が出来て
我が主の許可が下りれば
こちらに伺って
料理をご提供させていただきます。」
「(門番)
そうか。
是非来てくれることを願っているぞ。
聞こうと思えばもっと質問できるが
身柄に不審な点がない以上
一応こちらからの質問は終わりだ。
お茶を出して
もてなすこともできなくて申し訳ないが
伝令が返ってくるまでもう少しかかるだろうから
そちらの椅子に座って待っててくれ。」
「(エドワード)
では
少し休憩させていただきます。」
20分ぐらいして伝令が返ってきた
「(門番)
ポーラット侯爵閣下がお会いになるそうだ。
支度をして居城の門番の所に行ってくれ。
中に通してくれるだろう。」
エドワードさんが代表して
「(エドワード)
お取次ぎありがとうございました。
では
またお会いしましょう。
失礼します。」
町の中心部にある城に向かって歩き始めた
そこでエドワードさんに歩きながら聞いてみた
「(マティア)
エドワードさん。
あの門番どう思いました?」
「(エドワード)
はい。
最初はドキッとしました。
わざわざ料理人の手を
確認するなんて事
致しませんからね。
城壁の門番にしておくには
もったいないでしょう。」
「(マティア)やはりそうですか。」
「(エドワード)
今まで出会った
この町の門番の中では
間違いなく1番いい人材ですね。」
「(マティア)
引き抜きとか
考えたりしないのですか?」
「(エドワード)
穏便に済ませるなら
彼が自主的にここの職を辞して
我が領に来てもらい
直接採用するしかないでしょうね。」
「(マティア)
でしたら・・・
ここにそれを探らせるいい人材がいるので
2人に追加で仕事をさせましょう。」
後ろを歩いていたエリスが
「(エリス)
げっ
まじかよ。
は~。
本当に人使いが荒いなお前は。」
「(マティア)
結果を出せばいいんだよ
結果を。
お前たちが手際も良いと売りにできるだろ?」
「(エリス)
わかった。
合間をみて色々とやっておくよ。」
「(マティア)
エドワードさん。
エリスは顔が割れているので
この2人は先に艦隊に向かわせましょう。」
「(エドワード)
そうですね。
では提督宛ての書状は
彼らに持たせておきましょう。」
エリスに書状を持たせて
2人を先に停泊中の
艦隊へ向かわせた
ふと疑問に思った私はエドワードさんに聞いてみた
「エドワードさん
第2執事はいつもどのような仕事をしているんですか?」
「私は
マクナマラ家の使用人の中では
上から数えて2番目か3番目の立ち位置になります。
ハウススチュワードも兼任しているので
通常は
ハウススチュワードとして
屋敷の管理
男性使用人の雇用と解雇
執事として
主人と使用人の服の準備を主にしております。」
「ちなみに
第1執事はどうなんですか?」
「当家の場合
ランドスチュワードも兼任しています。
全使用人の長で
屋敷、土地、領地、金銭の管理を主にしております。」
「もう1人の2番目か3番目の人は?」
「もう1人は
ハウスキーパーという家政婦長です。
台所担当と
家財道具の管理と
女性使用人の雇用と解雇
当家への来賓でいらっしゃった
女性の身の回りのお世話を
担当しております。
その他にも
全使用人と
全兵士を管理する
従士長がおります。」
「食事とかの給仕はどうしているんですか?」
「当家では
執事と家政婦長の3人で
ローテーションしています。」
「なんか人手不足な気がするのは
私だけですか?」
「他にも使用人はいるのですが
年々領地が拡大している為
採用が追いついていないのが現状です。
お恥ずかしながら
マティア君の指摘は合っております。
できれば
私の権限を使って
あなたを今すぐにでも採用したいのが本音ですが
あなたが
使用人という立場に適していないのは
ワルター様もわかっているはずですから。
それにしても
サードシェフとは・・・
面白い役職を
自称しましたね。」
「それぐらいの
毒にも薬にもならないような
身分ぐらいがいいかと
咄嗟に判断してしまいました。」
執事のお仕事の話をしながら侯爵の居城を目指した




