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ep.2-75 子供にしては癖が少ない

それぞれの剣を

20回前後

素振りをしてもらった


「(マティア)

 2人ともそこまででいいよ。

 お疲れさん。

 じゃあ・・・

 まずウォーレンから

 ブロードソードに持ち替えて

 もう1度素振りをしてもらえる?」

「(ブライアン・ウォーレン)はい!」


振り下ろし

横薙ぎ

突き


彼のお父さんのおかげなのかな

ウォーレンの動きは

素人目線で見れば

基本に忠実で

それぞれ癖が無さそうに見える

ある体の部分に癖があった


私は曲刀のサーベルを手に取り

ウォーレンの前に立ち

切先をウォーレンに向け構えた


「(マティア)

 じゃあ・・・

 ウォーレン

 俺に攻撃を仕掛けてくれ。

 振り下ろしでも

 突きでも

 連続技でも

 何でも構わないから。」

「(ウォーレン)

 はい!

 でも・・・

 真剣なのに大丈夫ですか?」

「(マティア)

 実戦に勝るものはないよ。

 怪我をしても魔法が使えるから

 気にしないでいい。」

「(ウォーレン)分かりました!」


ウォーレンは

1度深呼吸をして集中して

剣道でいうところの

正眼に似た構えから

剣を振り上げた


だが

切先が頭上から動く瞬間には

私は既に

ウォーレンがどう足掻いても

届かない場所へと

バックステップで距離を取っていた


それに気付いたウォーレンは

大きく踏み込んで距離を詰めながら剣を

振り下ろすが

空振りした剣の切先が

甲板に触れたと同時に

ウォーレンの剣の刀身を踏み

サーベルを喉元に突き付けた


その一連の流れを見ていた

ブライアンと海兵たちから

拍手と感嘆の声が起こった


「(ウォーレン)

 マティアさん

 どうして

 あのタイミングで

 僕が剣を振ると分かったんですか?」

「(マティア)

 そうだな・・・

 答え合わせは

 ブライアンが終わってからにしよう。

 次はブライアン

 ウォーレンが持ってる

 ブロードソードを使って

 同じように

 君なりの攻撃をしてきてもらえる?」

「(ブライアン)はい!」


ブライアンの方が癖が目立ったから

動きを読みやすいかな


ウォーレンとの手合わせを見ていたブライアンは

振り下ろしではダメだろうと判断して

左脇から右へ横薙ぎで1撃目を入れてきた


だが

全身が動き始める前には

同じく

届かない場所へと

バックステップで距離を取った


ブライアンの

体の左側から振った剣の切先は

右後方まで流れた


今度は私がゼロ距離まで前進して

私の左手でブライアンの剣の持ち手を抑え

右手のサーベルを同じように首元に突きつけた


また同じように

ウォーレンと海浜達が

拍手をした


なんか恥ずかしいからやめてほしい


「(ブライアン)

 マティアさん

 凄いです!

 どうして

 僕たちの動き出しが

 分かったんですか?」

「(マティア)

 うーん・・・

 そうだねぇ・・・

 そこの海兵の方

 お願いがあるんですが

 いいですか?」

「(海兵②)

 何だい?」

「(マティア)

 椅子を1脚

 用意していただけますか?」

「(海兵②)

 構わないが

 何に使うんだい?」

「(マティア)

 ちょっとした

 人体の仕組みの説明です。」


海兵②のお兄さんが椅子を一脚

船室から持ってきてくれた


「(マティア)

 ありがとうございます。

 とりあえず・・・

 剣術そのものではなく

 人体の構造から教えるね。

 ブライアン

 椅子に

 なるべく深く座ってもらえるかな?」

「(ブライアン)はい!」

「(マティア)

 椅子から立ってくれるかな?」

「(ブライアン)はい!」


普通に立ち上がり


「(マティア)

 それを繰り返してくれる?」

「(ブライアン)はい!」

「(マティア)

 ウォーレンは

 ブライアンの動きを観察してね。」

「(ウォーレン)はい!」


何度か繰り返したのちに


「(マティア)

 いいよ。

 そのまま座っててね。」


椅子に座ったブライアンのおでこに

私は左手の人差し指を押し当てた


「(マティア)

 じゃあ・・・

 また立とうとしてもらえるかな?」

「(ブライアン)はい!」


ブライアンは立ち上がろうとしたが

体を僅かに前傾させるだけで

立ち上がることが出来なかった


それを周りで見ていた

ブライアンと海兵たちは

その光景に驚いた


「(海兵②)

 おいおい

 子供とはいえ

 たった指1本で

 動きを抑えちまってる。」

「(ウォーレン)

 すごい・・・

 指1本でこんなことができるなんて。」

「(マティア)

 ブライアン

 動けなかったでしょ?」

「(ブライアン)

 はい。

 魔法か何かなんですか?」

「(マティア)

 違うよ。

 本動作をするのに必要な

 予備動作を封じただけだよ。」

「(ブライアン)

 予備動作ですか?」

「(マティア)

 そう。

 ウォーレン

 さっきの

 立ったり座ったりしているときとの

 違いが分かる?」

「(ウォーレン)

 立とうとする前に

 上半身を前傾させていたんですけど

 指で押さえただけで

 上半身が動きませんでした。」

「(マティア)

 正解。

 今回の場合

 本動作は

 立ち上がることなんだけど

 人間という生き物に限らず

 ありとあらゆる生き物は

 実は非力で

 その非力を補うために

 予備動作が必要なんだ。

 その予備動作が?」

「(ブライアン)

 上半身を前傾させること?」

「(マティア)

 正解。

 さらに言うと

 その予備動作にも

 もう1段階

 予備動作があったりするよ。

 本動作と予備動作の関係は

 ほぼ全部の動きに関わっているから

 予備動作が分かっていれば?」

「(ブライアン)

 何をしようとしているか分かる?」

「(マティア)

 正解。

 良くできました。

 と言っても

 自分自身が

 それに合わせた動きが出来ないと

 意味が無いけどね。

 じゃあ・・・

 効果的な剣の振り方について教えるね。」


気付けば

周りにいる

見学の海兵の数が少しずつ

増えていった

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