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晴れた日の話し  作者: ゆかわ どり
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日本休暇二日目


 次の日、父の車に乗り込んで一緒に病院へ行った。


 病室に入る前、昨日の事は夢でありますように。と思いながら名札を見る。しかし、扉の横には自分の名前。憂鬱な気分で病室に入り込んだ。


 父は「今日はいい天気だよ」「明日は大雨と雷なんだって」と、返事もしない私に話しかけている。


 父には聞こえない返事をする私。


 面会時間終わり父は帰ったが、私は一人病院に残った。


 暗闇の中、生国の自分をじっと見つめる。


 今日、まじまじと顔を見たが、包帯やガーゼで良く見えないせいか、自分の顔とは違く見える。


 本当は私じゃないのかもと思ったが、親も、名前も私と同じ。この休みに生国に帰って来た事をとても後悔した。


 生きてを知らないままだったら良かった。


 ドラマや漫画では自分の体に重なると生き返ったり目が覚めたりしている。だけど、もしそれを試して生き返ってしまったら、もうスワン達に会えなくなる。


 でも、もし生きてるのを知ったまま死国に戻ったら、みんなはどう思うだろう。


 私は今、地獄の住人が死国へ来るのと同じ事をしているのかもしれない。そしたら私は地獄へ送られるかも。


 見学学習で見たあの地獄を思い出すと臭いまで思い出し、吐き気がしてきた。


 入院はお金もかかるし、疲れきっている両親の姿を見ると生き返るのが一番だという事は十分に分かっている。しかし、生き返っても、きっとこんな体じゃリハビリが辛いだろうし、また就職の為の面接の日々が待っている。そんな日を過ごすなんて嫌だ。


 目の前にいる私が死んでしまえばいいのに。今なら痛みも苦しみも感じなさそう。それに、私が死ねば母達もきっと楽になるし。

 

 私は生国の自分の首を見て立ち上がった。自分の両手を生国の自分の首に伸ばす。


 一瞬、地獄の住人に首ろ絞められた事を思い出した。私は口からゆっくりと息を吐き、思いっきり息を吸い込んでから自分の首を絞めた。


 しかし、やはり自分の体に触れる事が出来ず、ただ自分の手を握り締めるだけだった。


 自分で自分を殺そうとするなんて。


 「自殺は殺人と同じ」


 チヒョンの言葉を思い出した。私、何をしているんだろう。力なく、椅子にどすんと座った。


「ねぇ」


「!」


 突然、後ろにある窓の方から声がした。ビクッとしたが生国人には死国人の姿は見えないはず。きっと私に声をかけたんじゃない。私はその声を無視した。


「どうして返事をしてくれないの?」


 この部屋に自分以外は誰もい。ということは自分に話しかけていると言う事。このパターン何回目だろう。


 声のする方へゆっくりと顔を向けた。


「やっとこっちを見てくれたね。こんばんは」


 後ろにいたのはスーツを着て、ボーラーハットを頭に乗せている若い男の人だった。


 窓枠に寄りかかり、腕を組んでこちらを見ている。




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