リアさんから、お礼にと魔道具をもらいました。
エルドの森を出て、ギルドに戻るとリアさんを見つけた。
リアさんも私に気づいてパッと顔を輝かせる。
「まなさん。」
嬉しそうに掛けてくるリアさんを見て、もしやと思ったらやっぱり。
仲間の二人が回復したようだ。
闇魔法だけで回復したのかどうかは分からないけど、よかった。
ギルド内のちょっと腰掛けて休めるスペースに移動して、近状を話してくれた。
「ジョージアもナルギアも、記憶が曖昧なの。でもお互いを怪我させたことはうっすら覚えているみたい。」
「それは……。」
辛いだろうな。
「闇魔法がかけられていたみたい。でもどうして私は大丈夫だったのか……ずっと一緒だったのに。」
「心当たりは全然ないの?」
リアさんが大きく肯く。
「ええ。そりゃ、ずっと一緒と言っても付きっきりで一緒にいたわけじゃないから、分からないけど、毎日ギルドで一緒だったのよ。本人達も覚えていないし。」
「そうなんだ。」
「それでね、闇使いのクリシスさんが来てくださったの!」
リアさんが目をキラキラさせる。
「クリシスさん?」
「そう。エルドラドには二人しか闇使いがいないの。そのうちの一人よ。もう一人女の人がいるみたいなんだけどよく知らなくて。でもね。」
リアさんは興奮しているのか、ぐいぐいと顔を寄せて話す。
「滅多にお目にかかれないのよ。長い黒髪に切れ長の綺麗な目。視線が合ったらゾクゾクしちゃう。」
「リアさん……。」
「仲間がこんな状態だったのに不謹慎だけど。」
「お仲間さんが元気になったから、リアさんも調子を取り戻せたんですね。」
「……そうね。うん、その通りだわ。感謝しかないわ。あとは治癒費を返していかなくちゃ。」
ん?治癒費?
「えっ?お金が要るんですか?」
「そりゃそうよ。やだ、まなさん大丈夫?」
知らなかった。
今まで治癒のお世話になったことなかったから……気づかなかったのかな。
「ええ……ちょっと驚いて。タダで治しているのかと思っていました。」
「ギルドに登録されている人の治癒は優先してやってくれるのよ。
あとは時間をかけてもきちんと返すの。
利息はないし催促もないけど、信用を無くすと冒険者として動けなくなるからね。」
エルドラドの住人は税金を納めているから、国から保証が出るらしいけど、そうじゃない人にもそれに合った助けがあるみたいね。
「もし返しきれずに死んだりとかしたら、それはもう返さなくていいんだけど死にたくないしね。
でもね、ギルド以外の人が自主的に助けるのは無料なの。その人がヒーラーを使えたりしてね。でも強制はだめなの。それでも助けられた人は、ちゃんとお礼をどこかで返すものよ。余程の常識知らずでない限りは。」
「そうだったんですね。」
「そうなの。だから、はい。」
「え?」
「まなさん達にも助けてもらいましたから、私の作った水魔法の魔道具よ。指にはめて魔力を込めると水球が出るから、放出して攻撃にも使えるわ。魔力の持ち主次第で水球の大きさも調整可能の自信作よ。」
「!……こんな高価なもの、もらえないわ。」
「こっちは仲間の命を繋ぎ止めてもらったのよ。あの時まなさん達が通りかかっていなかったら……。」
ギュッと魔道具の指輪を握りしめる。
「これでは足りないくらい。でも私に出来ることと言ったらこれだから。本当にありがとう。」
リアさんが真剣な表情でお礼を言うので、ありがたく受け取ることにした。
「ありがとう。これ……デスに使ってもらってもいい?私は土魔法があるから。」
「もちろんよ。デスさんにもお礼を言いたいわ。」
嬉しそうに笑うリアさんに、私は黙って頷いて返す。
死んでいたかもしれないという言葉は使わなかったリアさん。
生と死は本当に紙一重なんだ……。
生きてて良かった。
「まな。」
「あ。」
振り返ると予想通りデスが背後に立っていた。
「おかえり、デス。」
「うむ。」
ニッと笑うデスを見てアレっと思った。
んー?
なんかツヤツヤというか、朝より元気そうね。
「デスさん。」
リアさんがデスの前に立ち、頭を下げた。
「あなたがあの時、二人を止めてくれたから、今何とか回復もできて復帰出来ます。」
デスの顔をじっと見て、にっこり笑った。
「本当にありがとう。」
「ああ、あの時の。」
デスが目礼で返す。
私はリアさんにもらった魔道具の指輪をデスに渡して装備してもらった。
子供の手でも、中指にぴったり指輪がはまってよかったわ。
明日一緒に外へ、依頼受注がてら試し撃ちをしてみることに。
その時にデスが、水球の大きさを変えられるのなら形も変えられるだろうと魔力を変化させる。
三日月の様な形に変化したそれを打ち出すと、木の枝をスパッと切ってしまい、デスの新しい技『ウォーターカッター』が誕生したのであった。
そして、デスの水球は普通の水魔法より深い青。
闇の魔力の影響で威力も水魔法の水球より強くなっていることに気づくのはまだ先の話。
私たちはリアさんと別れて、ギルドの受付に依頼達成の報告に向かった。
読んでくださってありがとうございました。




