崩壊した第四世界
扉の向こうに待っていたのは。
新しい世界ではなかった。
希望の未来でもなかった。
そこは。
すでに敗北した世界。
そして。
カイトたちは、世界の真実へ一歩近づくことになる。
紫色の光が視界を埋め尽くす。
身体が浮くような感覚。
耳鳴り。
そして。
次の瞬間。
カイトは地面へ膝をついた。
「うっ……」
ゆっくりと顔を上げる。
目の前に広がっていたのは。
見覚えのある街だった。
しかし。
何かがおかしい。
ビルは崩れ。
道路はひび割れ。
信号機は倒れている。
空。
そこには巨大な紫色の裂け目が浮かんでいた。
まるで空そのものが壊れているようだった。
ジンが呆然と立ち尽くす。
「な、なんだよこれ……」
イロンは周囲を見回す。
「人の気配がほとんどない」
ミラも表情を曇らせる。
「ここが……第四世界」
冷たい風が吹く。
瓦礫が転がる音だけが聞こえる。
カイトは目の前の景色を見ていた。
どこか見覚えがある。
学校。
遠くに見える校舎。
自分たちの学校に似ていた。
しかし。
半分以上が崩れていた。
その瞬間。
遠くから爆発音が響く。
ドォォォン!!
全員が振り向く。
紫色の煙。
崩れる建物。
ジン。
「敵か!?」
ミラ。
「隠れて!」
全員が瓦礫の陰へ飛び込む。
しばらくして。
足音。
コツ。
コツ。
コツ。
誰かが近づいてくる。
カイトは息を止める。
そして。
瓦礫の向こうから現れた人物を見て固まった。
「え……」
そこにいたのは。
自分だった。
ただし。
今の自分ではない。
制服はボロボロ。
腕には傷。
顔にも疲労が見える。
それでも。
間違いなくカイトだった。
第四世界のカイト。
彼は周囲を警戒しながら歩いていた。
そして。
こちらへ視線を向ける。
「出てこい」
一瞬で見つかった。
ジン。
「バレてる!」
第四世界のカイトはため息をつく。
「その反応……やっぱり第三世界か」
現在のカイトが前へ出る。
「お前、本当に俺なのか?」
第四世界のカイト。
「そうだ」
「お前の未来だった存在だ」
沈黙。
理解が追いつかない。
ミラが口を開く。
「どうしてこんな世界になったの?」
第四世界のカイトの顔が曇る。
「負けたからだ」
「ナイトアサシンに」
全員の空気が凍る。
カイト。
「あいつに……?」
第四世界のカイトは崩れた街を見渡した。
「最初は小さな異変だった」
「誰も信じなかった」
「観測者だけが気づいていた」
ミラの表情が変わる。
「……」
「でも遅かった」
第四世界のカイトは拳を握る。
「世界は壊れた」
空を指さす。
巨大な裂け目。
「あれがGLITCHの中心だ」
カイトは空を見る。
巨大だった。
まるで空を食べている。
第四世界のカイト。
「放っておけば全て飲み込まれる」
ジン。
「そんなの倒せるのかよ」
「無理だ」
即答だった。
ジン。
「え?」
「俺たちは負けた」
「だからお前たちを呼んだ」
カイト。
「俺たちを?」
第四世界のカイト。
「まだ終わってない世界だからだ」
風が吹く。
その時だった。
ピーーーッ!!
突然。
警報音。
第四世界のカイトの端末が赤く光る。
「まずい」
「移動するぞ」
ミラ。
「何が起きたの?」
第四世界のカイト。
「GLITCH反応急上昇」
彼の顔が険しくなる。
「奴らが来る」
次の瞬間。
空の裂け目から。
無数の黒い影が現れた。
カイトは息を呑む。
一体ではない。
十体でもない。
数百。
いや。
数千。
黒い影が空を覆っていた。
ジン。
「冗談だろ……」
第四世界のカイトは剣を握る。
「迎撃準備だ」
「第四世界の戦場へようこそ」
空が紫色に染まる。
戦いが始まろうとしていた。
第11話 END
第11話を読んでいただきありがとうございます。
第二部「第四世界編」が本格的にスタートしました。
崩壊した世界。
もう一人のカイト。
そしてナイトアサシンに敗北した未来。
第三世界とは何が違ったのか。
第四世界では何が起きたのか。
物語はさらに大きく動き始めます。
次回、第12話。
「観測者の街」
生き残った観測者たちとの出会いが待っています。




