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青い魔女の通過儀礼  作者: 籠り虚院蝉
Ⅲ 百年の孤独と人間の玉響
64/77

幕間h

 どこまでもツイてる奴。


 宿場町の小さな商店。店主に《《断り》》を入れてから片隅のテーブルに居座ってドルゴルーキーを注いだグラス片手に新聞を読んでいたら、三面の片隅に目を引く見出しがあった。


『アンルーヴ町民大会幕引き』


 酷く聞き覚えのある名前だった。ブリュヤード地方の深い谷に囲まれた断崖の町。隔週新聞にも深い霧と雪のせいで足を踏み外して死ぬ馬鹿な貿易商がいるから、あそこに行くなら十分気を付けろという記事が載っていた事がある。


 イェクが殺された場所。青い魔女を(おお)(くく)む町。俺たちの因縁の地。


 だが、それよりも。


「レティシア、お前……こんな所にいたのか」


 なんて運命的な導きだろう。


 青い魔女までもが共にいる。


 口角が自然とつり上がり、景気付けと狙いを定め手の内で弄んでいたダーツの矢を一発放った。額に矢を受けた店主はその弱い衝撃でバランスを崩し、カウンターからごろごろ間抜けな音を立てて転げ落ちた。


 新聞をコートの懐に収め、おれは立ち上がった。

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