第四十八話
山口はプロになりこの言葉で流行語になるとは、そのとき思ってはいなかった。
流行語とは、イントネーションもその年の価値観による・・。
気持ちも心も成長するには若い時が一番だ。
山口は晴れやかな気持ちでそう胸に呟いた。
「コーヒー、開幕式に準備オーケーです。」
「マスター、また店まかしてきちゃったんですか?」
「大丈夫だ、うちにはデジタルハイビジョンがある・・。」
・・答えになってない・・。
「さっ開会式だ。やっぱりいいなー。大会のテーマソングは・・。」
マスターは言う
。
それを伝統として受け継ぐ。
山口も、茜も以前の監督の言葉を思い出していた。
もちろん、この大会だって立派な教育なんだ。
「いやー、高校野球に観に行くなんて何十年振りかな・・。」マスターも機嫌よく話す。そう言えば親父の姿がまだない。確か、親父も野球をやっていたんだっけ。
「続いて、西東京代表、坂下高等学校。」
アルプスから拍手が沸く。
セミの鳴き声も聴こえてくるだろう。
人間は、それをどう捉えるのか・・、物事と理解の差、要は伝えように伝わってくる。
茜はなぜか、実家を思い出していた・・。
もちろん、今年からマスターの店も関わっているが・・。
それも、このアルプスが、声援が、自分達を夏にしてくれる・・。
本当に、珍しく、貴重で、新しい学生の野球の姿・・。
なんで、高校野球のこと調べてなかったのかな・・
茜はそう思った・・。




