10話 第二回脱出作戦始動
「グレック、君に決めた!!」
「わふぅ?」
いかんいかん声に出してしまった。脱出はグレック商会の馬車に潜り込んで行うとしよう。
また前回みたいに、食料、水と倉庫からエリクサーを拝借してきた。
父、母よ、すまぬ。
おれの辞書に反省なんてものはない。
前回すごく叱られたが、まあ子供のやることとして許してくれ。
実際、前回の失敗でおれに対する監視が若干厳しくなっている。
つまり、今回失敗してしまうと次回はもっと難易度が上がる可能性があるのだ。
まだお目付け役が決まっていない今がチャンス。
絶対に失敗できない。
◇
グレックが屋敷に来る日当日
とりあえずグレックが屋敷に来たようだ。
「ルル、頼む」
「ワン!」
(認識共有)
おれは、ルルとの認識共有を行う。ルルは精霊のため、霊体として他の精霊や契約者にしか、見えないようにすることができ、さらに契約者と視覚や聴覚を共有することができる。
つまり、こと諜報活動においては、精霊契約者がいない限りは無敵といっても過言ではない。
そのため、王宮や上位貴族の屋敷にはお抱えの精霊使いがいるのが普通らしい
グレックが屋敷の中に入ってきた。
父との商談が始まるようだ。
さて、グレックの場所は、、、
(ルル、グレックの馬車のほうに移動してくれ)
(わふ!)
馬車には御者が一人いるだけで見張りはいない。
ついでに使用人の動線も確認済みだ。
バレないように馬車のもとへ行き。
おれはグレックたちの荷物に紛れる。
荷物に侵入してほどなくすると商談を終えて帰ってきたようだ。
「領主様との話は終わった。例の場所へ頼む」
「へい!」
どうやら移動するようだ。
◇
「着きました」
なんか変な場所に来たっぽいな。
おそらくまだ街は出ていないので、人通りが少ない裏道だろう
「例の商品はどうだ」
「へい、しっかり用意できそうです。上玉が手に入りましたので、」
「ほう?それは楽しみだな」
いかにもな怪しい会話が始まった。
しかしおれには関係ない。このまま隠れて街から脱出出来れば良いのだ。
グレックたちが街である程度用事を済ませると、とうとう別の街に向かうべく
街から出るようだ。
最後の難関、門番を乗り越えれば、このまま街を抜けられる。
「グレックさんか、また、商売はうまくいったのか?」
「えぇ、まあほどほどに儲かりましたよ。」
「景気がよさそうでうらやましいね~ 荷物はチェックしたから行っていいよ」
門番ザルか、商人なんてこんなものなのか。そんなに身構えなくでもよかったかもな。
馬車は街の外の街道を進む。
(よし、うまくいった。)
あとはこの馬車が向かう隣町まで潜むことができれば作戦成功だ。
おれの新しい生活が始まる。
・・・3,4時間ほど過ぎた頃だろうか?
馬車が止まった。休憩の時間か。
それにしては不穏な会話が聞こえる。
「おい、例のブツを受け取りに来た。馬車に乗せろ」
「へい、、、 おい!奴らをここに連れてこい!」
(ルル、認識共有)
おれは、ルルに外の様子を探らせる。
そこには、鎖で手足をつながれた少年少女がいた。
少年少女たちはボロボロで、やせ細っており、あまり穏やかな様子ではなさそうだ。
もしかしなくても人身売買?
この国では人身売買は禁止されているはず
これは、、、あれ?犯罪組織?乗る馬車を間違えたか?




