第八話:たーくんと書店に行こう!前編
◇たーくんのお部屋で二人でお勉強◇
こちらお姉ちゃん。今日は土曜日。今は朝。
たーくんといっしょにお勉強中。
机に向かって、なんと分数の計算をしています。
(いや頭良すぎません?)
たーくんが「学校のお勉強簡単すぎるから、色々教えてー」と、可愛くも生意気なことを言うので、分数で懲らしめたところ……。
「割り算の時はひっくり返すー!」
(覚えが早い……!)
やっぱり執筆活動のお陰でしょうかね?
たーくんは『小説のために勉強するんだ!』と、高いモチベーションを維持して、知識を吸収しています。
その結果、国語だけじゃなくて、算数にもいい影響があるらしく、クラスどころか、学年で一番成績が良いんですって。
(これたーくんモテちゃうだろうなー……)
幼稚園生の時からちょくちょく、バレンタインデーにチョコを貰ってたりはしてたんですよ。こやつ。
そんで今は、頭も良くて、可愛くて、サッカーも出来ちゃう。
将来が楽しみだねー。
「おねーちゃん、これ終わったら今日はどうするの?」
「うー……。考えてなかった。イチャイチャする?」
「……イチャイチャもしたいけど、他のこともしたい……」
まあイチャイチャで一日を潰すのもたーくんにとって毒かもね。
私は無限イチャイチャできますけどね!
可能なら死が目前に迫るまでイチャイチャしときたいくらいです。
「じゃあ何したい? 何でもいいよー。お姉ちゃんは」
「うーん……」
と、目をキラッキラさせて悩んでいます。
さすが子供。なんやかんや遊ぶことが一番の楽しみらしい。
「んー……。思いついた!」
「……なーに? 教えてー」
「書店に行きたい!」
……書店かぁ……。
……あそこ結構危険なんだよなぁ……。
◇◇◇
「……うーん……。書店かぁ……」
「えー?! 駄目?!」
いや駄目じゃないけど……。
(あそこ結構精通ポイント多くないですか?)
なんならこの世に存在する全てのお店の中で、トップクラスに精通ポイントが多いと思うんですよ。
なぜなら最近やけにエッチな表紙の漫画や本が後を絶たないからです。
グラビアの写真集に、ラノベの表紙、漫画の表紙なんてたまにとんでもないものもありますもん。
毒ってゆーか地雷ですよ。ほぼ地雷原です。
……
え?
なんですか?
お姉ちゃんのほうが地雷だって?
お姉ちゃんのスキンシップのほうがたーくんにとって毒そのものですって?
そんな声が聞こえます。
イヤイヤ(苦笑)……。
正気ですか?
良いですか?
耳をかっぽじってよく聞いてくださいね?
栄養と毒は表裏一体。栄養だって、取りすぎれば毒
になります。
ビタミンAは足りてないと夜盲症になりますが、取りすぎると頭痛と目眩を引起します。
要は取りすぎが良くないってだけです。
バランスを考えて、成分を摂取すればいいだけの話。
それを考慮した上で、栄養素の中にも毎日摂取しないといけない物があります。
例えば、亜鉛等のミネラル。ビタミンD等のビタミン類。糖質タンパク質脂質。
あともう一種ありますよね……。
……え? わかりませんか?
正解は……。
——お姉ちゃん……。——
お姉ちゃん成分の事です。
ビタミンDは1日に4000IU摂取しないといけません。これは真夏日であれば、1時間の日照時間で済みます。
しかし、これが真冬になると話は別。
丸一日、日光を浴びても足りません。
……つまり……?
たーくんは……、一日中お姉ちゃんを摂取する必要があるということです。(今ド春ですけど。)
……良いですか?
何故あなた達が不幸なのか……?
わかりますか?
それは、お姉ちゃんがいないからです。
ビタミンDは幸せホルモンを作ります……。
お姉ちゃんも同様、幸せホルモンが作れます。
つまり、世の不幸な人間に足りてないもの……。
——それはお姉ちゃんです……。——
「たーくん?」
「なぁーに?」
「ぎゅ~ってして良い?」
「……うん」
はい! むぎゅ~!
たーくんにお姉ちゃん成分を注入ー!
「たーくんは今、幸せ?」
「……うん」
たーくんの顔がお姉ちゃんのコックピットに沈み込みます。
これで証明されました。たーくんはおねーちゃん成分のお陰で幸せってことですね。
……それに……。
姉弟だからいいもーん♫
ギュッしても♫
多少おっぱい当てても♫
書店は危ないから駄目!
「おねーちゃん……?」
「……なーに?」
「……これで誤魔化そうとしてない……?」
はい。してます。
男なんてパイパイ当てればなんとかなりそうだって勝手に思ってました。
しかしたーくんに下心はない。
それじゃあ通じるわけがありませんね。
「ねー行こうよーおねえちゃーん……」
たーくんが私のコックピットの中で暴れています……。
いやー。
たーくんは、今や現役なろう作家。
ブクマ1とは言え、ちゃんと刺さる人には刺さる作品を書けているってことが判明しています。
そんなたーくんだから、絶対にラノベコーナーに行きたいはずなんです。
(しかしラノベコーナーが一番の魔境である……)
いやぁ……。
あそこ、容赦なくないですか?
容赦なくエロくないですか?
あれ、絶対に純真な子供をターゲットにした初見殺しの罠だと思うんですよ。
だって、大人気な『本好き』とか『転生したらメタルスライムでした』等の、子どもが大好きなラノベっていう棚に、割とドスケベな表紙の作品が混じってたりしてますよ?
それに『本好きの成り上がり』とか『転生したらメタルスライムでした』って実は児童書としても出版されてるんですよ?
知ってましたか?
つまり子供向けとして、これらの超有名作品は進出しているんですよ?
多分大抵の人は知らないはずです。
だって私みたいに、弟狂いで、ここまで市場分析している人はそんなにいないでしょうし。
な・ら・ば!
本場と言うか、ちゃんと大人向けに作られたガチのラノベってやつを、たーくんは知りたいはずです。
それに、がちラノベのほうが装丁はカッコいいって、子供達は思いそうだし。
「ねー行こう!」
「……どうしてもいかなきゃ駄目かな?」
「……行ってくれないと嫌いになるかも……」
「……嫌いにならないでよー」
「じゃあ行こう! 行こう!」
……コレは行くしかなさそうだ……!
「……分かった……。行く」
「わーい!」
しかし、今回ばかりは完全たーくんの掌の上でコロコロっていうかコリコリされた感じですね。
だって、たーくん。めっちゃしたり顔だもん。




