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  作者: アボガドゼリー
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人類皆敵

 朝目が覚めるのが当たり前なのであれあば、この苦しみを感じる僕の人生は当たり前の範疇に入るのだろうか。フィクション作品の中にこんな例えがある。「人類、皆敵である。」これは、大概人類とは別の種族として人類側に敵として現れるキャラクターの思想であるが。僕にとっては自分ごとだ。

 家の外には敵がいる。間違いではないが、大概の人には普段意識する必要のない程度である。大股で忙しなく自分の周囲を通り過ぎる人、大股で座る人、ふとしたタイミングで目が合う人。これらは、大抵自分には関係のない人が起こす何でもない動作仕草である。しかし、僕にとっては自分の平穏を見出す大いなる敵である。

 今の僕の年齢を考えると、客観的には社会不適合者と言い表すのが正しくそれに対して反論する気は一切ない。過去に何らかの出来事によって急にこうなった訳ではない。日々の小さな積み重ねが、僕の思想を浸食し、犯し、破壊していったと今は思う。

 「気にしすぎ」これは僕が一番嫌いな言葉だ。今まで、この言葉を投げかけてきた人物はこれまで誰かに    「気にさせる」人生を送ってきたのだとつくづく思う。それは偏見であり、僕の忌まわしいバイアスである。しかし、世間はこのような人材ほど社会に適応し生涯を不自由なく過ごすと思うと今この時間は本当に惨めでどうしようもないくだらない時間の思えてならない。本当に惨めだ。

 

 話は変わるが、以前病院に行った。地元では大きめの労災病院だ、僕は皮膚の病気の検査のために内科を受診していた。血液検査を2週間前に済ませ結果を聞いて終わるだけの何でもない時間。お医者様から結果を聞いて診察室から出ると60過ぎに見える人がいきなり難癖をつけてきた。診察時間が長いだの色々言っていたようだが僕はパニックでよく覚えていない。仕舞いには胸ぐらを掴み頭突きまでされる始末、その時の僕は客観的に見てもパニック状態にあり放心していたように受け取れるだろう。その後何事もなく帰宅したのだが、僕はその後数日塞ぎ込んでしまった。

 これらの内容は重要ではない。問題なのはこれが何ヶ月もの間僕の思考を蝕み続けていることだ。些細ではない出来事は当時頻繁に起こっていたのだが、これはとびきり大きな出来事であった。このことが今でもふとした時にフラッシュバックする。反芻される。嫌な出来事は1回しか起こらないが、頭の中では99回の再生がされる。その度に当時の負の感情が記憶の中から引き摺り出される。これを読んでいる人にも身に覚えがあるのではないだろうか、会社で上司にいびられる、学校で小馬鹿にされ続ける。恋人に浮気されるなど。代表的なことを書いたが、それぞれ違うものがあるだろう。この苦しみ辛さを知っている人はこの次も読んでほしい。


 普通の人は、嫌な思い出が減価償却される。以前相談した知人に聞いたのだが嫌な出来事・思い出は思い出すたびに少しずつ慣れていくものらしい。僕は驚愕した。しかもこれが普通らしい。「ならば頭の中で反芻されるこの映像はいったい何なんだ、全く慣れたりしないぞ。」そこで出てくるのだ「気にしすぎ」だと。

 僕は人間という生き物がどのように生き延びてきたのか理解できた気がした。忘れることができるから世の人間は日々を謳歌しているのだと。忘れることによって人間は苦痛を和らげ幸福な出来事に目を覆いながら苦痛から目を背けているのだと。

 ならば忘れられない人間はどのように生きているのか、簡単だ。死ぬのだ。極端すぎた、恐らくは死に近しい生活を送っているのではないか。たとえば僕のように。朝目が覚めると同時に今日起こるであろう不幸な出来事で顔を洗い、今直面している問題を食べ、周囲の人間と自分を比べながら日中を過ごす。といっても今の僕は仕事をクビになったのでこれといってやることはないのだが。話を戻そう。忘れられない人間は、何らかの精神疾患にかかるのがオチだろう。実際僕がそうだからだ。しかし、そんな中でも世間では仮面を被り普通の人と遜色ない生活をしている人も大勢いるむしろそっちの方が多いのではないか、僕は彼らを心の中で勇者と呼んでいる。そうのような人たちは僕と違い忍耐力があり、誠実で、真面目な人物が多い印象を受ける、そんな人たちがいずれ幸福になる世の中になってほしいと切に願う。


 

 

 


 

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