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パスファインダー  作者: イガゴヨウ
第四章
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第一話

「システィール・パスファインダー……。

いいですね。決して、あなたの黒い使い魔に気づかれてはなりません。

もしも途中で気づかれることがあれば、あなたたちはもちろん、多くの者が戻って来られなくなるでしょう」


「私は、いつまでこれを秘めればいいのでしょうか」


「自然と時は、その使い魔から啓示されます」


「彼が……啓示を……?

それは……とても、おかしな言いよう。まさか、彼に何か災いが降りかかるということではありませんか」


「災いは、彼だけに降りかかるものではありません。

これから多くの者に災いは降りかかります。それは、誰にも避けることはできません」


「私は彼を一度失いかけました。

あの時、私は誓ったのです。二度と、このような思いはしないと。二度とこのようなことは起こさないと。

もし私の使い魔たちが危険に晒されるというのなら、この話を受けることはできません」


「もう始まっているのです。これは誰にも止めることはできません。私たちにできることは、備えることだけなのです」


「ならば、なおさら受けることはできません」


「決断を下すのは、あなたではありません。

あなたの使い魔たちなのです」


「そんなことはありません」


「システィール・パスファインダー……」


「たとえ、あの子たちが了承したとしても……

私は、決してそれを受け入れません」


「それでも、道は変わりません。

もう、道を変えることはできないのです」


「……私は、どんな手を使ってでも、その道だけは進みません」





うるさいなあ。


ああ、もっと眠っていたいのに。


なにを騒いでるんだ。


……誰だ。


うるさいのは。


この声――。


あ、わかった。


これ、システルだ。


そうか。


きっと、また寝坊して学校に遅れそうになっているんだな。


まあ、いつものことか。


しょうがないなあ。


目を開けようと思ったけど、やっぱ、やめた。


まだ眠い。


僕はもう少し寝ることにするよ。


今日はシステルとニケだけで学校へ行ってくれ。僕は学校を休む。


たまにはそんな日があってもいいでしょ。


使い魔にだって休養は必要だ。


もう一度深い眠りへと意識を沈めよう、と。


わずかに開きかけた目をぎゅっと閉じ、システルの声を、どこか遠くへ追いやった。


視界は真っ暗だ。


目を閉じているんだから、そんなの当たり前か。


……第84層世界も、きっとこんな感じなんだろうな。


永遠の闇の世界。


そういえば、図書室で読んだ歴史書にも、あの世界にある門から現れた魔物たちが、人の世界を滅ぼしたと書かれてあった。


でも、調べても、その歴史書を最初に書いた人物はわからない。残っているのは、ずっと後の時代に誰かが書き写した写本ばかり。


魔物が現れた世界は「人は全滅した」と記されていた。なのに、誰がその出来事を書き残したんだろう。


読んでいて不思議だったけど、たぶん「全滅」というのは少し大げさだったんじゃないのか。


ほんのわずかでも生き延びた人がいて、その人たちが後世へと伝えた。


そんなとこだろう。


第84層世界へ行ったら、もっと古い資料が残っていないか探してみよう。


……ん?


第84層世界?


そういえば学校……。


今日って、学校へ行く日だったっけ。


いや。


今日、何か特別な予定があった気がする。


……あ。


思い出した。


校長先生に頼まれた任務だ。


大災害が起きていて、僕たちも救援へ向かうことになっていたんだ。


一気に眠気が吹き飛んだ。


急速に意識がはっきりしていく。


体中に血が巡り、心臓が強く脈打つ。


そして僕は勢いよく目を開いた。


……暗い。


何も見えない。


猫の目を凝らしても、かろうじて微かな色の違いがわかる程度。


「……寒っ」


突然、寒さに全身の毛が逆立つ。


思わず頭を持ち上げ、辺りを見回す。


けれど、やはり何も見えない。


その時になって、ようやく気づいた。


僕が寝ている場所が何かおかしい。


ベッドじゃない。


絨毯でもない。


木の床でもない。


背中に伝わる感触は、凍りつくほど冷たく、硬かった。


これは……石?


僕は平らな石の上で眠っていたのか。


ゆっくりと体を起こし、前足を伸ばして座る。


冷え切った石の感触がお尻から伝わってきた。


少しだけ視線が高くなる。


もう一度、首を巡らせて周囲を見渡した。


やはり、何も見えない。


ここは――。


いったい、どこなんだ。

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