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七十五回目
「なぁ、ホワイトデーのお返し何がいい?」
「あら、何もいらないわよ」
「そんなこと言うなよ。ほら、何か欲しいものないのか?」
「特にないわね。それにあなたにあげた物は失敗作。私はもらえないわ」
「いやいや、それでも何かプレゼントしたいんだよ」
「そうね、どうしてもというのであれば……」
「よし、わかった! なんだ、なんでも言ってくれ」
「これ、今度買おうと思っていた物」
「……液晶タブレット? つか、五万もするのか?」
「そう、欲しいけどなかなかね」
「っしゃあ! 待ってろ! 今買ってくる!」
「無理よ。あなたにそんなお金はないわ」
「金か……。金ならある! 貯金を崩せば、買える!」
「冗談よ、冗談。何本気にしてるの」
「冗談なのか?」
「そんな高いものもらえないわよ。そうね、だったら何か失敗作でもちょうだい。それでいいわ」
「ふふふ……。だったら最高の失敗作があるぜ!」
「なによ」
「この俺だ!」





