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18話 面接

 十日谷さんから連絡があり、今日は訓練担当の講師と面接するために大阪の方まで足を運んだ。


 大阪に来るのは子供の頃以来。

 奈良から思ったより近かったけど、人の数は段違い。

 その分魂から生まれる穢れ、朧を纏っている人が大勢いた。


「場所はここで合ってるよな?」


 スマホに表示されたマップの画像と、目の前にある門を何度も見比べる。


 うん同じだな。

 表札にも高重たかしげって書いてるし、間違いなさそうだ。


 見た目は家というより道場っぽい。

 古い一階建ての家だけど壁とか門もあってかなり立派だ。

 壁の上から木とかも見えるし、中の方も相当に凄そう。


 新人の俺でもかなりもらってるし、講師ってやっぱり儲かるんだろうな。


 にしても規則で決まってる訓練のはなずなのに、なんで面接が必要なんだろ。

 まあ講師側にも選ぶ権利があるらしいから、最終的な見極めのためにっていうことなのかもしれないけど、嫌だなぁ。


 服は普段仕事で着てる服で構わないって言われたから、深読みせずにパーカーで来たけど、本当によかったのかなこれで。


 やっぱりスーツで来るべきだったかな。


「おはようございます。鳥村さんですか?」

「あっはい。そうです」


 びっくりした。


 気づいたら目の前にいたんだけどこの人。

 いやそんなことより何だこの心臓の鼓動は。


 気を落ち着かせるため、胸に手を当てて何度か深呼吸する。

 だがまた彼女の顔を見た途端、心臓が跳ねて目が合わせられなくなる。


(もしかして俺この子に一目ぼれしたとか……?)


 いやいやこれから面接だっていうのに、何考えてんだ俺は。


 まあ確かに背も高くてスタイルもよくて、何より胸が大きい。

 俺のストライクゾーンど真ん中なのは事実だけど……。


 初対面の人をいきなり好きになるなんてあるのか?

 でも前にもこういう感覚あった気がする。

 いつだっけ。


「申し遅れました。わたくしは高重たかしげ 千紘ちひろと申します。本日はわざわざこちらの方まで、ご足労いただきありがとうございます」

「あ、いえいえいえ。だ、大丈夫です。大阪なんて電車ですぐですから。近所みたいなもんですよ。はははっ」


 あれ、どうして俺こんなに動揺してんだ?


 ま、まあとにかく高重ってことはこの子が講師なんだなきっと。

 でも何か写真の人はもっと真面目な感じだった気がするけど……。


 まあいいか。


 髪も長くて黒だし、イニシャルも一致してる。

 十日谷さんの師匠にしてはよっと若すぎる気がするけど、多分この子で間違いないはずだ。


 着物姿ってことは、良いところのお嬢様だったりするのかな。

 普通の人が普段着で着物を選ぶなんてことまずありえないし。

 だとしたら俺には手が届かない別世界の住民か。


 でもちょっと期待はしてしまう自分がいるのが悲しくなる。


「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。それでは面接場所にご案内しますね。どうぞ中にお入りください」

「はい!」


 よし、気合入れて頑張るぞ!

 まだ鼓動が落ち着かない胸に手を当てながら門をくぐる。


 中の様子はザ日本庭園といった感じで、池があって岩や木が沢山あった。

 初めて見る光景だ。

 

 どういう意図でこんな感じの庭にしているかわからないけど、とりあえずめちゃくちゃ金が掛かってそうな事だけはわかる。


「こちらです。それは祖母を呼んでまいりますので、少々お待ちください」

「わかりました!」


 祖母?

 あーはいはい。二人で面接するってわけね。


 座布団が二枚あるけど枚数足りないし、そもそも多分戻ってくるまで座らない方がいいやつだよな?


 緊張して落ち着かないので、部屋の中を適当に見回す。


 この素材の味を活かした感じの木のテーブルとか、あの鹿が描かれた掛け軸とか花が生けられた壺とかも全部高そう。


 一体合計いくらするんだろ。

 やっぱマジで別世界って感じだなぁ。


「君が鳥村基樹とりむら もとき君か」

「あ、はいそうです!」

「ではさっそく面接を始めよう。そこに座ってもらえるか」


 千紘ちひろさんによく似てるけど、誰だろうこの人。

 口調も違うし、何より雰囲気が違う。

 それに格好も変わったデザインの袴だ。

 

 もしかしてお姉さんとかかな?


 端的な言葉遣い。

 前髪を中心に所々銀のメッシュが入ってるし、ちょっと怖そうで近寄りがたい雰囲気がある。


「どうした? 早く座りなさい」

「あぁ、はい。で……あのー千紘さんは?」

「千紘は稽古だ。そんなことよりどうして私を講師に選んだんだ? 月見が私を勧めたのか?」


 ん? 何を言ってるんだこの人は。


「反応が悪いな。いやだがその白環は……。もう一度聞くが、君は本当に鳥村基樹君で合ってるか? 誰の紹介でここに来た?」

「え、あ、と、鳥村で合ってます、本人です。紹介っていうか十日谷とおかやさんと相談して高重たかしげさんに訓練講師の希望を出したんですけど……」

「なら間違いなく私のことだな。ではいくつか尋ねよう。まずどうしてこの道を選んだんだ?」


 え、あ、なにこれ。

 なんか普通に面接始まってるんだけど。


 千紘ちひろさんはどうしたの?

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