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兄妹シリーズ  作者: モンブラン
1stシーズン〜兄妹と愉快な仲間たち編〜
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27/250

おはよう、兄さん

今まで誰にも公開していなかったボツ原稿でしたが、復活させてみました。

  朝、兄さんの妹であるわたしが兄さんを起こすにあたって、一言二言……ちょっとだけモノ申しておきたいことがある。


 弁解するというか、正当化するというか。まあ、優雨ちゃんは正しい、優雨ちゃんは可愛い、優雨ちゃんが最高、とだけ分かってくれれば、わたしは万々歳である。



 さて、そんなわたしがどんな誤解からわたしを守りたいのか言えば、「お兄ちゃんを朝起こしに行くとか、お前本当はお兄ちゃんが好きなんじゃないのか?」とか「ツンデレはもう良いんだよ、ブラコン」とかいう心無い声からである。


 ま、そう言いたくなる気持ちもわかるよ。

 気持ちを察することに関してはわたしの右に出るものは居ないと言っても過言じゃあないね。

 みんなの優雨ちゃんはそれゆえに成り立ってるんだもんね。



 た・だ・さ・あ。それは空気を読めるってだけで、鵜呑みにするって訳じゃあないからさあ。違うものは違うって、しっかり言っておかないといけないワケ。


 わかる? どぅーゆーあんだすたん?


 わたしは別に兄さんが好きで甲斐甲斐しく起こしに来たわけじゃないのだよ。


 昔は、「こらーっ、早く起きろこのねぼすけさんめーっ!」とか言って、兄さんを朝起こしに来ていた天使のようなロリ時代もわたしにはあったけれど、今は違うぞ。

 わたしは今をときめくときめきのJKだ。

 貴重な時間を無駄に割いたりなんかしないの。



 じゃあ、なんで兄さんを起こしに来たのか。


 まあ、その理由は単にお母さんに頼まれたからってだけなんだけどね。それだけ。

 そうしてわたしは嫌々、渋々、辛いなあ、どうして自分がこんな不幸な目に遭わなければならないのだろう、不幸タイプのヒロインになるなんてまっぴら御免だぜ、と思いながら兄さんの部屋に這入ったんだけれど、ベッドで眠る兄さんを見て心機一転、わたしはたちまちテンションが上がってきたのである。



 構図としては、ベッドで仰向けに眠る兄さんを、わたしが横に立って見下ろす形となる。


 無防備な人間を上から見下せるんだよ。


 アガらない? アゲアゲにならない?


 意識を失ってる人間はわたしに何もできない。でも、色んな意味で覚醒状態のわたしは、兄さんに対して何でもできる。

 何でもだよ、何でも。やりたい放題。最高か。


 夢が広がるよね。

 例えば、寝起きドッキリとかやっちゃったりして。バズーカの準備はないけれど、やろうと思えば色んな方法でできるだろう。

 何が良いかな――いや、別に寝起きドッキリに限ることはないのか。額に油性ペンで「肉」って書けるし、いたずら書きはそういうベタなものに限らずとも、「僕は妹様の下僕です」とか、ちょっと変わり種ないたずら書きでも良い訳だしね。



 と、そこまで考えたところで、わたしはお母さんからのミッションを思い出した。兄さんを起こさねば。お母さんは普段は結構穏やかな人なんだけれど、怒ったら怖いんだよぅ。失敗は許されない。



 そう考えると、起こすのに手こずっている体を装うとしても、使える時間はあと四分といったところか。残された時間はあまりにも少ない。限られた時間の中で最適解を出さなければ。



 これはもしかしたら小論文とも言えるかもしれない。今のわたしには思考の速さと構成力が求められている。

 時間をかけて綿密な答えを書き込むのではなく、要点を押さえて手短に解答を済ませるのも時には必要なんである。理想と適度な折り合いをつけるのも時には大事よ。



 改めて考えてみたけれど、さっきまで私が考えていた素晴らしいアイデアはやろうと思えば、どれも時間内に達成できそうだ。ただ書くだけだもんね。

 


 さて、ペンはどこかなー、筆箱はあるかなー、と探してみたけれど筆箱が見つからない。というか、カバンごと一階に置いてあるのかもしれない。

 多分、お母さんにお弁当を入れてもらいやすいように、昨日のうちに支度を済ませておいてリビングに置いたんだろう。くっそー、兄さんめ、余計な真似を。

 

 じゃあ机にあるもので良いか、とペン立てを見たけれど、あれ、鉛筆とシャープペンしかない。マジックは? ボールペンすらないの? 首を傾げていたら、またまた思い出したよ。確か、兄さん昨日の夕ごはんの時に言ってたな、「ペンのインクが切れたから、明日の学校帰りに文房具屋によろう」って。ったく、なんて間が悪いんだろう。



 あーあ、なんかシラケちゃったよ。萎えちゃった。わたしって途中で半端な失敗をしちゃうと、それ以降のやる気がなくなっちゃうタイプなんだよね。完全主義者ってやつかも。


 しかも、ペンを探すのにもたついちゃったせいで、寝起きドッキリすらできなくなっちゃったよ。やんなっちまうよ、もう。

 


 ふあぁあ、わたしもまた眠たくなってきた。朝から頭を使い過ぎだったのかもしれない。オーバーワークが眠気となって、わたしに襲い掛かってきた。こわっ、眠気こわっ。



 睡眠不足は美容の大敵とも言うしね、その逆もまた然り。よく眠れば、わたし、さらに可愛くなっちゃうかな。うぇっへっへ。



 という訳で兄さん。わたし今から寝たいから、その場所代わってくれる?




「いや、起こせよっ!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 優雨ちゃんがとっても可愛かったです!!泣 ボツ原稿だったなんて勿体ないです、、!! ボツにしているお話もいくつかあるのでしょうか? 機会がありましたら是非拝見したいです、、!! 最後の晴…
2020/08/22 19:57 退会済み
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