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境界の森の管理人~森を守るため、世界を締め出しました~  作者: 久東芽蕗
第一章 森と精霊

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11. 境界の不届き者たち~Part2 ~

 

 魔界への道を過ぎて景色が一気に流れた。

 風に乗って、私たちは空を翔けている。

 正直、もう情報量がお腹いっぱいなんだけど。

「次はどこにつながる入口?」

 ここまで来たら、なんとなく予想はつく。

 この森は――きっと、いろんな“世界”とつながっている境界なんだろう。


「はい、コハル様の予想通り。冥界への入口がございます!」


 冥界って……


 なぜかちょっと嬉しそうなの、やめてほしい。


 しばらく進むと、空気がまた変わった。

 ひやりと冷たい。

「……あれは、人?」

 森の中に、ちらほらと人影が見えてきた。

 でも――動きがおかしい。

 ふらふらと、目的もなくさまよっているだけ。

 こんな場所にいるなんて、どう考えても危ないのに。



「なにこれ、気持ち悪い」

 ラズリは落ち着いている。

「ええ。この者たちは生きていませんからね。多くが怨霊化しています」

「なんでこんなに……」

「我々が不在なのをいいことに、選別が面倒な魂を森に投棄していたのでしょう」

 あっさり。

「え? 死者の魂をそんな……」

「そうですね」

「どうなるの?」

「彷徨い続けるか、使えそうなのは悪魔たちが回収するか……」

「回収って?」

「悪魔たちは加工できるのですよ、自分たちの都合がいいように」

「そんなの……」

 言葉が、続かない。

 胸の奥がざわつく。

 さっきからずっと、気持ち悪いままだ。


 ――なんだよ、それ。

 じゃあ冥界って何のためにあるものなのよ。

 魂ポイ捨てして、勝手に使って。

 全部自分たちの都合じゃないか。

 そんなことをする為の森になってるの?

「……最悪だな」





「大丈夫ですか?あと少しで森を一周しますよ」

 気分が悪い。


 口数が減って、正直もう城に帰りたい。

 もう見たくないな。

 でも悪い予想は的中し、その先に広がっていたのは――


 森じゃない。

 残りカスみたいになってる。



「まったく節操がないですね。実に人間らしい」

 ラズリはいつも通り、軽い。


「これ……全部?」

「境界を戦地にしていたようです。あちらは魔族、そしてこっちは人間同士の戦闘痕です」

「どうしてここで?そもそもそんなに戦う必要あるの?」

「さぁ、どうでしょう」

 興味なさそうに返される。

「ですが」

 ラズリの視線が森をなぞる。

「伐採、採取、収奪」

「取り尽くし、削り尽くし、もはやほとんど残ってませんね」

「さらに空気も水も魔力も、当然のように使い続ける」

 ラズリが目を止めた先にはゴミの山があった。

 普通に捨てられてる。


「……ありえない」

 胸の奥が、じわっと熱くなる。

 神様が大事な場所だって――

 ラズリたちみんなの……私の……

 なのに。

 ゴミみたいに使って、

 飽きたらそのまま捨てて。

「……なんなんだよ、それ」


「城に戻りましょう。とりあえず全体の様子は理解できました」


「見事に好き勝手やりたい放題にされていましたね」


 ラズリは薄っすらと笑みを浮かべている。


 私がこれをどうにかしないと。

 どうにかして守らないと。

 でもどうやって――




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