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 二日目は、昨日の続きから。

 キエナ領と言えば城塞都市だけど、その周辺は森林が広がっている。

ディ様が自領の物をお望みなら、蛾の生息地を探さなくてはならない。何を目安にするのかは、生えてる木の種類。芋虫さんは、葉っぱを食べて次のステップに進む。それと魔素溜まりとの関係も確かめるのかな? 初夏を目の前にして、やる事いっぱい。急がなくちゃと思うから、真剣に聞く。

 繭の一つや二つ、一夏の内に見つかるだろう。最悪、それを刺繍糸にでもして納得してもらえるかしら?

 私とディ様の会話を、ルードルフ様は目を閉じて耳を傾けてるみたいだった。



 三日目。

 エイブ領の、山繭の採取の現方法なんかを重点的に説明する。そして、糸への生産体制とかちょっと。



 四日目。

 とうとうルードルフ様が口を開いて、初日の我が家の話しになった。

 二日間。目を閉じていたルードルフ様の瞳がこちらを見ていらっしゃる…。

 ハッキリさせないと駄目な人なの? 困ったなぁ。

 あの娘の態度とか、お祖父様以外の視線。離に迎えに来た以上は、どうしてだか気になるのだろう。私、正妻の子供で、第一子だものね。

 ルードルフ様が気になる知りたいと言っても、私の心はモゾモゾとした居心地の悪いものを感じる。


「何と言うか、色々と話しをというか、説明? 身近な人じゃ無かったから分からないとしか、ですね…」


 漠然とした気持ちを伝え表せない様に、見えない読めない人の心の代弁は難しい。分からないから、答えられない。それを、分かって下さいよ(泣き)。

 もにょもにょしてたら、出発日の事を、人を、どう思うのか聞き直された。よっぽど、こっちの方が答えやすい。

 するんと口から出たのは、質の悪い使用人もしくは、教育の行き届かない使用人を平気で雇用している人達だ。


「ほぉう」


 ディ様が、それでと促す。


「王都の屋敷は、武器を持たない戦場だと、お母様は言いました。私には区別が出来ませんが、来るお客様は、皆地位のある方だったり、取引相手だったりします。気の抜けない方が来る時は、前もって話しをされたし、使用人にも徹底させてたと思います」


 絶対に部屋から出るなとか、表に出なきゃならない時は、お客様がどんな人かとかを、前もって聞かされもした。

 あの時。あの娘の側には侍女が居た。侍女は、何の為にあの娘が呼ばれたのか分かってたのかな? ただ、お呼びですだけとか? 言付けとか、以前の公爵家では、当たり前の事だったんだけど。あの時の侍女は、私を取るに足らない者だと判断をしたんだろう。だから、ルードルフ様に意識が向いて無かった。主の機嫌の良くなる事や関心の引ける事を、無意識に選択したんだ。

 誰かを罵倒して良くなる機嫌ってどんなのかな?

 でも、そのせいであの娘も、恐らくお父様達も、辺境公爵のディ様と王子のルードルフ様とお知り合いになるチャンスをふいにした。家は確かに公爵家だけど、辺境公爵家の方が格上。王子もね。官職に着いてないお父様が、人脈を広げるチャンスだったのに。今までじゃ、考えられない手落ちだ。

 私と仲良くしなさいとはお祖父様も言って無いだろう。私にも言わない。お父様やお祖母様に言って聞くなら、既に友好を築いてる。…筈? だけど、少なくとも、公爵家として動けとは思ってるし言ってるだろう。特にお祖母様に対して。

 お祖母様は、公爵家にこだわる割には変なのって思う。血がって騒ぐけど、お祖母様には、公爵家の血なんて流れて無いのにね。

 お祖母様に取って、私やお母様は、品位の無い者らしい。お祖母様の言う品位ってどんなの? 分かんない。

 兎に角。あの娘の周りは、別宅からの侍女で固められている。そうすると、侍女などの使用人の質が悪くなった、に、なる。

 それこそ、私が思うに公爵家の品位が損なわれている様に思えるんだ。

 そういうところは、屋敷で暮らしだした以上は、改めて貰いたい。お祖父様に、気苦労をかけては駄目!

 つらつらと、頭にある事を言葉にする。

 何だか、頭痛いな。

 お祖父様も、頭の痛い思いをしてるのかしら? 

 自分からお出掛けを願ったけど、少し、寂しい。

 

「お嬢様?」

「ん、何?」


 失礼しますと、ジークがおでこを触って首元を確かめる。

 ひんやりとした手が気持ちいいな。

 慌てるジーク。焦るディ様。

 ぼんやり霞んだ思考に、痛むこめかみ。

 何が起こったか。

 考え過ぎた私は、知恵熱を出したらしい。もしくは、移動疲れ?

 早目の休憩が取られ、木陰に寝かされる。

 ジークが風を送ってくれる。気持ちいいよ。

 ディ様が、変更になる日程に対して指示を出してるのが聞こえる。

 すみません。病気じゃ無いんですけどね…。食欲はあるよ。病気じゃ無いもの。お腹がなった。

今話も、お読み頂きありがとうございました。

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