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現実世界でも異世界でもみんなにイジメられたので神様からもらった「能力」でそいつら全員に復讐し、世界を滅ぼす

 僕の名前は栗栖川類。

 どこにでもいる普通の男子高校生だ。


 どこにでもいる普通の被虐者で、孤独で、無能で、価値がなくて、最低で、誰からも愛されない嫌われ者の高校生だ。


 そんな僕だから、学校には1人も友達はいないんだ。

 当然のように学校では虐められているよ。

 みんな僕を見るとイライラするらしいんだ。


「栗栖川、ちょっと来い」


 いつもの様に校舎裏に呼び付けられる。




 彼らは僕を殴りつけ、蹴りつける。

 ただし顔など目に見える部分には行わず、服下で隠れる部分を痛めつける。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も僕の腹を蹴りつける。


 目に見えるイジメだと、問題に成りかねないからね! 最近のイジメは進んでるなぁ。


「……う……あ……」


「そろそろ終わるか。栗栖川、今日分の「存在料」よこせ」


 僕は急いで財布からお金を取り出す。

 これを出さないと更に痛い目に会うんだ。


 幸い僕の家はお金持ちで、お金だけは困らないよ!


 このように僕はイジメを受けている。

 とは言っても、物理的にイジめるのは一部の人だけなんだけどね!

 先生とかクラスメイトの大抵の人は僕を痛めつけたりしないよ!

 まあ助けてくれることもしないんだけどね。

 みんな僕のことはいつも無視してるよ。




「やめてよ、お父さん……」


「うるさい!! 黙れ!!」


 彼は僕の腹に蹴りを入れる。


「うっ……」


 楽しいのは学校だけじゃないよ!

 家でも僕は愛されているんだ!

 両親は僕を見るたびにいつもイライラして、殴ってくるよ!

「お前なんか産まなきゃ良かった」が口癖なんだ。

 それでも僕を普通に生活させてくれてるから、感謝しかないね!




「何名様ですか?」


「あっ……一名様です……」


 だから僕の唯一安らげる場所はファミレスなんだ。もちろん家からも学校からも離れた、ね。

 家にも学校にも居たくないからファミレスでドリンクバーを頼んでいつも人生(暇)を潰しているよ。此処には僕を痛めつける人は誰もいない。

 誰も僕のことを知らないから無関心で居てくれるんだ。脅威がないから、怯える必要がないから僕は此処にいるときだけ心休まることができる。


 日が暮れ、僕はいつものようにファミレスから帰途に着く。

 そしていつものように信号を見ずに下を向いて横断歩道を歩いていたら、横から大きなクラクションが鳴る。


「あ」


 僕の意識はここで途絶える。

 どうやらトラックにはねられたようだ。


 ……





 此処はどこだ?


 一面真っ白く何もない世界。


 僕はどうやらやっと死ぬことが出来たのかな。


 でも死後の世界があるなんて聞いてないよ。

 死んだら「無」になれると思ってたのに。

 それだけを楽しみに生きていたのに。



「お主、碌な人生を送ってこなかったようじゃな」


「わっ! 」


 僕の隣にいかにも神様みたいな老人が現れる。


「じゃが、お主に朗報がある。お主はこれから異世界転生をして新しい人生を歩むのじゃ」


「いやあ、僕としてはそれは「悲報」だなあ。直ぐにでも僕を「無」にして欲しかったんだけど」


「それだけじゃない。お主は今まで不幸に生きていた分、特典がある。なんでも好きな「能力」を持って異世界に転生することができるのじゃ」


「能力」……?


 僕には何の取り柄も能力も無かったからなぁ。

 そんなもの貰ったら自分が自分じゃ無くなりそうだぜ。


「能力ってなんでもいいの?」


「ああ、なんでも好きな能力を言うが良い。お主ほど「不幸度」が高い人間なら大抵の望みは叶えられるぞ」


「じゃあ元の世界に戻ってみんなに復讐出来る能力を頂戴よ!」


「……分かった。ではお主に「次元操作」の能力を授ける。新しい世界では幸せに生きるが良い」


「え? 嫌、だから異世界じゃなくて元の世界に行きたいんだけど……うわっ!! 」


 白い光が僕を包み、僕はその場から消失する。





「勇者様が召喚なされたぞ!!!」


 僕は気づけば王宮らしき所の中央にいた。

 目の前には王様っぽい人。

 そして周りにはその従者っぽい人と兵士っぽい人が並んでいた。


「勇者……? それ僕のこと言ってるの……?」


「ああ、そうだ。我が国に伝わる禁断の儀式によってお主を召喚した。これからお主には魔王アレスを討伐してもらう」


 王様っぽい人が答える。


 僕はどうやら異世界転生して勇者になったみたいだ。参ったなぁ……魔王討伐なんてやりたくないよ……。


「今から我が国に伝わる、伝説の勇者の剣を授けよう」


 従者の人がものものしい台を持ってくる。

 上には黒く、錆びれた剣が置いてあった。


「この剣あんまり強そうに見えないんだけど……」


「剣の柄の部分に4つのくぼみがあるだろう。そこに4つの「宝玉」を入れることで剣は真の姿を見せるのだ。まずは「宝玉」を集めることから頑張りなさい」


「うへえ……その宝玉っていうのはどこにあるんだい?」


「知らぬ」


 うへえ……。


「勇者の剣が真の力を発揮したとき、一振りで国一つを滅ぼすほどの威力があると伝えられておるぞ」


「それ、本当!? 」


 そんな剣があったら世界を滅ぼすことができるじゃん!


「ところで、お主の剣の腕を拝見したい。その剣で剣技を見せてくれんか? 」


 おっ、ここで神様からもらった力が発揮できるのかな?

 今まであんなに不幸だったんだ。

 レベル99力999知能999くらいのステータスはあるよね!?


 僕は意気揚々と勇者の剣を持つ。


「わっ……とっっと」


 剣を振ろうとしたら結構重かったため、すっ転んでしまった。


「……勇者殿はあまり剣技が得意ではないようだな……。なら魔法はどうだ? 」


 僕に杖が差し出される。


 そうか、僕は魔法特化の勇者だったのか!


 僕は杖を持ち、詠唱する。


「ネラ! ネラミ!! ネラゾーマ!!!」


 発動しない。


「なんだその詠唱は……?お主魔法も使えないのか? 」


 王様の目が変わる。

 周囲の目が変わる。


 元いた世界の人間と同じ目。

 冷たくて残酷で恐ろしい目。


「どうやら召喚に失敗したようだな……。おい!「そいつ」をつまみ出せ!!!」


「はっ!!!」


 兵士は城から僕をつまみ出す。


 兵士は去っていく。

 僕は途方にくれる。


 僕はこの世界からしたら変な格好をしているので町の人たちから奇異の目で見られる。

 それが「あいつら」の目と同じように感じたので僕は町から出て誰も居ない森の中に入る。


 しばらく歩いて僕は木に寄りかかり座る。


 ああ……。異世界でも僕はこうなのか。

 神様は僕に何をくれたって言うんだ?意味がわからない。確か「次元操作」って言ってたっけ?


 どうでもいいや。僕、なんか疲れたよ。


 僕は頭を木にかけ上を見る態勢になる。寄りかかった木の枝葉が見える。






 みんな消えればいいのに






 ヴォン



「うわっ……!」


 僕の上半身が後ろに倒れる。


「いてて……なんだ?」


 僕は後ろを見る。

 寄りかかっていた木が消失していた。


 なんだこれは?

 まさか僕の「能力」が発動したのか……?


 確か、「みんな消えればいいのに」って思った瞬間、僕の見ていた木が消失した。


 もしかして、物を消す能力!?


 僕はその場から少し離れた木に対して念じる。



 消えろ



 あれ?消えない。

 もしかして少し離れているからかな?


 僕は立ち上がり、その木に近づく。



 消えろ



 木は次元の歪みに吸い込まれ、消失した。


 やっぱりそうだ! 僕は「ものを消す」能力を手に入れたんだ!


 僕はその場周辺で能力を試した。


 ここで分かったことは

 ・この能力は念じれば発動する。

 ・距離の制限がある

 ・念じた場所を中心に次元の歪みが発生し、その周囲のものが消失する。(手をかざしてそこに念じると位置が調整しやすい)

 ・次元の歪みはしばらく持続する。



 すごい……!最強じゃないか!

 神様が言ってたことは本当だったんだ!



 でも、腑に落ちない事がある。

 神様は「物を消す能力」とは言わず、「次元操作の能力」と言っていた。

 そして僕は神様に「元の世界に戻って復讐できる能力」と願っていた。


 僕は手をかざす。

 そして自分の元いた世界の、あの忌まわしい「教室」を思い浮かべる。


 グォン


 木を消失させていた時とは違う。

 次元が歪み、空間にブラックホールの様な穴が出現する。


 僕はそこに躊躇なく入った。








「うわっ! ……栗栖川!? お前、死んだんじゃなかったのか!?」


 僕は花瓶の置かれた自分の席の前に立っていた。

 授業中だったのだろう、先生もクラスの奴らも全員揃っている。


「え? いやあ。死んだけど、みんなにもう一度会いたくて、地獄から蘇ったんだ」


 僕は自分を痛めつけていた主犯格の赤城の机に向かい、目の前に立つ。


「な、なんだよ栗栖川」


「君は僕がやめてくれって言っても何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も蹴りつけるくらい僕のことが大好きだったよね」


 赤城は僕の異変に気付いたのか恐怖を感じ、椅子ごと倒れる。


「ひっ……」


 僕は手をかざす。




 消えろ











 赤城は消えた。




 それを見ていた教室の奴らは戦慄する。


「先生は僕が何回助けてくれって言っても何もしてくれ無かったよね。終いには「イジメられる方にも原因がある」とか言って僕のことを攻めたよね」


 僕は先生(ゴミ)に手をかざす。




 消えろ





 流石に異変に気付いたのかゴミ達が席を立ち、逃げ出す。


 ゴミ達は教卓側の僕から離れた教室後ろの出口に駆け込む。

 僕は能力を使い、出口の前にワープする。


 ゴミ達の前に僕が立ちはだかる。


「やっ……やめれくれっ……!」





 消えろ









 その教室からゴミは無くなった。






「ただいま! お母さん! お父さん!」


「っ!? 類、お前は死んでくれたはずじゃ……!」


「大好きなお母さん、お父さんを置いて逝けなかったから、地獄の底から帰ってきたよ!」


 僕は涙を流しながら両親を抱擁する。


「今まで育ててくれて「ありがとう」。お父さん、お母さん」






 消えろ






 僕を脅かしていたものはこの世界から居なくなった。このままこの世界を滅ぼしたいけど、こんな調子じゃあ時間がかかるなぁ。



 あ、そうだ!


 僕は能力を使い、「異世界」にワープする。





「お前っどうやってここまで入ってきた…!?」


「嫌だなあ、王様。別に普通に入ってきただけだよ」


「兵よ!その痴れ者を囲め!!!」


 僕の周囲を兵士たちが囲む。


 僕は能力を使い、目の前の兵士を消した。


「っ!?何が起こった!?」


 周囲の兵士が怯んだ隙に再び能力を使い、兵士たちを消していく。


「王様、「こう」なりたくなかったら勇者の剣を僕に頂戴よ」


 僕は逃げ惑う兵士の頭を鷲掴み、それを消しながら言った。


 王とその周囲の従者や兵が怯えながら僕に勇者の剣を差し出す。



「ありがとう。じゃあ消えて」


 僕は能力を使い順々に城のゴミを消していく。






 やがて城からゴミは無くなった。

 少し逃しちゃったけど、まあいいか。


 しかしこの剣重いなぁ。

 元世界の家に後で置いとくか。


 確か宝玉っていうのを4つ集めるんだっけ。

 結構大変そうだなぁ、長い旅になりそうだ。


 そうだこの城のもの全部くすねておこう!

 きっと旅の役にたつぞ!



 僕はこれから始まる異世界の冒険の旅に期待で胸を膨らませる。

この続きは連載中の「現実世界でも異世界でもみんなにイジメられたので神様からもらった「能力」でそいつら全員に復讐し、世界を滅ぼす」で見ることが出来ます

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